53.奴隷を買いました
「う〜ん、じゃあここにするかな。」
しばらく見ていたが、真ん中の店に入ってく人が多く、そこが奴隷を買ってくる人の割合も一番多かった。規模はそこまででもなく、あまり大きくないが、真ん中の店”ルーツ商会”ってところにしようと思う。
「さて、入るかな。」
カラン…
「いらっしゃいませ。ルーツ商会へようこそお越しくださいました。本日のお求めはどのようなものでしょうか?」
入ってすぐのところにいた、口髭が生えた若い男が俺を迎える。
「ええと、魔法を使える奴が結構欲しんだけど。」
「どの程度でしょうか?」
「人間、獣人、エルフの基本属性を一属性、各一人ずつくらい。」
「なるほど、年齢はどの程度で?」
成長が終わってるくらいがいいから…成人迎えた後ぐらいがいいな。
「成人より少し後ぐらい。」
「性別の方はどちらがよろしいでしょうか?」
あ、考えてなかったわ。どうしよ?面倒だし、全部一緒の方がいいよね。う〜ん、女にしとくかな。むさいのはお断りだし。
「じゃあ全部女がいいかな。」
「職業は何かございますか?」
それはどれでもいいんだけど、一応同じにした方がいいんだよね〜。
「なら、魔法使いにして。」
「了解しました。失礼ながらお客様、お金の方は?」
ああ、俺ってまだ16だし、子供っぽく見えるのか。
「大丈夫だよ。金貨何枚あればいい?」
依頼を受けまくって、金はかなりあるので、金貨30枚くらいまでなら軽く出せる。
「いえ、失礼いたしました。」
「いいえ〜。しょうがないでしょ?どう見たって子供だし。」
「申し遅れました。私、この商会のセビア支店長を務めさせていただいております、ノーマン・ランファスと申します。」
「僕は、シンだよ。」
「ではシン様、こちらへどうぞ。そちらの方に、条件にあった者を連れて行きます。」
「了解〜。」
俺は、ノーマンに連れられ、部屋を移動する…
「では、今からお連れしますので少々お待ちください。」
「ほ〜い。」
俺は、8畳くらいの面談室に連れてこられて、そこにある椅子に座って待たされている。
ここは小さいテーブルと、紅茶っぽいのが入ったティーカップが置いてあるだけで、他には特に何も置いていない部屋だ。テーブルの向こうには扉とスペースがあるので、そこに奴隷となる奴を連れてくるのだろう。
「お待たせいたしました。まずは、属性火の人間です。よし、入れ。」
ノーマンがそう言うと、扉から鎖で繋がれた6人の女が入ってくる。
「こちら、火属性のみを持つ人間の女の奴隷です。右から順にステータスカードがこちらです。」
ノーマンがステータスカードを渡してくる。
「う〜ん、どれを基準にしようかな〜。」
大体魔力100〜150くらいが、人間の魔法使いの平均である。他の値は別にどうだっていいのだが、レベルは一定にした方がいい。大人の平均は30〜40程度で、レベルによって変化したら困るので同じレベルにしようと思うのだが、どのくらいがいいだろうか?
「他にもいるの?」
「はい、後7人ほどおります。ですが、こちらの方が能力値も高く上質な奴隷となっております。」
「ふ〜ん、そっか〜。」
どうせなら、状態がいい方がいいし、こっちから選ぶかな…
「じゃあ、その右から2人目の奴がいいかな。いくら?」
俺は、右から二番目の赤髪の女を指差し、ノーマンに尋ねる。
一番魔力が高く、称号に魔力系統に関わるのがなかったので、そいつを選んだ。魔力系統に関わる称号で、検証に影響が出るかもしれないから、ないほうがいいと思ったのだ。レベルは34を選ぶことにした。
「承知しました。こちら、1200Bでございます。」
「うん、それでいいよ。じゃあ次ね。」
「本人と面接等は行わなくてよろしいのですか?」
どうせモルモットにするんだし、性格なんてどうでもいいからね。それに、反抗しようするなら、恐怖で支配すればいいから問題ない。
「うん、大丈夫だよ〜。」
「そ、そうでございますか。では、次の者を連れてきます。」
ノーマンはその女を残して、次の種族の火属性の奴隷を連れに行く…
「では、次は火属性のみを持つ獣人の奴隷です。入れ。」
また、扉から同じような状態にされた6人の女が入ってくる。
「ステータスカードがこちらです。」
また、ノーマンが俺にカードを手渡す。
さて、どいつにしようかな?
