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71.図書館に来ました

 俺は、図書館にいる。というか、本を読んでいる。


 「これにも載ってないな…よし次。」



 時刻は午後7時。もう、かれこれ7時間くらい…1冊にかかる時間が、というより6冊を同時に読んでるので、6冊を読むのにかかる時間が約5分。ということで大体504冊を読み終わった。

 俺がこの図書館に来たかったのは、ここはこの大陸一の本の保有量を誇る図書館で、このマドーラには数世紀前の大魔導師のいた時代の遺跡があるので、他の国にはない魔法が幾つか存在しているのだ。なので、俺の知らない情報がたくさん見ることができるし、それに前にロメの記憶を読んだ時に見たエルフのような種族のことも知りたい。

 前にロメの記憶を読んだ時に、エルフにとてもよく似ているがどこか違った種族が、他の種族に神のように崇められている記憶があった。おそらく、ハイエルフというやつだと思うのだが、どこの図書館にも記録が残っていなかったのだ。いや、確かに絵本や伝説などには記載されているのだが、その詳細についてのことがどこにも載っていないのだ。



 「あ…違うか、惜しい。これはエルフだ。はぁ…」

 「あのぉ、もうそろそろ閉館時間なのですが。」


 後ろから、エルフの職員がやってきた。


 「あ、もうこの本を読んだら帰るよ。」

 「はぁ。できるだけ早くしてくださいね。図書館を閉めなくてはいけませんので。」

 「ほ〜い。あ、そうだ。ちょっといい?」

 「はい。どうかされましたか?」


 こいつはエルフだ。なので、もしかしたらハイエルフについて、何か知ってるかもしれない。


 「ハイエルフって知ってる?」

 「ええ、あの最も神に近い種族というやつですよね?」


 伝説には、最も神に近しい種族と書かれている。俺は、それがどういう意味なのかが知りたい。崇められていたということは、何かしらのことがあっただと思うのだ。


 「うん、それについてなんか知らない?」

 「知ってるもなにも、伝説上の種族ですよ。エルフに似た種族であった、というくらいしか知りませんよ。」


 やっぱりそうか。まぁ普通は、それがいたということ自体を知らないのだし、仕方はない。


 「そっか。ありがとね〜。」

 「いえ。でも、それがどうかしたのですか?」

 「ん?いや、なんとなくだよ〜。」

 「そうですか。じゃあ早くしてくださいね。」

 「ほ〜い。」


 仕方ない。まぁ、しばらくここで知識を蓄えるとしよう。ここの魔法とかについても、色々知らないことがあったし。


 俺はそんなことを思いながら、本を元あった場所にしまいに行く…






 「はぁ、やっと終わった。さすがに多くて骨が折れる…次からは、もっと少ない量ずつ持ってこよう…」


 本は、一度に30冊くらいずつ持ってきていたので、片すのが面倒だ。ただ、その方が効率がいいのは間違いないが。


 「さて、戻ろう。『扉、メインルーム』」


 俺は、図書館の後ろで扉を開き、空間をまたぐ。こうすれば、明日はすぐにここに来れる。



 「ただいま〜…あれ?」


 おかしい。いつもなら、入るとすぐに迎えに来るロメがいない。


 ガタガタ…ドン!


 「…お、おかえりなさいませ、主。」


 そんなことを思っていると、奥からロメが駆けてきた。というか、何かが落ちたような音がしたぞ。


 「大丈夫?」

 「え、ええ。少し片付けるのに手こずっていただけですので。」

 「そっか。じゃあ、いつもの所にいるから。」

 「はい、ではお気をつけて。」

 「『扉、空白世界』…じゃ。」


 俺は空間を移動する。



 「さて、『扉、アイテムルーム』…よいしょ。このくらいあればいいかな?」


 俺は魂を3000個ほど取り出す。そして、それをそのまま俺の魂に取り込む…




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 魂の吸収訓練をやってる途中、びっくりすることが起きた。


 (肉体が壊れた〜⁉︎)


 吸収途中に突然、俺の体が壊れて魂だけになってしまったのだ。さて、どういうことだ?


 (今までと違うことといえば…量?)


 いや、だが今までも量が増えて、こうなったことは一度もなかった。おそらく違うだろう。


 (う〜ん…あ、もしかして昨日のか?)


