4話【戦〜軍オタ参上〜】
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散開してしばらくした後、僕ら第13~15多角部隊はは臨戦態勢になって敵を待ち続けたが、来る気配が全くなかった。
が、ずっと気を張りっぱなしいるので緊張が酷く疲労が半端じゃないため、交代制で休むことになった。
僕は、陣の中で連絡の中継地点となりながらも外部との連絡を取ろうとしていた。
しかし、一向に外部とは繋がらない。
そしてアメリアといえば…………寝ている。
実は散開した後、また先程のように恐怖感からか、アメリアは発狂し始めた。
正直うるさかったので何とか宥め、落ち着かせたら眠くなったのか今幸せそうに僕の膝を枕に寝ている…。
ーーこんな時にホント、よく寝れるよな…しかも…
「普段周りには冷ための反応してんのに、僕にはこの甘えようだからな…これがいわゆる…クーデレってのかな…?でもクールっぽくないんだよなぁ…」
と僕はこの前友達に教えてもらった言葉をちょっと使ってみた。
ーーまぁ正直、ヤンデレだのツンデレだのよく分かんないから使ってみただけだけどね…。か、あれか?保健の授業で習った…退行だっけ?
まぁ、そんなこんやで僕は外に気を配りながらも無線を受けていた。
と、その時僕の無線に緊急無線連絡|(EC)が入った。
「はい!こちらイクサ!」
「…こ……こちら…第6暗躍部隊…及び…第11,12追尾部隊…」
と、聞こえてきた息絶えだえの声は第二副指揮官の旭乃先輩だった。
口調は荒いけど女子の先輩だ。
「先輩!?」
「……そう慌てんな…うるさいよ…」
「す、すいません…大丈夫ですか?」
と、僕が聞くと先輩は一瞬息を飲み言った。
「…隊の3分の2が壊滅しても…それが普通だと言うならば…大丈夫なんでしょうね…」
ーーはいっ!?3分の2って言った!?
「3分の2壊滅っ!?」
つい僕が叫ぶと
「…だからうるせぇっての…そうだって言ってんだろ…」
「え、え、だってでも、3分の2でしょ!?」
「だから、うるっせぇよ…こういう時だからこそ落ち着くんでしょ…あんた、あくまでも副指揮官なんだからそんなに動転しない…」
と逆に僕が諭されてしまった。
「あ、はい…」
とりあえず僕は深呼吸をした。
僕が落ち着くまで先輩は報告するのを待ってくれている。
「……すみません、大丈夫です。ご要件をどうぞ」
「OK…まず"シャドウ"30名中21名消滅、次に…「ーー待って、消滅って言いました…?」
と報告途中だが僕はつい止めてしまった。
「おい、一応報告途中だぞ…まぁいっか、あぁそうなんだ。とゆうかどちらかというと強制転送に近いな」
「それはどういうこと…?」
「見た感じだと普通だったら気絶してぶっ倒れて終了なんだが、なんか今回はやられた瞬間に…青白く光って消滅したからなぁ…」
ーー強制転送に近い…?何、死んだら勝手にリアルへ戻されちゃうわけ?
「……意味が分からないっす…」
「まぁしゃーない。という訳で続けるぞ」
と先輩は返事も適当に話し始めた。
「あ!はい…!」
「えーと"シャドウ"の人数は言ったか、じゃあ"スネーク"だな。第11追尾部隊は28人中19名消滅、第12追尾部隊は31人中23名消滅ってとこだな。後、全体で5,6名ほど重症だ。」
と予想以上の被害に僕は驚きを隠せなかった…
「う…わ…」
「かなり酷いよな…私としたことが…」
と、旭乃先輩は報告が終わると珍しく微妙に泣きそうな声で言った。
「いや…まぁ…その…見知らぬ敵だったからしょうがないっすよ…」
と僕は慰めたが
「いや私の責任だ…これが終わったら副指揮官の座を誰かに受け渡そう…」
と先輩はどんどん自分を追い詰めている。
「いやいや!先輩ストップ!じゃ、じゃあ、とりあえず一旦戻ってきましょ!ね?先輩達が生きて帰らないとあいつらが報われないでしょ?」
と、俺が慌ててそう言うと
「そうだな…あいつらは私を守るために…この命…そだな…よっしゃ!あいつらのためにも次こそ潰す!」
と先輩は少し元気になった。
「OK!よし!じゃあとりあえずイクサ!"シャドウ"と"スネーク"は陣へと戻る!敵はかなり強いから他の部隊にも撤退を要請してくれ」
「了解!」
と言い、僕は無線を切ろうとしたがふと思った。
「あの先輩…?」
「ん?どうした?」
