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73.ついにやりました

 図書館で知識を蓄えるのと、空白世界で訓練と、迷宮から”世界の意思”を持って帰ってくる、という生活を始めてかれこれ5日目。



 「さて、そろそろやってみるかな。」


 俺は今、”隔離部屋”にいる。昨日の時点でレベルが199になり、”世界の意思”は8回ほど回収してかなり大きくなっていて、そろそろ部屋に入れるのに限界を感じるので、今から吸収してみようと思うのだ。


 「とりあえず、これどうやって吸収すればいいかな?」


 俺の目の前には、直径3mくらいの光の玉を8回まとめて20mくらいの巨大な玉になっている”世界の意思”がある。さすがに、これを俺の魂に押し込むのは無理そうである。


 「手でも突っ込んでみるか…」


 俺は右手をグイッと玉の中に突っ込む。すると、右手が崩壊し玉に吸収されているのが感じられた。


 「うん、やばいなこれ。どうしようか?」


 このまま手を突っ込むのだと、おそらく俺の方が吸収されてしまうだろう。魔力で手をカバーしてみたらどうだろう?


 俺は、久しく世界に魂に干渉されて魔力を作り、手を魔力で覆ってそのまま玉に入れてみる。


 「あ〜…だめだな。でもさっきよりはマシみたいだ。」


 さっきは、入れた瞬間から破壊されていったが、今回はしばらく保ってから破壊された。なら、魔力より強い魂を破壊したエネルギーでやるか。


 俺は今度は手を魂を破壊して作ったエネルギーで覆い、玉に手を入れる。


 「おお〜、大丈夫だわ。これでいけるな。」


 こちらなら、問題はないようだ。さて、じゃあやってみるとするか。


 俺は、全身をエネルギーで覆ってエネルギー体の中に入り、少しずつ吸収を始める…




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^




 吸収を始めて13時間。つまり半日が経った。

 すでに、ほとんどが俺に吸収され、エネルギー体も残り20cmくらいの玉となっている。

 そして、これを吸収する時には、生物たちの記憶だけでなく、もはや世界の意識と言えるようなものが頭の中に流れ込んでくる。そのせいで、始めからずっと意識を保つのも辛いのが延々と続いている。


 「う、ぐぐ…あ、あと少し…」


 そんなこんなしているうちに、エネルギーが全て俺の中に入り、あとは安定させるだけとなった。


 「…ふぅ、おわった。」


 少しして、エネルギーが完全に俺のものとなったのが感じられた。その瞬間、俺はその場に倒れこむ…


 「ぐ、がっ⁉︎う、がぁぁあ⁉︎」


 俺の体に、とてつもない痛みが走っていた。まるで、俺が作りかえられているようだった。意識は朦朧として、肉体は崩れ、魂が別のものへと変わっていき、体…いや、魂に激痛が走り、動くことはできなかった。


 









 それから、どれほどの時間だたっただろうか。少なくとも、5時間以上は経っている気がする。


 少ししてくると、だんだん痛みは薄れて意識がはっきりとしてきた。なんというか、俺が完成するのが感じられた。



 (な、なんだったんだ、あれは…)


 突然のことで、何が起きたのかが全くわからない。ただ、俺の魂が変化したのはわかる。今までと違い、目の前に置いてある鏡に映っている魂は、白い光の玉ではなくて霞んだ銀色をしたモヤの塊だった。


 (一体俺の体に何が起きたんだ?…て、なぁぁぁ⁉︎)


 

 俺が、何が起きたのかを確認しようとした瞬間、俺の真下に穴が空いた。

 俺は為す術もなく、その中に吸い込まれる。


 (何なんだよ次から次に!)


 そんなことを考えながら落ちていると、次の瞬間には目の前が明るくなった。

 

 そして、目の前にはただ真っ白い空間が広がっていた。



 (ここはどこなんだ?)


 「ここは、私の空間よ。」


 俺の考えに反応するかのように、真後ろから声が聞こえた。真後ろには、緑色の髪の女のエルフ…いや、ハイエルフがいた。


 (え〜と、誰?)

 「私は、シャルドナよ。第一、人に名前を聞くときには、自分から名乗るのが礼儀じゃない?」

 (あ〜、そうだね。僕はシンだよ。で、ここは何なの?)

 「言ったでしょ。ここは私の空間よ。」

 (いや、そうじゃなくて、なんで僕はここにいるの?)

 「ああ、そっちね。あんたが”神魂”になったからよ。」

 (”神魂”って何?)