 昨日、体を別の生き物に変えたりと、色々やって魂だけになっているだ。もしかしたら、それのせいで肉体の構成が脆くなっているのかもしれない。


 (はぁ〜…それ以外に思いつく原因がない。)


 多分、世界が作った肉体はしっかりと作られているから壊れないのであって、俺が適当に作ると魂の干渉や強い魔力などにあてられたりすると、壊れてしまうのだろう。これは、しっかりと作れるようにしておかないと、まずいな。魔法とかで攻撃されたら、魂だけになるとか、もはや笑えない。さすがに直接魂に攻撃されたら、どうなるかわからん。


 (仕方ない。外には出ないで、当面はこっちの訓練をやるか…)


 外で魂だけになるとやばい。しばらくは、こっちで過ごそう。知識を蓄えるのはその次だ。まぁ、とにかく体を作ろう。まずは元に戻らないと、何もできないし。

 

 俺は肉体を作る。


 「あ、あ〜。よし、異常なし。さて、どうするか…」


 とりあえず元には戻ったが、どう作れば強い肉体になるのかがわからない。形成するエネルギーの濃度とかなら簡単でいいのだが、さすがにそれじゃおかしい点が発生するから違うだろう。さて、なんだろうか…


 「あ、ロメに聞けばいんじゃね?ロメも魂で肉体を作ってるんだし。よし、ならさっさと聞きに行こう。『扉、メインルーム』」


 俺はロメのところへ向かう。







 「お〜い、ロメ〜。」

 「は、はい。ちょっと待ってください…」


 ガチャ…


 「遅かったね。どうかしたの?」

 「え、ええ。少し、収納が…」

 「どれどれ…あ。」


 俺がロメの書斎を覗くと、中は紙の束が嫌という程積んであった。


 「ねぇ、ロメ。」

 「は、はい。なんでしょうか?」

 「こういう時は早く言ってよ。部屋を広げてあげるからさ。『干渉、メインルーム。部屋:書斎を10m四方から30m四方へ。』…これでよし。」


 何をしたのかというと、空間の書斎に干渉して、無理やり部屋の広さを大きくしたのだ。これは地味に魔力を食うので、あんまりやりたくないのだ。


 「すみません。これからは、もっと早く言いますね。」

 「うん、そうして。」

 「はい。で、主。どういった御用でしょうか?」


 あ、忘れてた。

 

 「そうそう。ねぇロメって体作る時って、どうやってる?」

 「どうやってる、とは?」

 「どうやら、俺は肉体を脆く構成してるみたいだったから、アドバイスでも貰おうかなって。」

 「なるほど。そうですね…私は、いつも魂の形を意識していますかね。」

 

 うむ、全くわからん。

 

 「ええと…どういうこと?」

 「魂に記憶されている、その生物の肉体の情報といったところでしょうか。」

 「ああ、そういうことね。なるほど、やってみるわ。ありがとね〜。」

 「いえ。では、私はこれをどうにかしますので。」

 「うん、頑張って〜。」


 ロメは書斎に引っ込んでいった。


 「さて、じゃあ俺もやるとしようか。『扉、空白世界』…魂の情報ね。魂の情報…」


 俺は空間を移動する。



 「とりあえず、魂だけになる。よっと…」


 俺は肉体を魂に還元する。


 (さて、じゃあ魂の情報に干渉しましょうかね。ええと…これかな?)


 俺は、自分の魂に意識を集中させ、それっぽいのを見つけたので、それを元に肉体を形成する…



 「あれ?何これ?」


 だが、残念ながら変な生物になった。人であるのは間違いないのだが、耳は獣人の耳と人間の耳があるし、額からは角が生えてるし、モフモフとした尻尾があるし、肌は浅黒いしと、いろんな人型の種族が混じったものになっていた。だが、脆くはなくしっかりと形成されているのが感じられる。


 「う〜ん、成功はしたんだけど、なんか違う…人型だけを意識したからかな?じゃあ次は、意識するのは人間だけにしよう。」


 俺は再び魂だけになり、肉体を作り直す…



 「う〜ん、誰だこいつ?」


 確かに人間ではあった。だが、俺じゃなく別人であった。中性的な顔つきに、中性的な体、アレもどっちもあるというキモい仕様。


 「うん、やり直し。」


 その後も魂だけになり、肉体を作り直すを繰り返した…


意見、感想等ありましたらお願いします。


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