63.迷宮から帰りました
「なあ、シンは確か昨日登録したんだよな?」
「うん。そうだね〜。」
「なのになんで47階層まで記録があるんだよ⁉︎」
俺は夕方になったので、迷宮から出てきた。そして今、入り口で門番さんにカードを見せたらめっちゃ驚かれてる。
「普通に行ったから?」
「マジかよ…」
「ははは〜。じゃあまた明日ね〜。」
俺は軽く放心状態の門番さんを放置して、さっさと宿に戻る。今、非常に気になることがあったので、早く”メインルーム”に戻りたいのだ。
俺は宿に向かって走る…
「おや、お帰り。迷宮はどうだった?」
「結構簡単だね〜。」
「おや、そうかい。はい、鍵だよ。」
「ありがと〜。」
「夕食はいるかい?」
「あ〜、うん。今食べる。」
ロメのところで食べてもいいのだが、偶にはこっちで食べたい。
「食堂はそっちにあるからね。」
「そういえば食堂って誰が経営してるの?」
「あたしの娘夫婦だよ。」
「へぇ〜。じゃあ行ってくるね〜。」
「あいよ。」
俺は、受付の横の食堂に行く。
「いらっしゃい、宿泊客?」
「うん、そうだよ〜。」
俺は食堂に入ると、エプロンをつけた女性に声をかけられる。恐らくこの人が娘なのだろう。
「じゃあ、適当に座って。料理はわたしが運ぶから。」
そう言われ、俺はそばの空いてる席に座った。
「はい、本日の夕食メニューは、ガルバの唐揚げとコンソメスープ、ブルムの炒め物だよ。パンとスープはお代わり自由だから、お代わりが欲しかったらわたしに言ってね。」
「ほ〜い。」
座るとすぐに料理が運ばれてきた。準備がいいな。
「いただきま〜す。」
俺は本日初の食事をする…
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「『扉、メインルーム』…じゃあ早くやろう。」
俺は空間をまたぐ。
夕食を食べた後、俺はすぐに部屋に戻り、”メインルーム”に行こうとしていた。ちなみに料理はなかなか美味しかった。
「お帰りなさい、主。今日は早いですね。どうかされましたか?」
「うん、面白いことを見つけてね。」
「そうでしたか。では、早く行きましょうか。」
「うん。『扉、空白世界』…あ、そうだ。今日は奴隷は使わないから。」
俺は、そんなことを言いながら空間を移動する。
「さて、じゃあやろうか。」
「主、何をやるのですか?」
そうだった、ロメに説明してなかった。ワクワクしてて忘れてたわ。
「ええと、簡単に言うと物質生成?」
「…どういうことでしょうか?」
「うん、じゃあちゃんと説明するね。今日、迷宮にもぐってて魔物を倒した時、魔物が魔力になって迷宮に吸収されてたんだ。そこには、魂の含まれていた。ということは、迷宮内の魔物やその魂は、魔力から出来てたことになる。なら、逆はどうだろうか?魔力から、魔物を作り出す…つまり、魔物の魂や肉体などが魔力から出来ているとするなら、魔力で生成することができるんじゃないかって思うんだ。」
「なるほど。つまり、魔力そのものを使い、別のものを作り出すということですか。」
「うん、そうだね。というわけで、どう思う?」
「時間はかかるかもしれませんが、検証する価値はあるでしょう。私たち、”眷属生成”によって生まれた眷属は、主の魔力によって肉体や魂が作られています。なので、恐らくスキルを使えば、同じことが出来てるものと思われます。ですので、”眷属生成”を使い、検証を進めてはいかかでしょうか?」
へぇ〜、そうだったんだ。初めて知ったわ。確かに、”眷属生成”をする時、素材と魔石に結構魔力を注いでたけど、それから眷属が出来てたのは知らなかったわ。
「ふ〜ん、じゃあそれでやってみようか。」
「承知しました。では、素材と魔石をお持ちしますね。」
「うん、お願い〜。」
ロメが準備をしに行く。
「さて、じゃあその間は”眷属生成”とか、”眷属化”のスキルの詳細でも見ようか。『鑑定』」
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スキル名:眷属化
効果:魔物を眷属にするスキル。魔物に名前をつ
けるという行為によって魔物の魂に干渉し、魂を
自らの魂に同調させることによって魔物を自分の
魂に近ずけ自らの一部とする。又、魔物の魔石に
自らの魔力を込めることで、魔石に残る魂の情報
に干渉し、魔物を再生する。魔石の状態が悪いと
失敗する。
使用法:魔物に一定距離近づき『我、汝を眷属と
して迎えるもの。汝に名を授ける。汝、名を” ”
とする。』と、唱えて名前をつける。又は、魔石
に魔力を込めて『汝、我が意志と共にあれ。』と
唱える。
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スキル名:眷属生成
効果:素材と魔石から魔物を作り、眷属にするス
キル。素材や魔石のランクにより生まれる魔物の
ランクも変化する。魔物は、魔力を込めることで
作られ、そこから魔物を作り出すのには、ランク
に応じて時間がかかる。
使用法:『眷属生成』と唱えながら魔石を核とす
るように魔力を込める。
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知力が上がったせいか、情報が少し増えていた。にしても、実は”眷属化”が魔物を自分の一部にするとか言う、恐ろしいことをしていた。
「これだけあればよろしいでしょうか?」
そんなことを考えてる間に、ロメが帰ってきた。ロメは腕を増やし、大量に魔石と素材となる物を持ってきている。
「うん。じゃあやろっか?」
「はい。では、まずはどれからやりましょうか?」
「う〜ん、じゃあその辺からで。」
俺は魔力が篭ってて面白いと思い、迷宮内で集めてきてきた、”魔力水”と呼ばれる物を指差す。これは魔力の回復薬として使われる物で、実は結構レアだったりする。が、”神眼”で見つけた隠し部屋に大量に湧いていたので、有り余るほどの量があるのだ。
「これから生まれるのは…スライム系となるのでしょうか?」
「かなぁ?もしかしたら、魔力も篭ってるしゴーレム系になるかもしれないね。」
「では、ついでに”眷属生成”によって生まれる眷属の法則性でも探しましょうか?」
「そうだね。じゃあ、とにかくやってみようか。」
俺は、”眷属生成”を使い、20匹ほど眷属を作り出す。
「じゃあ、とにかく生まれるまで待つとしようか。」
「はい、そうですね。」
そんな感じに、俺らは検証を続けた…
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