プロローグ 女神って、そんないいものではないのだけど
気が付くと、レアは神として存在していた。
俗に言う・・・女神さまってやつです。
そんな清らかな、慈愛あふれる存在になれたのかな?
長い時を過ぎる中で、レアは何か、変われたのかな?
・・・。
最近のレアは思春期だからか、思うことがたくさんあるのですっ!
あぁ、レアっていうのは、レアの名前。職業は、一応、女神やってます。大地を司る豊穣の女神。でもでも、一番末っ子なの。
綺麗なお姉ちゃん達とは違って、まだまだ子供だし、これから頑張らなくちゃ。・・・いけないんだけどね。
そんなレアの役目は、人間界の人間が道を踏み外さないように見守ること!
人間が悪の道を進む前に、正してあげることが使命ですっ。
そして、悲しいけど生きることを終えた魂を天界へ導くこともまたレアのお仕事。
そんな、退屈だけど、ちょっぴり切ない公務をこなすだけの日々。
人間たちのようにワイワイと遊べる時もないし、
天界での食事を楽しいと感じたこともレアにはないの。
この世界では、日が暮れると闇の王、バルバトスの時間が来るわ。
光の神ゼウスの時間が終わり、人間たちには見えざる手が忍び寄ってくる。
闇の眷族に誘われて、一瞬の気の迷いで心の隙間につけ込まれる人間たち。
レアたち女神の仕事は、闇の眷族を排除することも含まれているけど・・・レアはあまり好きじゃない。
好きじゃないっていうのは、闇の眷族もそうなんだけど、まず戦うことが苦手・・・。
レアは豊穣の女神の中でも末っ子だから、お姉ちゃんたちに助けてもらってるし・・・。あまりこういうのは慣れなくて。
本当は光と闇の間で不干渉条約を結んでいるみたいなんだけど、上の人が管理できないような水面下ではこういった衝突はちょこちょことあるみたい。
実際に上の天使様たちも小さな小競り合いや、レアみたいな下級女神が殺されても黙認していることもあるし・・・。
お互いのパワーバランスが崩れないように調整しているんだ、って。お姉ちゃんから聞いたことあるけど。
レアみたいに戦うことが得意ではない女神には死活問題なんですけど。
光の民であるレアたち神族は、闇が満ちる時間に行動はなるべく避けるようにしてるの。
闇の中では女神の光など豆電球と変わらないほどの小さな光。
もし、魔族に見つかれば殺してくれ。と言っているようなものだから。
ももも、もちろん、レアだって女神なんだから神の武器くらい持ってるんだけど、剣とか重いし、怖いし、痛いし、本当は使いたくない。剣術の稽古も、本当は行きたくないし。
お姉ちゃんが怒ると怖いから行くけど・・・。
と、とにかくレアが言いたいのは夜の人間界を巡回するのは、レアたち女神にとって危険な行為なのだ。