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62.迷宮に行きました

 「キュウ!」

 

 朝だ。ニーズが俺の布団の上で暴れている。どんだけ迷宮に行きたいんだよ。まだ7時だぞ、俺は1時間半しか寝てねぇじゃねぇか。


 「もう、わかったから、どいて。」


 俺は、ニーズをどけて、いつもの服装に着替える。


 昨日は、なんだかんだで基本属性を全部やって、”自己再生”の検証をして終わった。朝の5時半ごろだった。

 結果は、”自己再生”は空気中に溶けている魔力から、俺の体とかを修復するスキルだった。つまり、魔力のない場所では意味をなさないのだ。まぁ、実は肉体だけじゃなくて、魂も世界に破壊されて吸収されるよりも早く修復していたので、不老不死になっているのだった。即ち、この世界じゃないところでは、不老不死じゃなくなってしまう可能性があるのだ。これも、近いうちにどうにかしなくてはならない課題である。



 そんなこんなで俺は着替えを済ませ、朝食は取らずに迷宮に向かった。






 「おや、昨日の若い探求者君。」

 「あはよ〜。あと僕はシンだよ。」

 「そうか、シン。登録はしてきたか?」

 「ほい、カード。」


 俺は昨日登録してきた、探求者ギルドのカードを渡す。


 「よし、迷宮については知っているか?」

 「うん、図書館で見てきたしね。」

 「そうか、通っていいぞ。頑張れよ。」

 「うん。じゃあまた夕方ごろに。」


 俺は迷宮の中に入る。




 迷宮に入ると、いつも空間をまたぐのと同じような感じがした。おそらく、迷宮内はオービスとは異なった空間にあるのだろう。


 「にしても、綺麗だね〜。」


 迷宮の中は、外見からは予想だにしないであろう、洞窟だ。だが、壁から光石を呼ばれる石が生えていて、その光石が光を放ち、洞窟内なのにほどほどに明るい。しかもそれが結構幻想的な風景だったりするのだ。


 「さて、じゃあワープポイントに登録してから探索開始だね。」


 この迷宮には何故か俺の”扉”と同じような”ワープポイント”が存在する。”ワープポイント”は階段など、前の階層から来た場所のすぐ横にある魔法陣のようなもので、これに登録し、行きたい階層をイメージしながら魔力を込めれば、一度行ったことのある階層まで一気に行くことができるとかいう、探索者に優しい仕様なのだ。


 俺は、1階層の”ワープポイント”…つまり入り口に登録し、2階層へ進む階段へ向かう。1階層には、ワープポイントがあるだけで、他には何もなく階段までは直線なのだ。2階層からが本格的に迷宮になっている。


 「にしても、かなり広いよな。なんか意味あんのかな、この無駄空間。」


 迷宮の中は基本的に幅7m、高さ5mくらいの道で、それが迷路のように入り組んでいるのだが、階段やボス部屋と呼ばれるイベント的な部屋などは、半径30mくらいの円になっているのだ、


 俺は、そんなことを言いながら2階層へ上がる。


 「登録登録っと。よし、じゃあさっさと11階層くらいまで上がるか。」


 2階層で出てくるのは、せいぜいEランクの魔物…ゴブリンやスライム、コボルトなど雑魚だ。3階層からもそれが集団になるくらいで4階層までは変化がない。5階層は大部屋1つで、中ボス的な感じでホブゴブリンが出てくるが、相変わらず雑魚だ。そこから9階層までホブゴブリンや属性持ちのスライムとか、Dランクの魔物が少しずつ強くなるだけ、10階層が大部屋でゴブリンナイトが1匹、ボスで出てきて、11階層からは罠が混じり出すのだ。

 つまり、10階層までは雑魚の集まりで、俺が頑張る必要なんて、微塵もないようなものなのだ。

 

 「じゃあ、魔物は無視で11階層まで行こうか。」


 というわけで、俺は11階層まで行く…



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 迷宮探索開始から20分。11階層に到着した。入り組んだ迷路に以外と時間がかかってしまった。それに、ボス部屋も無視して上がろうと思ったのだが、どうやらボスを倒さないと、次の階層へ向かう階段がある部屋への扉が開かず、進めないようになっているようなので、仕方なく倒してきた。

 一応、全部の階層の”ワープポイント”に登録してきたけど、もう二度と行かない気がする。


 「さて、じゃあどんどん行こう〜。」


 ここからは、魔物はDランク程度が集団で出てくるが9階層までと変わらない。だが、罠が出るようになるのだ。落とし穴や、踏むと槍が出てくるやつとか、岩が転がってくるやつとか、天井が落ちてくるのとかだ。しかも、一度発生した罠は数分が経つと元に戻ってしまうらしい。なんとも面倒だ。


 俺は今までと同じように図書館で見てきた、迷宮の地図の記憶を頼りに階段を目指す…






 「どうしよう。つまんない。」


 今19階層まで来たのだが、驚きの新事実が発覚した。”神眼”は罠が見えた。壁も透けた。”神眼”は魔力以外にも罠や壁の向こう側を、普通に見ることができたのだ。それに、恐らくは”霊視”も含んでいる。さっきから倒しているボスの魂が、”霊視”を起動してなくても見えているのだ。

 まぁ、とにかくだ。このままじゃ、迷宮探索がつまらない。罠はその起動する場所が見えているから、そこを踏まないようにすればいいし、隠し部屋も透視できちゃって普通に発見できてしまう。これではワクワク、ドキドキ的なものがないのだ。

 

 「きっと、上の階層まで行けば、地図も無くなるし、迷路が楽しめるでしょ。さっさと行こう…」


 この迷宮は53階層までは到達した人がいる。それ以上なら誰も行ったことがないから、きっと楽しめるだろう。


 俺はさっさと20階層への階段へ向かった。




 「ええと、確か20階層のボスは、ホブ数体とナイト2体だったっけな?」


 俺は20階層へ上がり、階段の前にある5mくらいの巨大な扉の前にいる。この扉の先にボス部屋があり、そこの中のこちらと反対側に21階層への階段がある。


 「さて、じゃあとっとと終わらせるかな。」


 俺は扉に手をかけると、扉はひとりでに開き、俺が中に入ると閉じた。


 中には、反対側にある扉のそばにホブが5体、その後ろにナイトが2体いる。


 「『魔力を喰らえ”烈炎”』…よし、終わり。次行こう。」


 剣を一振りで終了。俺は、ゴブリン達のドロップアイテムを回収に行く。ドロップアイテムっていうのは、迷宮内で魔物を倒すと魔物は煙のようになっって消える。正しくは、魔力になって迷宮に回収される。おかげで、魂は回収できない。ただ、その核となっている魔石と、長く存在すると魔力になりづらくなり、その部分がドロップアイテムとして残る。

 その部分は大抵、その魔物の象徴となる部分であることが多く、ゴブリン系は耳飾りだ。ゴブリン系統は皆、尖った耳をしていて、そこに耳飾りをしている。その耳飾りは、ランクが高くなるほど凝ったデザインになっていて、行商などが別の国で偶に売っているのだが、結構人気があるのだ。


 「う〜ん、二つか。しかもホブのやつ。」

 

 いまいちだった。まぁ、別にいいんだけどね。


 「とにかくさっさと上がっちゃおう。」


 俺は迷宮探索を続けた…


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