表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/361

58.護衛をしました

 「さて、じゃあ自己紹介でもしておくか。」


 俺らは、商隊の一番前の馬車に乗り、馬車は出発した。それから10分くらいして、今に至る。


 「俺は、ガルト。”月光”のリーダーをやっている。職業は重剣士だ。獣剣の二つ名を持っている。よろしく頼む。」


 さっきの怒鳴った男が自己紹介をする。


 「俺はイートンだ。職業は同じく重剣士。よろしく。」

 「僕はヨルク。職業は剣士だよ。いやぁ〜、でも”悪霊”がこんな子供だとは思わなかったよ。よろしくね。」

 「私はミランダ。職業は魔法使いです。しばらくの間お願いします。」

 

 それに続き、メンバーが自己紹介をする。

 見た目は、ガルトとイートンがプロレスラーみたいな体型で、イートンは細め、ミランダはローブでよくわかんないが顔は結構美人だ。


 「僕は、シン。職業は魔物使い。こっちがニーズ、こっちがテラだよ。他にもいるけど、普段はこの子達だけしか出してないから。よろしくね〜。」

 「キュウ!」


 俺は、テラをポケットから出して、自己紹介をしてやった。


 魔物使いはあまりいない職業で、大抵の人は聞くとびっくりするし、その上魔物を見たらかなり驚く。

 案の定、こいつらもかなり驚いてくれたので、ドッキリ成功だな。


 「…あ、ああ。そうか…そいつら、安全だよな?」

 「さぁ〜。どうだろうね〜?」

 「…いや、やめろよ?」

 「ははは〜、冗談だよ〜。嫌なことさえしなければ、別にテラもニーズも怒んないよ〜。」

 「そうなんだ〜。ねぇ、そのテラって触ってもいい?」


 イートンは結構軽い性格のようだな。このタイミングで触ろうとするやつは、滅多にいないと思うぞ?


 「大丈夫だよ〜。」

 「じゃあ…」


 ふにふに…


 「おお〜。なんとも言えない触り心地!いいね、これ!」

 「いいでしょ〜。あ、テラ。大きくなれる?僕が座れるくらい。」


 この間、テラを床に下ろしている時に、その上に転んでしまったのだが、結構ふにっとして痛くなかった。これに座ったら気持ちいいかなって思って、頼んでみたら普通に座らせてくれたのだ。

 そんなわけで最近、テラによく座る。座ると丁度よく沈んで座り心地がいいのだ。それに、テラも嫌ではないらしく、問題もない。


 そんなわけで、テラに大きくなってもらう。テラは”収縮”で縮んでいただけなので、本当はかなりの体積があるのだ。一度、普通の状態に戻ってもらったら、25mプールくらいはあった気がする。元々はサッカーボールくらいだったのだが、いつもポケットに入れていたせいで俺の魔力を吸い、えらく巨大化してしまった。


 

 むにむに、むにむに…


 「よっこらしょ。ふぅ〜…」


 俺はテラに座る。これなら馬車でお尻が痛くならないように、魔法を使わなくて済むので一石二鳥だ。



 「なに!それはでかくなるのか⁉︎」

 「ははは〜、いいでしょ〜。これで馬車でも辛くないのだ〜。」

 「へぇ〜、いいね、それ。僕も座っていい?」

 「テラ、もう少し大きくなって〜。」


 むにむに、むにむに…



 「よし、座っていいよ〜。」

 「おお〜。よいしょっと…ああ〜、これは楽だね。」


 俺とイートンはテラに座る。

 俺、こいつとは仲良くやっていけそうな気がするわ。


 「…たく、面倒なのが増えたな。」

 「ふふふ、そのようですね。」

 「頑張れ、ガルト。」

 「はぁ〜。」



 そのまま、のんびりと移動が続いた…



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 護衛6日目。

 

 俺は、相変わらずガルトたちと前で護衛をしている。この6日間で、ガルトたちと結構仲良くなった。

 野営は、俺はゴブリン兵団に任せて寝てたし、通常時も特に何事もなく、ただ馬車に乗ってるだけだった。

 


 だが、ここまで何事もなく来たが、どうやらずっとは続かないようだ。

 少し先の林に人の気配がする。俺は、馬車に乗っている間、”空間掌握”で半径1kmくらいを警戒していたのだが、明らかにこちらを待ち構えてる2,30人程度の集団と、その先にアジトのようなところに100人くらいがいる。

 