 「その状態のことよ。とりあえず体作ったら?」

 (あ〜。そうだね。ちょっと待って…)


 俺はいつものように、自分の魂の情報から肉体を形成する…


 「よし、できた…あれ?」

 「ぷっ…」


 なんか、いつもよりえらく声が高い。それに、目線もかなり下がった気が…って、何これ?灰色っぽい髪の毛みたいなのが、俺の目の前に落ちてきたんだが…


 「ん?何これ?」

 「あんた、女の子になってるよ…っくくく。」

 「え?」

 「ほら鏡だしてあげる。」


 シャルドネが俺の目の前に鏡を持ってくる。


 そこには、身長が145,6cmくらい、輝く灰色の髪の毛、白っぽい瞳、そして何より背中から3対の銀色の翼の生えた、可愛らしい女の子が立っていた。しかも、俺が動くと同じように動く。

 どうやら、肉体を作るのをミスったらしい。でも、いつも通りに魂の情報から作ったはずなんだが…


 「あ、ほんとだ。しかもなんか翼ついてるし。作り直さなきゃ。」

 「っくくく…無理よ。”神魂”になってから、最初に作った体は、その”神魂”の基本の肉体になるもの。っくくく。」

 「え?まじで…何でこんなことになってんの?」

 「あんた、魂から作ろうとしたでしょ。だからよ。」 

 「何で魂から作るとだめなの?」

 「”神魂”になると、魂の情報も書き換えられて、その魂の持ち主のイメージする”天使”とか、”神様”に一番近いものに変わるのよ。」

 「ふ〜ん、じゃあ神様じゃなくてよかった。」

 

 俺がイメージする”神様”って、ヒゲの生えた老人だからな。さすがにそれは嫌だ。


 「大体、あんた男だったのに、性別変わってなんともないの?」

 「え?何かって?」

 「え、だってあんた男でしょ?」

 「うん、そうだけど。それがどうかしたの?」

 「普通は、”女になっちゃった!どうしよう!”だとか、”ち○こがない!俺の息子が〜!”とか、もっと反応しない?というよりするでしょ!」



 なるほど、確かにそういう反応の方がそれっぽいな。


 「あ〜、そうかもしれないね。じゃあテイクツーってことで…女になっちゃ「もういいわ!」…あ、そう。」

 「なんなのよ、全く!大体、あんたおかしいのよ!なんで、まだ1000歳にもなってないのに、進化してんのよ!」

 

 どういうことだ?

 いや、その前に”心読み”くらいは発動しておこう。見ず知らずの奴の言葉なんざ信用するつもりはないし。『心読み』起動…


 「なんでおかしいの?」

 (こいつ、やっぱり知識も何もないようね。信用させて、隙を見せた瞬間に殺して吸収しましょ)

 「あんた、しかも理解してないの⁉︎全く…しょうがないわ。説明してあげるからよく聞きなさい。まずね、”神魂”に進化するには…」


 

 まぁ、ざっとまとめると。

 

 ”神魂”とは、俗に言うところの神様。正しくは、世界を管理する生物。

 ”神魂”になるには、レベル200以上になる。または、1000000以上の魂分のエネルギーを持っている状態になることが必要。ちなみに、普通は最低でも2000年近くかかるそうだ。

 又、”神魂”になると、その時点で寿命はなくなり、死ぬことはなくなる。まぁ、殺す方法はなくもないけどな。原因は”神魂”は、世界に吸収されることはなくなるからだそうだ。

 進化した際の能力値は進化した時の魂、又は持っていたエネルギー量によって変わり、多いほど高い。それは、進化する時に魂が異常に強化されるので、もともとの差が広がるためだそうだ。

 さらに、進化する時は肉体に激痛が走る。痛みの大きさは、進化後の能力に比例する。ちなみに、200レベル程度なら骨が数本折れる程度で、それが2時間ほど続くくらい。つまり、俺はかなり能力が高いらしい。

 

 「ってところよ。大体はわかった?」

 「うん、じゃあこれからよろしくね。」


 俺はシャルドネに向かって手を差し出す。

 俺を殺すつもりなのが、説明中にも結構聞こえたので、殺られる前に殺ろうと思う。


 「ああ、握手でしたっけ?よろしく。」

 

 シャルドネも俺の手を握ろうとして手を出した…瞬間に、俺はそのままシャルドネの魂に手を突っ込み、吸収し始める。


 「かはっ⁉︎…え?な、なんで?…殺気なんて少しもでてなかったし、あんた日本人でしょ?何かを殺すのが…そんなに、簡単にできるわけが…」

 「ふふふ…いや〜、何言ってるのさ。普通、石ころを蹴るのに殺気を出す奴なんていないだろ?それに、俺は人間が大嫌いなんだ。せいぜい俺の糧になってくれ。」


  説明聞くのもだるくなったし、こいつの魂を吸収して記憶と力をもらうことにした。生きたまま吸収するのは、奴隷で練習したので簡単だ。ただ、やられている方はかなり痛いらしいけどな。


 「…な、んで…?」

 「さて、終わった。記憶は、と…へぇ〜、今まで普通に使ってたけど、魂を壊して作ってたエネルギー、魂力って名前あったんだ。」


 完全にエネルギーを吸収して安定すると、いろいろな記憶が俺に流れ込んでくる。


 俺はその記憶を見て、”神魂”について以外の情報も得ていく…


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