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55.検証しました

 「じゃあ、始めようか。」

 「はい、では場所を移動しましょう。」


 俺は食事を済ませ、風呂に入り、ロメも準備が終わったので、検証の続きをやろうと思う。


 「『扉、空白世界』…あ、奴隷は?」

 「すでに”空白世界”に待機させていますよ。」

 「さすがっ。じゃあ行こうか。」


 俺らは空間をまたぐ。


 「よし、じゃあまずは種族の方をやろうか。」

 「わかりました。F1,2,3こちらへ。」

 

 ロメが呼ぶと、空間の端の方で待機していた、火属性の人間、獣人、エルフがこっちに来る。

 こいつらは奴隷ではあるが、首輪はしていない。理由としては、奴隷にする事でなんか変化があったら困るからだ。

 ちなみに1が人間、2が獣人、3がエルフを呼んでいる。Fは火属性で、水はW、風はA、地はGで呼び、それぞれ、Fire、Water、Air、Groundの頭文字から取っている。


 「じゃあ、まずは魔力の違いから見ようか?」

 「では、そうしましょうか。F1,2,3、魔力を放出しなさい。」

 「「「はい…」」」


 F1,2,3が魔力を放出する。というか、声に恐怖が混じってた気がするんだが、ロメ何したんだ…


 「う〜ん…ロメ、どう見える?」

 「量は3>1>2の順で、魔力の濃さの方は2>1>3ではないでしょうか?」

 「だよね。一応他の属性も試す?」

 「そうしましょう。W1,2,3、こちらに来て、魔力を放出しなさい。」

 「「「はい…」」」


 おお〜、うるさかった青髪が、静かになってる。一体、ロメは何したんだろ?まぁ、別にいいんだけど。


 俺はそんな事を思いながら、”魔眼”で魔力を見る。


 「同じみたいだね?」

 「そのようですね。」


 どうやら、属性によっての変化はないようだ。やはり種族かな?


 「種族が関係してるのかな?」

 「そのようですね。種族は、エルフが一番寿命が長く、獣人が一番寿命が短いので、変化しているのは寿命のせいでしょうか?」

 「かもしれないね。じゃあ、その辺を中心に試そうか?」

 「主の御心のままに。」

 「次は、魔力の属性かな?」

 「はい、では別の属性の者の魔力を観察しましょうか?」

 「そうだね。」

 「F1、W1、A1、G1、魔力を放出しなさい。」

 「「「はい…」」」


 う〜ん。なんというか、魔力が空気中の魔力の性質に干渉しやすい物が属性っていう考えで、当たってる気がするんだよな…


 「ねぇ、やっぱり属性はあれが正解じゃないか?」

 「そうですね。それなら、魔力を変質させればどの属性も使えそうですね。」

 「だよね。今度暇なときにそれは試すとしようか?」

 「それがいいでしょう。」


 属性については大体はもうわかっているのだ。いろんな人の魔力を観察していたら、それっぽい仮説が立っていたのだが、今それがほぼ証明された。


 「じゃあまずは、量からかな?」

 「そうですね。」


 俺らは検証を続ける…



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 「魔力が、魂から放出されているエネルギーなら、そうならないんじゃない?」

 

 検証を始めて3時間。行き詰まった。


 今までは”魔力=魂のエネルギー”って思っていたが、どうやら少し違うみたいだ。


 「ならば、魂の維持にかかるエネルギーの余剰分の力では?」

 「あ〜、それなら少し。どっちかっていうと、魂のあまりっていうのが正解じゃない?」

 「いえ、魔力は魂とはそもそもの性質が異なります。」

 「あ、そうだったね。う〜ん…」

 

 なんというか、魔力は魂に近いが全く別のエネルギーなのだ。そもそも、魂をエネルギーとして使うと、使い切った瞬間その魂の持ち主が死ぬ。魔力より圧倒的に強い力ではあるが、そんな物では使いものにならないのだ。おっと、話が逸れたな。つまるところ、魔力と魂は別物なのだ。


