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77.テラで試しました

 「さて、この辺に扉を設置して、”メインルーム”に帰ろ。『扉、設置』…」


 俺は、あれから少し飛んでリューシャの入り口付近にいた。もう、かなり雪が降り積もっていて、中には入れそうにもないので、仕方なく今は外に扉を設置して”メインルーム”に帰ることにしていた。

 ついでに言うが翼はしまったぞ?


 

 「さて、じゃあ『扉、メインルーム』」


 俺は空間をまたぐ…



 「おかえりなさいませ。主、もうお戻りですか?」

 「うん、すっかり大雪の時期なのを忘れてて、中に入れそうにないから、扉だけ設置してきた」

 「そうでしたか。ところで主、ひとついいでしょうか?」

 「え?別にいいけど、どうかした?」


 何かあったのだろうか?


 「その”扉”の設置は必要なのですか?”世界掌握”で位置を確認すれば、そのまま作れるのでは?」

 「あ、確かに」


 ”世界掌握”は、位置を知るにはもってこいのスキルだ。ならば、これを使えば一発でそこに行けるのではないだろうか?

 

 「忘れてた。ちょっと試してみる。『扉』…あ、いけるね」


 俺は、王国の自分の部屋の位置を確認して、そこに扉を作ってみたのだが、普通に扉が俺が作ろうとした場所に発生した。つまりこれで、毎回移動したり扉を設置したりしなくてもいいってわけだ。



 「毎回、主が扉を設置をしているので、わざとやっているのかと思ってましたが、どうやら気づいていらっしゃらなかったのですね」

 「ははは〜。まぁ、うっかりだよ。じゃ、俺はいつものところにいるから。『扉』…じゃあ、後よろしく」



 俺は”空白世界”へ扉を開き、空間を移動する。



 


 「さて、じゃあテラを進化させてみようか。『扉』…テラ、おいで」

 

 俺は、”眷属の箱庭”からテラを出す。


 テラを進化させるというのは、俺が”神魂”になったように、テラも俺が神力でも与えれば進化するのではないかと思ったのだ。テラは俺の魔力を吸って巨大化してきているので、神力を与えれば”眷属”から、”使徒”へと進化すると思う。使徒と眷属の差は、主には神力を持つかそうでないか。他には使徒は眷属よりも能力的に優れていることが多いことくらいだ。



 「よし、じゃあいくよ…」


 俺はテラを手の上に乗せ、そこに神力を放出する…




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 「う〜ん、まだかな?」


 神力を放出し始めて、約2時間と少し。神力自体は、使ったそばから勝手に生成されるので、全く辛くもなんともないのだが、やることがないのは些か問題である。

 そして、テラの方はというと、なんとも気持ちよさそうに神力を浴びている。変わったことと言えば、今までよりも透明さが増したくらいといったところで、特にこれといった変化はない。



 「何か条件があるのか?…いや、俺の時はある一定量を超えると変化したんだし、もう少しすれば変化があるかもしれないな」


 俺が”神魂”になった時は、レベルが200を超えるか保有エネルギー量が1000000を超えるのが条件だった。ならば、こちらももう少し量が必要なのかもしれないな。


 「わっ⁉︎」


 そんなことを思っていた時、テラが突然光りだした。

 体から光を発し、俺が魂を作り変えられたように、テラも変化していた…

 


 「え…?」


 と思った矢先、即座に光が収まった。どうやら、俺が変化するのとは少し違うようだ。

 見た目も今までとは違い、キラキラと煌めく結晶のようなものへと変わっていた。


 「とにかく見てみよう。『解析』…」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:テラ

種族:マルチブル・クリスタル・スライム

ランク:想定不能

状態:エクレイムの使徒

スキル:収縮 属性化 自己修復 使徒化

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 どうやら変化自体は終わっているようだ。スキルも”嵐化”が”属性化”と昇華しているし、新しく”使徒化”が追加されている。


 「というか、”使徒化”ってなんだよ…テラ、今できるか?」

 

