57.護衛依頼を受けました
面接開始から15分。
「では、採用です。シン殿、お疲れさまでした。」
なんだかんだで、人格を見るだけだったようで、普通に採用された。
「ふぅ…じゃあ、12時半に南門に行けばいいんだよね〜?」
「はい、準備をしてお越しください。お願いします。」
「ほ〜い。じゃあまた〜。」
「はい。」
俺は商会を後にする。
「さて、じゃあ12時半までどうしようか?」
今はまだ10時過ぎ。12時までは結構な時間がある。
「う〜ん…あ、それっぽい準備してないと、怪しまれるかな?」
今までは、扉を開けば良かったが、今回はそうはいかないのだ。さすがに、大きめのバッグくらいは、なくてはならないだろう。
「じゃあ、どっかで買ってくるかな?」
「キュウ?」
「よし、じゃあ買い物にいこ〜。」
「キュ〜ウ!」
ニーズも乗り気なので、バッグを買いに行こう。
扉はバッグの中の一部で繋げて使って、バッグ自体には荷物を詰めておけばいい。
「じゃあ、とりあえず西側に行こうか。」
タンッ…
俺は、再び”隠密”を起動し屋根の上を走る…
「ふぅ〜。どこにあるかな〜?」
走ることたったの10分。西側に着いた。結構な速度で走ったので、踏んだ屋根が壊れてないかが心配なところだ。
まぁ、そんなことはさておきだ。こちらも、そこそこに混んでいる。この中から、良い感じのバッグが売っていそうな店を探すのはダルい。どうしたものだろうか?
「ねぇ〜、どこが良い?」
こういう時は、ニーズが選んだ店を辿ってみることにする。
「キュゥ…キュウ!」
「よし、そこか!じゃあ行こ〜。」
俺はニーズが選んだ店に向かった…
「ありがとうございました。またのお越しを〜。」
店を回ること8軒目。やっと見つけた。
「結構時間かかったね〜。」
今は11時半。これからバッグに荷物を詰めて、南門に向かったらもう良い時間だ。
さて、じゃあ一回隠れようか。さすがに扉は人前では開けないし。
俺は人気の少ない裏通りに入る。
「じゃあ、さっさと詰めよ〜。『扉、アイテムルーム』…とりあえず、これと、あれと、それと、これと…」
俺は必要そうなものを詰め込む。
寝袋やテント、武器の手入れをするものや、調理器具など、そこそこ入るので色々詰め込んだ。
「うん、これでよし。あとはじゃあ行こうか〜。」
俺は南門へ向かって歩き出す…
『いらっしゃい!安いよ〜!今なら、…』
『一度食べたら、もうやみつき!セビア名物、ランス…』
『おい、それ2つくれ。』
『はいよ!6Bだよ!にしても…』
『こっちはどうだい?今ならオマケするよ?』
『じゃあ、そっちもくれ。』
『はいよ。じゃあそっちと合わせて…』
歩いていると、あちらこちらで客や店員の声が聞こえてきている。
ここは食品なども結構売っていたので、この辺に住んでいる人もいるから、かなり混み合っている。さっきから、ものすごく歩きずらい。バックが邪魔なのだ。
「もう、屋根の上走っても良いかな…」
道を歩くのが嫌になってきた。これでも30分は歩きてきたのだ。褒めて欲しいくらいだ。
集合は12時半。今は12時で、南門までは10分あれば着く距離にいる。
「やっぱり頑張ろ…」
俺は歩き続ける…
「ここかな?」
「シン殿、こちらです。」
セリムが俺のことを呼ぶ。セリムのいるところには、荷馬車が数台に行商と思われる人が数名、あとは武装した冒険者10名くらいがいた。
「他に人はいるの〜?」
「いえ、シン殿が最後です。」
「ああ〜、悪いね〜。」
「いえ、まだ時間にはなっておりませんし、問題はありませんよ。」
「そっか、何時ごろ出発するの〜?」
「あと、12分ほどしたら出発しますよ。」
「了解〜。」
じゃあ、その間に他の冒険者と挨拶でもしておくかな?
俺は冒険者たちが集まっているところに行く。
「おいお前!何してんだ!」
「え?」
着いた瞬間怒鳴られた。なぜだ。
「普通、集合の20分前程度には来ているもんだろうが!」
「あ、そうだったんだ〜。初めて知ったわ〜。」
「初めて知ったわ〜、じゃねぇ!この間に護衛の分担を決めたり、野営の時の交代時間とかを決めたりすんだよ!」
へぇ〜、なるほど。初めて知った。
「ああ、うん、ごめんなさ〜い。護衛依頼受けたの、これが初めてだったんだ〜。」
「…ったく。次からはこんなことはないようにしろよ。」
「ほ〜い。」
次からはきちんとやるとしよう。
「さて、じゃあ護衛の荷馬車は7台。俺らは13人だ。今までに決めたことはパーティごとで前、中、後ろに分担して護衛するということだ。戦力の確認をしたいので、リーダーはパーティランクと主な戦闘方法を言ってくれ。」
俺を怒鳴った奴が話を進め、リーダーがパーティの構成を言い始めた。
「まずは俺らから。俺らは、Cランク”巨人の斧”だ。メンバーは4人、主に斧を使ってるのが3人と回復魔法が使えるのが1人だ。」
「じゃあ次は私たちだな。私たちはBランク”天河”だ。メンバーは4人、魔法使い系2人と剣士系2人だ。私と、そこの彼女は二つ名持ちだ。」
「あとは俺らと、そいつだな。先に、俺らはBランク”月光”。メンバー4人、魔法使い1人と剣士1人と重剣士2人だ。一応俺は”獣剣”の二つ名で通ってる。」
他は、みんなCランク程度か。二つ名はBB以上だったから、BB以上は3人かな?
「僕が最後だね〜。僕はAAランク、二つ名は”悪霊”だよ〜。あとは、基本は魔法使いかな〜?」
「なっ⁉︎お前がAAだと⁉︎」
「うん、そうだよ〜。あ、カード見る?」
「いや、いい。じゃあ、分担を決める。”天河”は後ろ、”巨人の斧”は中、俺らとこいつは前だ。何か意見はあるか?」
俺は前か。こいつらは結構強そうだし、楽そうだな。
「よし、意見がないようなら、これで決定だ。何かがあったら、さっき配った笛を吹け。野営はその分担ごとに日替わりだ。」
「了解だ。」
「わかった。」
「ほ〜い、じゃあもう行くの〜?」
「ああ、分担したところに分かれて行ってくれ。」
俺ら以外のパーティが移動する。
「さて、俺らも行くぞ。」
俺らも前の方に移動する…
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