「先輩達の事、木っ端微塵にしたのは誰なんですか…?」
ーーそうだ、暗躍に関してはどこの学校にも引けを取らなかったうちの部隊が何故こうも簡単に潰されたのだろう…
「あぁそれはな…………戦車だ」
「えっ?」
「だから戦車だ、私たちもビックリして立ち止まった瞬間にやられた。そうだ忘れてた、軍オタでもなんでもいいから1人、戦車とかに強い奴見つけといてくれないか?」
「あ、了解」
「頼んだ」
と言い、無線が切れた。
僕は早急に他の部隊に連絡を取り始めた…
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「ほぉ…そりゃこっぴどくやられたなぁ…」
と渋い顔で言ったのは鞘川先輩だ。
「マジで面目ない…」
と、うなだれているのは旭乃先輩だ。
「いやまぁ…しょうがないだろ戦車3体に集中攻撃を受けたんだろ?そりゃあねぇ…俺らでも無理だわ」
と、鞘川先輩が柄にもなくフォローに入った。
それは旭乃先輩も思ったらしく
「…あんた、そんなことも言えるのね…」
「あぁっ!?てめえ、人が珍しく慰めてんのにその言いようはねぇだろ!」
「あ、いや、マジでごめん。そんな姿想像しがたくて…」
「よっしゃてめぇ、今すぐテント出ろ決着つけてやる…!」
と毎度の流れになりそうな所で今回は珍しく別の奴が止めに入った。
「ちょっと、先輩方今やるべきじゃないでしょ!何のために俺呼ばれたんすか」
と呆れたように言ってきたのは、"イーグル"の隊員の淺演 賢征だ。
ーーこいつはかなりの軍オタということで有名で
旭乃先輩に頼まれ、探してみたところすぐにこいつの名前が挙がった。
本人によると自称平和主義の軍オタらしい。
しかし、噂によるとサバゲー界ではかなり恐れられてるとか…
と、まぁ迎え入れたばかりの淺演に言われたのが良かったのか
「あ、いやすまん…ちょっと熱くなった」
と、頭をポリポリと掻きながら素直に鞘川先輩が座った。
「淺演、ベストタイミング」
と言ったのは総指揮官の桐先輩だ。
「いえ、こちらこそ出しゃばりすんません」
と、綺麗にお辞儀をする。
桐は気にするな、というように手を振り全員に向かって言った。
「まぁ知らない奴もいるだろうから言っておくが、こいつは"イーグル"の中1、淺演だ。今回、戦車を叩き潰すためにも特別に迎え入れた。」
ここで淺演がもう一度お辞儀した。
「どうも、淺演です。第13部隊配属です。今回、僕が呼ばれたのは戦車…?についてですよね?」
と一旦言葉を切り、旭乃先輩を見た。旭乃先輩は頷く。
「えっとじゃあまぁ話すとすると、"シャドウ"の1人から戦車の形状を詳しく教えてもらったのですが、予測すると…これですね。」
と、いつの間にか出してあった写真に指を指し順番に行っていった。
「右から…わぉっ!えっとすみません、T35、М50オントス、後これは戦車じゃなくて歩兵戦闘車で、BMP1ですね。」
軍オタの性なのか少し興奮した様子で淺演が説明し始めた。
そして、説明が1通り終わった所で淺演はプラスでこう言い切った。
「正直、俺らでもやれば勝てます」
ザワッと周りが騒いだ。
「本当!?それホントに!?」
と旭乃先輩ががっついてきた。
「えぇ、だってこいつらほとんどが三世代ぐらい前というか、骨董品ですよ?これを使ってきた相手の気が知れないです。」
と淺演が断言する。
「潰すのに必要な人数は?」
と旭乃先輩が少し嬉しそうに聞くと淺演は少し考え込み言った。
「まぁ…人数は今の"シャドウ"と"スネーク"で十分ですよ」
そして少し顔をしかめて
「まぁ後は…流石に戦車を完全に潰すことは出来ないんですけど弱体化させることは可能です。」
「どうやって?」
と桐先輩が聞くと
「……爆弾すね」
淺演はサラリと言い放つ。
「……なんて?」
と桐先輩が聞き直した。
「ですから、爆弾です。」
「えぇ、いやそうなんだけど…そんなもんうちには無いぞ…」
と桐先輩は困惑する。
「えぇ、もちろん知ってます。」
「じゃあどうやって…」
旭乃先輩が聞くと
「……僕が作ります。それを使ってください」
と淺演が少し逡巡した上で答えた。
「「「はぁ!?」」」
と全員が息を合わせたように一斉に言った。
「おいそれは流石に無茶が……「ーーあ、いやえーと…あんま言いたくなかったんですけど、僕結構そういうの得意で…」
