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アトランティスダリア~支配者たち、夢の地にて~  作者: 紫陽花ブロロ
プロローグ 夢の地
3/36

プロローグ  ゲームマスターとNPC

そろそろプロローグも終わります。

どのゲームにもゲームマスターというものは存在する。

その存在は、運営であったり、プレイヤーであったり、ラスボスだったりする。

そしてそのGMは異質で一般プレイヤーからかけ離れたものでないといけない。

あるいは、一般プレイヤーがGMの領域に達することも許されない。

そして、GMはその存在を悟られてはいけない。

それは、一種のゲームバランス崩壊につながってしまう。


だが、今、凜雅は独断で霧心をGMの聖地に入れようとしていた。

ましてや、自身がGMであることを教えてしまった。

それは、緊急事態だからと言って許されるのか。

はたまた、咎を受けるのは、凜雅ではなく、知ってしまった霧心かもしれない。

それを決めるのは、凛雅一人ではなく、ハルシャにいる全員だ。


「おい、凜雅さんよ、俺はこの先を知ったらどうなるんだ?嫌な予感しかしないんだけど」


それはそうなのだろう。人間が未知に突っ込むというのは全くその通りだ。

不安、心配、混乱。

それらが未知を知る前の通過点だ。


「お前がこの先を知ると、最悪幽閉、あるいは…。」

「あるいは死か。」

「まぁな、昔の仲間のよしみとして最大限にフォローする。なんも起きないかもしれねぇしな。」


これはあまりにも自分勝手だ。抱える問題と不安を二人で分かちたい。

そんな感情に任せて連れてきた。もちろんそれだけではない。

霧心だったからこそ連れてきたというのもある。

それは信頼できるクランのメンバーであり、なにより理解力と判断力に長けた男だからだ。


凜雅が昔、純粋に大人数戦闘を楽しんでいたころ、所属していたクラン「むき身の刃」

「むき身の刃」は今は失踪したクランのマスター・ユメが創り、そこにヘッドハントされた最高位のプレイヤーが集っていた。

クランのメンバー全員がこの世界を愛し、それぞれに無類の信頼を置いていた。

クラン自体は、大遺跡以外のすべてのダンジョン、クエストをクリアし、アイテム欄も空白がないという、

プレイヤーの中では一番有名で、みんなはヘッドハントされることを狙ってプレーしていた。

が今はもう解散してしまった。

原因はクラマス・ユメの失踪。失踪というよりは行方不明。


そして、俺はまだ俺たちのクランへの信頼は捨ててない。

五人のGMのなかで唯一、クランに属したプレイヤー。

そのありがたみは、十二分にわかっている。


俺は少し考え、霧心に問う。

「なぁ霧心、信頼を置いてるお前だから連れてきたけど、ほんとにいいのか?命かけることになるかも知んねーんだよ?それでも、知りたいか?」

「もちろんだね。もしかしたら、この世界から出られるかもしれないのだから。」

「それはないと思うぞ。なんてったって俺もメニュー出せねーんだから。」

「だとしても、現状を知ることができる。」

「その結果、排除されるとしてもか?」

「あぁ、そうだ!」


排除。

その現象がこの世界にとって、どんなものか今はわかっていない。なにせ、今この世界は俺たちGMの支配下にないのだから。

希望的観測をいうと、この世界、つまりアトランティスダリアからの脱出。

その次は幽閉、もしくは、拘束。

最悪、死。

しかしこの死というのも分からない。

ゲームのころのようにベッドで復活するのか。

それとも、現実世界とリンクしていてリアルでも死ぬことになるのか。

それ以外にも可能性はたくさんある。


「おいおい、凜雅。お前ゲーマスなんだろ?信じれないが。」

「あぁ。だった、がふさわしいかもしんねーけど。」

「だとしても、少しはドンと構えろよ。ここは、仮にも夢の世界なんだ。俺たちむき身のな。」


そうだった。

混乱しすぎて、思いもつかなかった。

ここは俺たちの作った、夢の世界なんだ。


「あ、ここにおられましたか。いささか遅いです。」


そういって、こっちに向かってくる影。


「どうも、お久しぶりです。」

「…………」

「まさか、わたくしをおわすれで?」


信じれない。頭の中はそれしかなかった。

さきほどの、脳内コールは、心の指示だったというので納得がいっていた。

定型文と同じ、心の作った文章なんだと。

しかし、これはありえない。

NPC、ノンプレイヤーキャラが表情を作り、定型文でない言葉を話している。


「お、お前は葵…なのか?」

「はい!そうでございますが。」

「どうして、俺と普通に会話できているのだ?」

「と言いますと?」

「NPCであるお前は定型文しか話せないはずだ。」

「そうは申されましても」

「ああああぁ!考えても分かんねぇ!」

「な、なぁ。凜雅?こいつもしかしてNPCだったのか?」


俺もだが、霧心も現状を理解できてないようだ。


「心に話を聞くしかないか。」

「はい、それが得策かと。ところで、後ろのお方はどちら様でしょうか?一般プレイヤーは立ち入り禁止ですが。」


葵は薙刀を取り出し、臨戦態勢に入る。


「まてまて、俺の連れてきた俺の仲間だ。」

「それは、知らない無礼にお許しを。ですが、勝手に入れられても大丈夫ですか?」

「責任は俺にある。それと、俺たちを第八階層、大広間へ」

「承知。」


というと葵は俺と霧心に触れ、


「転移第八、広間。」


と唱える。


刹那、俺たち三人は大広間でみんなの前に立っていた。

誤字脱字の報告、よろしくお願いします!

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