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78.シャルドネの空間に行きました

 「ーと言うことなんだよ。OK?」


 俺はロメに事の次第を話した。


 「なるほど。つまり、そこにいる女の子はテラなのですか」

 「そういうこと。で、テラの部屋どうすればいいかな?新しく作ったほうがいい?」

 

 今まで俺の部屋とロメの部屋…というか書斎はあるのだが、他に誰かが住める部屋がないのだ。


 「そうですね…テラ、あなたはどうしたいですか?」

 「…部屋、どうすればいい?」


 なるほど、使い方も何も知らないか。大体、テラはスライムだもんな。


 「巣とかみたいなものだ。いるか?」

 「…うん。欲しい」

 「了解。『干渉:メインルーム、部屋19~20へ』…うん、これでよし。さて行くよ」


 部屋の数を増やした。場所はここ、ロメの書斎の隣にしておいた。そうすれば、何かあった時ロメに聞けて便利だろう。


 俺はロメとテラを連れて隣へ行く。


 「こんな感じ。何か欲しいものはある?」

 「…何が必要?」


 ふむ。テラに聞くのが間違いだった。


 「とりあえず、クローゼットとベットは用意してあるから、他に欲しいものがあったら言って。あと、洋服はクローゼットにも入ってるからね」

 「…わかった」

 「ロメ、テラに一般知識を教えてあげて。あと、家事とかも」

 「承知しました。主は?」

 「ちょっと行きたいところがある。『扉』…じゃあ頑張ってね」


 俺は”シャルドネの空間”へ扉を開き、空間をまたぐ…






 「ふむ。ここに来るのは数日ぶりだけど、なんだかんだで何も見てないから何があるのか知らないんだよね…」


 空間は、相変わらず真っ白いだけで何もない。いや、本当はここからずいぶん向こうに扉があるのだが、それもほぼ見えないようになっているので、実質ただの真っ白いだけの空間だ。それに、その扉から別の空間につながっているので、何もないのもこれといって問題ではない。シャルドネの記憶にも、そこから別の幾つかの空間の場所のことがあった。


 俺は、シャルドネの空間に呼ばれて以来、一度もここに来ていない。なので、一応確認などをするために戻ってきた。

 ついでに言うと、この空間は俺がシャルドネを吸収したため、所有者は俺になっている。



 「さてと、まずは…ん?」


 俺が扉に近づこうとした瞬間、向こう側から扉が開いた。

 眷属などは、主人であるシャルドネが消えたため、もういないはずだ。いったい誰が…

 

 俺は、何者かが出てくるのに備えてその扉から離れた。



 「おや、おまえ誰だ?つーか、シャルドネしらねぇか?」


 その扉から出てきたのは、赤い髪に180cmを超える身長、黒いローブを纏った若い男…シャルドネの記憶にあった”キャルディ”だった。


 俺はとりあえず”心読み”を起動したが、レジストされたのがわかった。こいつ、かなりやばいかもしれない…



 「シャルドネなら、もういないよ〜」


 俺はとにかく、いつものように人当たりのいい笑顔を向け、にこやかに返事を返す。


 「いないってのは…どういう意味だ?」

 「そのまま。殺られそうになったら、先に殺っただけ。別に僕は悪くないよ。先に手を出そうとしたのは、あっちだからね」


 キャルディの表情は、怒りに震えるようだった。が、俺が答えた瞬間「ああ、そうか」とでも言うように納得したような表情へ変わった。


 

 「はっはっは…あのアホ。ついにやらかしたか。いやぁ〜、いつかやるとは思ってたけどよ、まさか二度目の破滅から2900年程度でやるとはな」

 「どういうこと?」

 「あいつ、俺が教えてた時から人のことバカにしてたんだよ。まぁ、つまり傲慢かつ高飛車な態度のやつだったんだわ」

 「ふ〜ん」


 確かに俺を倒そうとか思っていたみたいだが、性格も残念だったんだな。

 キャルディがシャルドネをバカにするような言い方している。



 「だから、そんなんじゃいつか殺られるぞ、っていつも言ってたんだがなぁ…」

 「大変だったんだね」

 「ああ、全くだ。神魂になった最初の生物だから、俺が直接教えてやったってのに感謝の一つもしないで、それどころかこの世界の管理者権限ぶんどってくわ、腹立つやつだったわ」

