幼女な僕と鈴木さん
どうも、只今例の鈴木さんの家にお邪魔しております優ことアイリスです。
家の門を潜るとそこには見事な庭園が広がっています。何十人もの庭師が雇われているのでしょう。あの集落で見た、畑仕事に従事していた何倍もの人達が庭園を整理しているのです。
もちろん、給料は税金からです。
庭園から少し離れた場所には、兵士の訓練所がありそこでは全身鎧の兵士達、おそらく百人以上が訓練に勤しんでます。庭園にもかなりの兵士がいましたが、かなりの練度です。
おそらく、イヴお姉様の騎士団より練度が高いのではないのでしょうか?
そういえば、昨日は珍しくイヴお姉様の着せ替え人形になりませんでした。
なにやら怒った様子で「あんな所に本気のアイリスを見せるつもりはない!」とか言ってましたが、僕はある意味本気です。
話は逸れましたが、もちろん給料は税金からです。
屋敷の中へと案内されます。
僕達を出迎える為に大勢のメイドや執事が立ち並び、一斉に頭を下げてくるではありませんか。
その数うちの三倍以上。
もちろん、給料は民からの血税です。
そこで登場したのが例の鈴木さんです。
明らかに贅を凝らした服に、そこら中に見える高級な調度品の数々。
もちろん、それに掛かった費用は民が汗水かいて働いた血税です。
「初めまして、アイリス嬢。私はレオナルド・スズキです。噂に違わずの御美しさに思わず平伏してしまいそうだ」
そういいながら片膝を付いた鈴木さんは、僕のグローブに口付けをします。
僕の脳内ではその膝を踏み台にして、彼の頭部に僕の膝を御返しするという、この世で唯一の魔力を使わない『閃光魔術』を披露しているのですが、現実に披露出来ないのが残念でなりません。
「初めまして、レオナルド侯爵様。私はアイリス・セントローランと申します。私もここに来るまで驚きの連続で、レオナルド侯爵様に御逢いして更に胸が高まる思いですわ」
胸が高まり過ぎて、最近巷で付いたらしい私の二つ名『頭のおかしい爆裂嬢』をこの場で披露出来そうです。
挨拶もそこそこに僕達は食事へと誘われました。その道中メイドに案内され、お花を摘みに来て一人になった僕は誰にも聞こえないよう呟きました。
「あぁ、現実逃避してなきゃやってらんねー」
すみません、この話でいくつかミスがあったので修正してます。