 「ガルさん〜。」

 「ん?どうかしたか?」

 「この先の林に盗賊っぽいのがいるけど、どうする〜?」

 「なにぃ⁉︎なら、後ろのやつらにも教えて、一旦止まったほうが…」

 「倒しちゃっていいなら、倒すんだけど〜?」

 「あ、ああ…倒せる程度なら倒してくれて構わないが、大丈夫なのか?」


 ガルトたちは、俺が結構強いことを知っているので、やって良いかと聞けば許してくれる。


 「大丈夫だよ〜。戦うのは僕じゃないし〜。そんなにいっぱいはいないし〜。」

 「そうか。なら、やってくれてかまわん。」

 「りょうか〜い。」


 よし、言質はとった。やるかな。


 「『我が呼び声を聞け、来たれ眷属よ』…よし、かかれ〜。」

 「「「「グギャッ!」」」」


 俺はゴブリン兵団を呼び出し、盗賊を倒しに行かせる。

 今回はキングx8、ナイト、ウィザード、ソルジャーx20ずつの68匹だ。そいつらは”眷属の箱庭”で俺が直々に訓練をつけ、今も自己訓練をしているの上に、装備も俺が作っているので、ランクは本来DのやつらもC以上はあると思う。




 『な、なんだこいつらは⁉︎』

 『知るか!お前らでどうにかしろ!』

 『そんなこと言ったって…うわぁぁぁ!』

 『おい!お前大丈夫か⁉︎…へ?…ぎゃぁぁぁ!』

 『よくも、てやぁぁ!…ぐっ、え、や、やめ…うぎゃぁぁ!』


 前のほうから叫び声が聞こえる。どうせなら、もっと静かにやってくれればいいのに。


 「…なぁ、大丈夫なのか、あれは。」

 「ははは〜…問題ないと思うよ〜。」

 「グチャグチャの屍体とか、持ってこないよな?」

 「あ〜、どうだろ〜?持ってくるかも。」


 多分、そこまでグチャグチャにはなってないと思う。

 一応、賞金首があるかもしれないから、顔は潰さないように言ってるのだ。


 「はぁ〜…まじか。自分でどうにかしろよ?」

 「じゃあ、燃やす〜。」

 「あれ?シンって火魔法使えたのか?」

 「いや〜、ゴブリンが。」

 「ああ、ウィザードもいるのか。」


 ゴブリンにどうにかさせればいいよな。


 「うん、そろそろ戻ってくるんじゃないかな〜?」

 「まじか。俺は逃げるぞ。」

 「逃がすか〜っ!」


 俺は、逃げようとするガルトの首元を掴んで、ゴブリンが戻るのを待つ。




 「「ギャッ!」」


 少しして、ゴブリンたちが戻った。ちゃんとまだ、完全には死んでいない状態になっている。

 こうすれば、まだそんなに世界に吸収されていない魂が回収できるのだ。

 

 俺は、そいつらの首をかたっぱしから切り落とし、魂を回収する。

 

 「うわっ、こんなにかよ…」

 「ははは〜、ガルト弱〜い。」

 「俺はこういうのちょっと苦手なんだよ。」


 冒険者なのに、ガルトは屍体が苦手だ。なんとも不思議である。


 「うん、知ってる〜。じゃあ、この中に賞金首はいる〜?」

 「…はぁ。ええと…って、こいつら”赤竜”じゃねぇか⁉︎」

 

 ガルトが首の一つの見て言う。


 「”赤竜”って〜?」

 「お前知らねぇのか!この辺の盗賊団の幹部格の盗賊団だぞ!」

 「ふ〜ん、じゃあ賞金首結構いそうだね〜。」

 「結構どころか、20はいるんじゃねぇか?」

 「おお〜。じゃあ早く見てよ〜。」

 「あ、ああ。そうだな。」


 ガルトは、賞金首がいないか見始め、俺はウィザードに胴体を燃やさせる…



 「こいつが頭、そいつらが幹部格、その辺が中級で、残りはほとんど下っ端だ。」

 「へぇ〜、結構いるね〜。」

 「つーか、これのどこがそんなにいないんだよ!確かにゴブリンの量が多かったから、おかしいとは思ったが、こんなにいるとは思わねぇーよ!」

 「やってくれて構わんって言ったじゃ〜ん。」


 ちゃんと、俺は言質はとったぞ?


 「確かに言ったが、こんなにいっぱいだとは聞いてねぇー!」

 「ははは〜、いいじゃん、問題はなかったんだしさ〜。」

 「はぁ…やっぱ、お前イートンと同類で、俺をからかって楽しんでるだろ?」 

 「と〜ぜん。」

 「だぁぁぁぁ!」

 「はははは〜。」


 あ〜、面白い。これだからガルトはおもちゃにされるんだよ。

 

 こんな感じに護衛を続ける…


意見、感想等ありましたらお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