 「魂そのものを、別のエネルギーに変えたのが魔力に近い?」

 「なるほど、確かにそれなら…」

 「いや、少し違うな。魂じゃなく、魂に近い別の何かだな。」


 魂が減っては、持ち主が死んでしまうからな。


 「では一度、魂を持ってきましょうか?実際に見てみる方が、いいかもしれません。」

 「うん、それがいいな。いくつか持ってきて。」

 「承知しました。」


 ロメが、魂を取りに一度部屋に戻る…





 「あ、おかえり〜。」


 ロメが戻ってきた。


 「はい、いくつか持ってきました。」

 「うん、ありがと。」

 「いえ、では続きを始めましょうか?」

 「そうだね。じゃあ、その辺に置いて。」

 「この辺でよろしいでしょうか?」

 「ああ、問題ないよ。」


 さて、じゃあ魂の観察でもしますかな。


 ん?


 「ねぇ、これって魔力に近くないか?」

 「確かに、魔力とは少し違いますが、魔力にかなり近いですね。」


 生物が死んで、その魂が、世界に還元されようとしている時、少しずつ魂そのものが崩壊し、世界に吸収される。その時、魂は別のエネルギーになっている。そのエネルギーが魔力に似ていた。


 「ねぇ、生きてる時の魂ってどんなの?」

 「どんなのとは?」

 「これが生きてる時は、魔力になってるんじゃないかな?」

 「なるほど。確かめてみましょう。F1,2,3、こちらへ。」

 「「「はい…」」」


 F達がやってくる。さて、見てみるか。


 「『霊視』起動…どうだ?」

 「ほとんど同じように、発生していますね。おそらく、これが魔力になってるのでしょうね。」

 「…って、生きてる間も世界に魂が破壊されて、吸収されているのか⁉︎」

 

 ということは、魔力ってのは、魂を世界に還元するための過程なんじゃないのか?

 だとすれば、辻褄が合う。エルフが寿命が長いのは、魔力が多い…つまり、世界に還元されるまで、長い時間がかかる。逆に獣人とかの魔力の質は高い…つまり、一度に世界に還元される量が多い。だから、早く魂が尽きる。


 「なら魔力ってのは、魂の崩壊の途中の状態ってことか。」

 「では、生物の持っている魔力とは、それを一時的に体内に溜め込んでいる状態で、それは一定量を超えると世界に還元されるのでしょうか?」

 「ああ、多分そうだな。それで寿命があるんだろうし、魔力を使いすぎて気を失ったりするのは、世界に吸収される魔力量の限界を超えたからじゃないかな?」


 ん?それなら魔力になってく魂はすぐになくならないか?


 「なぁ、世界に破壊されてる魂は、自分で修復でもしてるのか?そうでもしないと、すぐに魂は消えてしまうんじゃないか。」

 「なるほど、少し見てみましょう…」

 「どうだ?」

 「確かに、自分で修復をしていますね。それに自分とは異なる魂も混じっています。」

 「自分とは違う魂?」

 「おそらく、レベルアップのときに倒した魔物の魂を吸収し、それで自らの魂の格上げをしています。その残骸でしょう。」

 「なるほどな。」


 レベルアップのとき、ステータスが上がるのはそのせいだってのは、ずいぶん前にわかってるしな…まぁ、その魂をどうしているのかは調べてなかったが…

 

 「なぁ、世界から離れたら、魔力はどうなる?」


 なら、魔力が世界に破壊されている魂なら、世界から離れたら魔力そのものがなくなるんじゃないか?


 「おそらく、なくなるのではないでしょうか?」

 「う〜ん…どうやら、世界に干渉以前に魔力じゃないエネルギーも必要みたいだね。」

 「そのようですね。」

 「まぁ、魔力が何なのかは、わかったんだし、この魂から放出されてるやつを調べれば、別の方法も思いつくかもしれないしね。」

 「はい。では、続きを始めましょうか?」

 「そうだね。じゃあ、今ある魂を適当に持ってきてくれる?」

 「承知しました。」


 俺らは検証を続ける…


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