鞘川先輩のセリフに被せるように顔をしかめながら淺演が言った。
「その特技によって、癪なんですけどサバゲー界では結構恐れられてて…」
と、より一層顔をしかめた。
ーーどうやらあの噂は本当だったらしい。
桐先輩は落ち着くため、少し息を吐いてから言った。
「作るには何が必要だ?」
それに対して淺演は
「あ、小さい容器とニクロム線とかってありますか?それ使いたいです。」
「分かった。後で誰かに持っていかせる」
と桐先輩は言った。
「よし、じゃあとりあえず、淺演はすぐに作業に入れ!他の部隊は交代で休憩!以上!解散!」
桐先輩はそういうとすぐに陣から立ち去った。
僕達は陣の防衛のシフトを決めてから散開した…。
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散らばってからしばらく経った。
外では順番に防衛のシフトを回しているようだ。
「はぁぁ……」
と俺、淺演はそんな中で1人、持参の花火をちまちまとほどいていた。
ーー正直この作業はきつい…。
と思いながらも初めての大役に少し興奮を覚えながらも作業を続けていた。
すると、自分のテントの外から声がかけられた。
「……淺演君…?容器とか持ってきたよ…」
聞こえてきた声は、雪姫(あまりの素っ気なさ、と雪のような銀髪から僕達が勝手に呼んでる)アメリアだった。
「雪ひ……!?ア、アメリアさんですか?」
と、何も疚しいことは無いというのについ僕は動揺してしまった。
「……えぇ…入っていい?…正直重いの…」
僕は急いで入口を開け、受け取った。
「ごめんなさい、ありがとうございます」
「……別に…いいわよ…後、少し話したいから入ってもいい…?」
と彼女は少し首を傾げながら聞いてきた。
「えぇ、どうぞ」
と僕は彼女を招き入れた。
正直、花火のゴミや道具でゴッチャゴチャだ。
「……へぇ…」
と彼女は作業場を見る。
「かなり汚いですけど、座れるとこ座っちゃってどうぞ」
「……大丈夫よ…ありがとう…」
「…どうやって作るの…?」
と彼女は近くの椅子に座り聞いてきた。
「えっと…」
僕は地べたに座り説明しながらも受け取った物を使って作業を開始した。
ーー作業は至って簡単、容器の中に先程までほぐしていた火薬を満パンに入れニクロム線を真ん中に置き蓋を閉める。と、少し特別な技術を使って完了。
「はい、これ」
と僕は完成したお手製爆弾を渡した。
彼女は興味深そうに手渡された爆弾をじっくりと見た。
しかし、その姿と持ってる物がそぐわずつい微笑していると
彼女は何かを確信したように少しうなづいてから、こちらに爆弾を渡してきた。
「どうですか?なかなかですよね?」
と僕が自ら作った爆弾に少し惚れ惚れしていると
彼女は少し口角を上げながら
「……えぇ、そうね…」
と言い立ち上がってブレスレットを外し、空中に放り投げ呟いた。
「……rilascio Arma…」
空中に投げられたブレスレットは紫色の光を放ち変形し黒色の双剣となった。
彼女はそれを瞬時にキャッチして一気に俺めがけて斬りかかった。
が、俺は久しぶりの戦闘のため、彼女の双剣が黒い一線にしか見えず反応が遅れた。
「くっ…rilascio Arma!」
ーーガキッ!
と嫌な音をたて彼女の双剣が僕の顔ギリギリで止まった。
僕は彼女を警戒しながらも、もう二度と使うつもりは無かった武器を見て、ため息をついた。
僕のエンジ色を基調としたモルゲンステルンは柄の部分で彼女の牙を受け止めたものの、反応が遅く変形途中で受けたためか、なんとも奇妙な形で固まっている。
その上、彼女の双剣の刃がめり込んだまま外れない。
彼女は少し驚いたもののすぐに双剣に体重をかけ押し切ろう抑え込んできたのでなんとか対抗使用としたが次第に押され始めた。
ーーそりゃそうだ。今まで封印してきた僕と、多分普段から使い慣れている彼女じゃ思いっきり差がある。
そして、白と黒のコントラストがハッキリとわかるぐらいまで近づいた時
彼女は少し嘲笑いながら僕の耳元で囁いた。
「……さも有名な"甲兵の鳴物師"にしてみれば…あんなもの…容易いもんでしょ…?」
To be continue…
お久しぶりの投稿です。
かなり修正に戸惑ってしまいました…(´・ω・`)
11/18修正を加えましたm(_ _)m