幼女な僕と集落の日常
前話にて、投稿後誤字を見つけたので早い段階で修正したのですが、それを見てしまった方は申し訳ありません。今後も誤字が多々あるかと思いますが、なるべく早い段階で修正できるよう努めてまいります。
それと、書き始めてまだ数日ですが、少しずつ増えていくブックマークはとても励みになってます。
今後共宜しくお願いします。
あの後、鈴木さんの家で一泊して、現在我が家へと向かっていた。
結局、昨日は僕の本気の結晶である自作の化粧ポーチの中身を披露出来なかったのが残念でならない。
鈴木さんの家に行って、レオナルド・鈴木という残念イケメンに会って僕の機嫌はこれまでにないくらい最悪だった。
以前、僕が作った魔道具『花火』の事を知っていたのだろう。直接的な言い方はされなかったが、婚約したい理由は『花火』の火力と、それを造り上げた僕自身だというのが透けて見えた。
結局のところ僕の中身など見てないのだ。それに、軍事力の高さをわざと見せつける行為も気に入らない。
鈴木家特性の質の高い鎧や盾、剣を提供され、その軍事力を目の当たりにしている王宮としては、鈴木家のお願いも無視する事が出来ないのだ。
そのお願いというのが僕自身。僕を嫁として迎え入れて更なる軍事力の底上げをするつもりだろう。
まったく、僕を嫁扱いしていいのは一樹だけだというのに…
いや、許した覚えもないけど。
「お父様。私あんな家に嫁ぐのは絶対に嫌ですわ」
今回ばかりはお父様を建てる事なく反対の意をしめす。
それで、僕が本気で嫌がっていると伝わるだろう。
「その気持ちは分かるが、同じ四大貴族でも特にスズキ家は国に対しての発言力が強い。今やスズキ家だけで他の貴族や国を纏めて相手出来る程の軍事力を備えているのだ」
いつになく真剣な顔付きで返してくるお父様。
国の命運が掛かるかもしれない縁談なのだ。きっとお父様も悩んだに違いない。国の為にと娘を切り捨てる覚悟は出来ているのだろう。
「お父様…私、あの方に愛される自信がありませんわ、きっとあの方は自己顕示欲の為に次々と嫁を迎えいれ、嫁抗争に破れた私は段々と隅に追いやられて人知れず暗殺されてしまうのです。お父様はそれでも良いのですか?」
ならばと泣き落としで責めてみたが、お父様は返事を返す事なく手を握りしめていた。
これ以上は止めておこう。お父様を苦しめるだけだ。
僕は無言になったお父様の隣に座り直し、その握りしめていた拳にそっと手を添えた。
しばしの沈黙の後、お父様は呟くように「すまん…」と言っていた。
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沈黙の中、馬車に揺られてあの集落を通りかかる。
沈黙の中だからこそ気付けたのだろう。少し離れた場所から喧騒とその中から女性の叫び声が聞こえたのだ。
聞こえた方に目を向けると、なにやら人だかりがしている。
「停めてください!」
何故か無性に胸騒ぎがした僕は、馬車が停まりきる前に飛び出した。
人だかりの中で見えたもの。
それは、血を流して倒れている少女と、泣きながら少女に覆い被さる母親。
そして、倒れている少女に向けて、今にも振り下ろさんと剣を構えている男がいた。