 とりあえず、テラにやれるものなのかを聞くと、肯定的な意思が伝わってきた。


 「じゃあ、やってみてくれ」


 俺が頼むと、テラは俺の手の上から床に降りた。そして、テラからまた光が発せられ、その光が人型に変化していく…



 「…こんな感じ。どう、主さま?」

 「…うん。どうなった」


 しばらくして光が収まると、そこには1対の翼を持った小さい…とは言っても今の俺よりは大きいけど…女の子が首を傾げて、こちらを見ていた。しかも裸で。



 「というか、テラって女の子だったんだな。」

 「…うん」

 「ところで、服は?」

 「…ない」

 「作るのも?」

 「…無理」

 「はぁ、『創世』…ほれ、これ着ろ」

 「…了解」


 俺はパパッとワンピースと下着を作り、テラに投げ渡す。

 

 

 「…これでいい?」

 「ああ、大丈夫だ」


 テラが服を着終わった。見た目は、見事に天使様って感じになっている。俺の作った服のデザインのせいもあるが、なかなかにいい感じだと思う。


 「…似合う?」

 「うむ、いい感じだな。」

 「…///」

 

 なんだか、めっちゃ照れてるんだけど…なんというか扱いに困る。

 今まで、俺の近くにこういうタイプの奴がいなかったので、どういう反応をしていいのやら。



 「で、”使徒化”ってなんなんだ?」

 「…私が、”使徒”になる?」

 「だろうな。聞いた俺がバカだった」



 俺が知らんのに、テラが知るわけはないだろうな。仕方がない、記憶見るか…


 俺はシャルドネの記憶を辿る。



 「あっ、あった。ええと…」


 記憶によれば、”使徒化”は対象が天使の姿など、神魂の使いに変化するスキルのようだ。また、変化する姿はその使徒のイメージ次第、ただし性別は変わらないらしい。効果といえば”人型になれる””能力値が上がる””寿命の消滅””神力の生成ができるようになる”といったところが主で、他にもいくつかあるがほとんど眷属と変わらない。



 「で、今までとの変化は何かあるか?」

 「…手足が「それはわかる。別のことだ」…?」


 俺が聞きたいのは、その使徒状態だと疲労がたまるとか、気だるいとか、力が湧くとかなんだが、イマイチ理解していないらしい。


 「はぁ…その状態だと”疲れる”だとか”大変だ”とか、何かないか?」

 「…わかんない?」

 「よしわかった。テラはそういうのが向いていないのだな」

 「…ごめんなさい。主さま」


 テラがショボーンとする。別に得意不得意があるのはしょうがないので、あまり気にしないでいいんがだな。俺だって、できないことはいくらかあるし。


 「気にするな。元々そういうのはロメの仕事だしな」

 「…私にも、できることない?」

 「う〜ん…」

 「…主さまの役に立ちたい」


 というか、さっきからの”主さま”の”様”がむず痒いのだが…

 ロメにも”主”と呼ばれるし、王城の人たちは仕方がないと思って我慢したが、他の人たちには”様”をつけて呼ばないでくれといつも頼んでいる。


 「まず、その”主さま”ってのをやめてくれ。様付けされると、なんかむず痒いから」

 「…ええと、どうやって呼べばいい?」

 「好きなように呼んでくれていいよ。テラが呼びやすいように」

 「…じゃあ、姉様?」

 「いや、結果的に様ついてるじゃん。それになんで”姉様”?俺男だし。いや、確かに今は違うけど」

 「…かわいいから」

 「…へ?」

 「…今、主様かわいくて、優しいし、いい人。頼りたいから」

 「…お、おう」 

 

 これはどう返せばいいんだ?俺は少なくとも精神は男だし、かわいいと言われても困るんだが…


 「…だめ?」

 「はぁ…まぁいいけど、せめて”様”はやめてくれ」

 「…じゃあ、お姉ちゃん」

 「まあいいや。とにかく、一旦ロメのとこ行くよ。『扉』…ほら」

 「…うん」


 

 俺はテラを連れてロメの書斎へ向かう…


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