 「ふ〜ん…会いたい?」


 一応、魂の中の記憶とか性格とかの部分は残して吸収したから、取り出して作り直すこともできなくはないのだが…まぁ、多分俺の中にある魂たちの叫びに飲み込まれかけて、精神崩壊起こしていそうだが。


 「いや、遠慮する。面倒くせぇし、会いたくねぇ」

 「了解〜」


 面倒くせぇって言われる弟子ってなんだよ…キャルディも露骨に嫌そうな表情をしているし。

 

 「というか、お前誰なんだ?シャルドネの気配か消えたから、こっちに来てみたんだが」

 「人に聞く時は、自分から名乗ろうよ」

 「あ、ああ。そうだな。俺はキャルディだ。で、お前は?」

 「つい最近、神魂になったばかりのエクレイムだよ」

 「は?いやいや、お前それはないだろ。魂が俺ら2人の次くらいに強いぞ?」


 へぇ〜、そうか。俺はなかなか強いのか…ん?2人?


 「2人って?」

 「ああ、俺の弟だ。名前はガルディ、双子なんだ」

 「ふ〜ん。ところで、神魂になった最初の生物って、キャルディじゃないの?」


 ふと気付いたのだが、最初ってことは、キャルディたちは神魂じゃないのか?


 「いや、俺らは生物じゃねぇ。本物の神様ってやつだ。神魂とは違う」

 「…ん?神様って神魂のことじゃないの?」

 「いや、神魂ってのは…って、なんで俺が話さなきゃなんねぇんだよ?」

 「あ、うん。そうだね」

 「まぁ、それでよ。あの野郎は…」


 キャルディの話は続く。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 



 かれこれ3時間くらい話しただろうか?

 俺も結構話したが、キャルディはなんかいいやつな気がする。嘘をついてる目はしてなかったし、何より一緒にいると楽しそうだ。


 「まぁ、そんなことより、今の管理者はお前ってことでいいんだな?」

 「うん、多分」

 「多分?」

 「一応、まだ神魂になって一週間くらいなんだよね…」

 「は?そんなに最近かよ⁉︎なんでそんなに魂が…」


 キャルディは一瞬驚いたようは顔をした後、何か思いついたような顔をした。



 「なぁ、お前。俺の弟子になんねぇか?」


 弟子?突然どう言う風の吹き回しだ?


 「なんで突然に弟子?」

 「管理の仕方とかもよく知らねぇだろうし、神魂のとかの事もあのシャルドネから詳しくは聞いてないだろ?それに、最初からそんなに魂が強いんだ。育てたら面白そうだし」


 なるほど…つまり楽しそうだと。

 

 まぁ、管理の仕方とかについては、シャルドネが真面目に聞いていなかったのか、記憶の中に詳しい知識はなかったし。他にもいろいろ教えてくれるのなら、その方が俺が自分で詮索したりする手間が省けていい。キャルディも面白そうだし構わないんだが…

 

 


 「ねぇ、それって今じゃなきゃダメ?僕、一応勇者と一緒にこっちに来てて、一度一緒に帰るつもりなんだけど」

 「受けること自体は構わねんだな?」

 「うん。で、ダメ?」


 神野たちが帰るのに合わせて、俺も一度向こうに帰ってしばらく向こうで過ごすつもりなんだけど。


 「よし。それは、どんくらいで帰って来ればいい?」

 「こっちのオービスで一週間くらい。この世界の大会があって、それを見に行きたいんだ〜」

 「そうか。それなら問題はないな。俺が新しく世界を創ればいいだけだ」

 「え?」


 新しい世界って、そういう意味だ?


 「時間軸をずらして、こっちの数日間くらいで向こうが何千年くらいの世界を作る。そうすりゃ、向こうで修行してる間にこっちで時間過ぎる心配もねぇ。それならいいか?」

 「え…あ、うん。それなら」

 「よし、そうと決まりゃ作るから待ってろ…」


 キャルディが右手を前に出し、そこから濃密な神力が出始める。

 そして、しばらくするとそこに歪みが生まれ、それがだんだんに大きくなっていく。

 更に少しして、何かが弾けるような感じがしたと思ったら、歪みが消えて穴があった。


 「え?なにそれ…」

 「今、新しく世界を創った。今設定中だ。もうちょい待て」

 「う、うん…わかった」


 よくわからないが、何かすごいことをしているのはわかった。





 「…うし、これでいいだろ。行くぞ」

 「え?はぁ…」


 その後、突然キャルディが声を上げたかと思うと、その穴に入っていった。俺もそれに続く…



 すると、そこにはシャルドネの空間と同じように、ただ真っ白い場所が広がっていた。


 「よし、閉じるから少し離れろ」

 「あ、了解」


 俺が少し離れると、そこにあった穴が塞がる。


 「よし、じゃあ始めようか」

 「え?いきなり?」

 「おうよ。ええと…なんて呼べばいい?」

 「エクでいいよ」

 「そうか。じゃあエク、とりあえず。俺を殺しに来い」


 殺しに来い?