「う〜ん、こっちも他はいるの〜?」
「はい、ですが残りはあまり状態がいいとは言えません。」
「ふ〜ん、まぁいいや。じゃあそいつがいいかな、いくら?」
俺は左から二番目の犬っぽい耳の獣人を選ぶ。
獣人は、犬系統の種族が一番多く、次に猫、兎…などと続き、鳥系統が結構レアだ。なので、一番多いやつを選ぶことにする。他の基準はさっきと同じだ。ただ、獣人は魔力の平均が70〜120くらいで、人間より低い種族なので、魔力が一番多い奴でも115しかなかった。
「こちら1100Bでございます。」
「うん、それでいいよ。じゃあ次ね。」
「ええと、面接等は?」
「今日はいいよ〜。必要ないから。」
「そうでございましたか。では次を連れてまいります。」
また、ノーマンがその女だけの残して、次の種族を連れに行く…
「次は、火属性のみを持つエルフの奴隷です。入れ。」
今度は今までより多く、8人の女が入ってくる。
「ステーカスカードはこちらです。」
また、ノーマンがカードを俺に手渡す。
「他にもいる?」
「いえ、エルフの女の火属性のみの奴隷は、これだけでございます。」
「ふ〜ん。」
やっぱりエルフは少ないのかな?種族的にも数は少ないし。
「そいつがいいかな。いくら?」
右から4番目の奴にする。
エルフは全体的に魔力が高く、平均も180〜250とかなり高めで、選んだ奴も239あった。後の、他の条件は同じである。
「こちら1700Bでございます。」
「うん、じゃあ次ね〜。」
「承知いたしました。次の者をお連れいたします。」
また、ノーマンがその女を残して、次の属性の奴を連れに行く…
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まぁ、こんなやり取りが、あと9回続いた。
別に選ぶだけだったから、そんなに時間はかからなかったが、結構面倒だった。
「では、こちらの12名でよろしいでしょうか?」
「うん、問題ないよ〜。」
「では、合計16600Bですが、多く購入いただけたので、勉強させていただき16000Bです。」
銀貨160枚か。金貨2枚でいいや。
「じゃあ、これで〜。」
俺は金貨2枚をノーマンに渡す。
「金貨2枚ですね。お釣りの銀貨40枚でございます。」
「ほい。」
俺はノーマンから、お釣りを受け取る。
「では、こちらが”奴隷の首輪”となります。”奴隷の首輪”についての説明は必要でしょうか?」
「うん、お願いするね〜。」
「では、ご説明いたします。”奴隷の首輪”は、奴隷の首に付け、主人となるものが魔力を流すことで契約がされます。契約することのできる人数は2人までとなっておりますので、ご注意ください。また、契約がされた後、奴隷が主人の命令を拒絶しようとする、または主人に攻撃しようとすると、全身に激痛が走ります。これによって死に至ることはございませんので、ご安心ください。以上が説明となります。何か質問はございますでしょうか?」
なら、人の”奴隷の首輪”に魔力込めれば、奪えるんじゃね?
「契約するだけでいいんなら、むりやり他人の奴隷の首輪に魔力を流して契約する人っていないの?」
「その点は問題ありません。契約を行うときは”奴隷の首輪”以外に”主人の腕輪”を付けた状態でしか、行うことができなくなっております。」
なるほど、面倒なことするんだな。
「ふ〜ん、じゃあ後は大丈夫かな。」
「では、こちらが”主人の腕輪”となります。今ここで契約なさりますか?」
「いいや、後で自分でやるよ〜。」
「失礼いたしました。では、こちらの奴隷はどのようにいたしましょうか?」
「繋いでる鎖のままでいいよ〜。」
今、12人は鎖と枷で繋がれているので、そのまま連れて行けばいいかな。
「では、こちらが枷の鍵となります。」
「ほ〜い。」
ノーマンに鍵を渡される。
「では、他にご用件はございますか?」
「いいや〜。」
「では、入り口までお送りいたします。」
ノーマンが面談室の扉を開け、奴隷を繋いだ鎖を持って出て行く。俺はそれに続く。
「では、またルーツ商会のご利用をお待ちしております。」
「うん、じゃあまた来るね〜。」
俺は、ノーマンに奴隷を繋いだ鎖と首輪を受け取ると、店を出た…
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