 「は?どう言うこと?」

 「今の能力値が見たい。安心しろ、こっちからは手を出さない。さすがに女に手を出すのはどうかと思うしな」

 「あ、僕はもともと男だよ。体作るのミスったせいで、こうなってるけど」

 「え?マジ?」

 「うん、マジ」

 「シャルドネに教えられなかったんだな…」

 「うん。そうだね」

 「…まぁいい。とにかく能力が見たい。全力で殺しに来い。多分今のエクじゃあ、俺に傷つけるのは無理だろうし、問題はない」



 うむ、なんか腹立つ言い方だが、多分事実だろうな…

 まぁ、一箇所くらいは傷くらいつけてやろうじゃないか。上から物を言われるのは嫌いなんだ。


 「…わかった。『肉体変換、解除』『創世:クレイモアx250』『義腕x248』起動」


 俺はしまっていた翼を全て出し、俺の周りに大量の剣を作り出し、それを義腕で持って構える。今の俺が同時にできるのは500程度の思考が限界。なので、魔法に半分を裂き、残りで剣を持つ。


 「さぁ、来い!」

 「よし、行くぞ〜」


 俺は久しぶりに真面目にやるつもりでいる。



 俺の”ナイフ戦闘術”ってスキルは、向こうの世界にいた時にナイフで練習していたからあったのだと思う。

 俺が本来使っているのは、西洋剣などの大きい剣を振り回すための物や剣道、その他いろいろな物が組み合わさって出来たものだ。

 だから、本来ならもっと大きい剣でやるものなのだ。だが、向こうではさすがにそんな大きい物を持っていたら、銃刀法違反で捕まるから使えないので、代わりに手頃なナイフを使ってやっていた。

 向こうでいろいろな指南書やパソコンや道場などから知識を集め、それを自分で動きやすいように作り変え、生み出した。それは、こっちの世界でも続けている。

 だから、俺だけの戦闘術である。



 まぁ、でもまずは様子見ってことで…


 俺は、その大量の剣の半分を同時に当たるようにキャルディに向けて振り下ろし、更に残りをそこに開いた隙間に向けて振り下ろす。


 「よっ…ほっ」


 が、それをキャルディは軽々かわす。まぁ、さすがにこれぐらいじゃあ無理だとは思ったけど。


 「ほら、その程度か?」

 「これからだよ…」


 腹立つわ〜。

 まぁ、そんなこと思っても仕方がないので、俺は次々に剣を振り下ろし続け、そこに向けて神法に組み直した魔法を次々に打ち込む。

 まぁ、そこまでの威力はないものが多いけど。

 


 

 「う〜ん、意味ないと思うんだよね…」

 

 しばらくやってみるが、目の前には煙が立ち上るだけで、キャルディに当たったような感じはない。

 ダメだな。一度止めよう。


 俺は発動している魔法を全て止め、剣も俺が持つ1つを残して消す。


 煙が消えると、そこには何もなかったようにキャルディが立っていた。


 「…エク、お前…これ結構辛いんだけど」

 「あ、続けた方が良かった?」

 「いや、どうせ当たんねぇよ」

 「やっぱり?じゃあ今度は、真面目にやるよ。さぁ、構えて〜」

 「は?今ので真面目にやってなかったのかよ?」

 「様子見でしょ?」

 「はぁ…で、次は何するんだ?」

 「真面目にやるよ〜。ほら、武器でもなんでも構えて」

 「はぁ…了解だ」


 キャルディは武器を出すことはなく、素手を空手のように構える。


 「準備はいい?」

 「ああ、いいぞ」


 俺は剣を構え、キャルディに向かって走り出し…


 その剣を振り下ろし、躱されたところに”風鎌”を起動し、更にそれを躱した先に向かって剣を薙ぐ。


 「おっとっと…なかなか筋は悪くないな」

 「余裕で避けといて、それ言う?」

 「はっはっは」

 

 俺はそのまま剣を振り続け、魔法と剣でキャルディに攻撃を続ける…

 

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