52.セビアに行きました
「主。朝ですよ、おきてください。」
朝だ。俺はロメに起こされ、目が覚めた。
「…おはよう、ロメ。」
「おはようございます。朝食の準備は整っておりますので、着替えが済みましたら、お越しください。」
「りょ〜か〜い…」
昨日は、結構遅くまで検証をしてたので、まだちょっと眠い。
魔力についていろいろ試して、その結果をもとにまた実験の繰り返しだが、結構楽しくてなんやかんやで寝たのは、5時過ぎになってからだ。
「ふわあぁぁ…寝む。着替えないとだな…」
いつもの服装に着替える。
「さて、行くかな。」
俺はロメが待つ、リビングに移動する…
”メインルーム”は、いくつかの部屋が集まり、1軒の家のような造りになっている。俺の今いる寝室、いつもロメが検証結果をまとめている書斎、料理を作るキッチン、”扉”で入ってくる玄関、などなどいろんな部屋がまとまって”メインルーム”ができているのだ。
「今日の朝食は何〜?」
「食パン、ハムエッグ、ムルフのサラダでございます。」
ムルフってのは、ほうれん草みたいな野菜だ。
「いただきます。」
ふむ、いつもながらロメは、かなり料理がうまい。多分、記憶に料理人でもいるのだろうな。
そんなことを考えながら、俺は朝食を取る…
「ごちそうさま。」
「本日のご予定は?」
「今日は、セビアに行こうと思ってるよ。検証に使う奴隷を買ってくる。」
セビアは、この大陸一の商業都市。いろいろなものが揃う、活気にあふれた街だ。
「そうでしたか。では、アフラに部屋を開けておくように、言っておきましょうか?」
「うん、そうして。」
アフラってのは、この空間の一つ”悠久の監獄”の番人、俺が作った眷属のノーマル・ゴーレムだ。ただし、異常なくらいに改造されているが。まぁ、そんなことは今度説明しよう。
「じゃあ、行ってくるね。」
「行ってらっしゃいませ。」
「『扉、オービス』…じゃあ、アフラのところに直接送るから、選別よろしく。」
「かしこまりました。」
俺は空間をまたぐ…
「さて、じゃあセビアまで、休みなしで行こうか。」
「キュウ…」
ニーズがすごい嫌そうだ。
「そんなにかからないから、問題ないよ。」
「…キュウ。」
ここからセビアまでは、大体2時間もあれば着くと思う。今が8時半だから、10時半くらいには着ける。
「ほら、行くよ。」
俺はフライトボードに乗り、移動を始める…
「いやぁ〜、結構早くついたな。」
「キュウ。」
それでもニーズは不満そうだが、今は10時少し前。俺らは、入る人の列に並んでいるところだ。
「けどここから、結構かかりそうだね。」
前には、ざっと3,40ぐらいの人が並んでいる。一人日かかる時間が2分だとしても、約80分…1時間20分くらいかかる。
「う〜ん、面倒くさい…」
どうしようか。待つのって結構暇なんだわ。やることもないし、魔法とかで遊んでもいられないし…
「仕方ないか。待とう…」
しょうがない、おとなしくこれからの検証に使う奴隷を、どんなのにしようか考えながらでも、待ってるとしよう。
俺は奴隷の基準を考えながら、順番を待つ…
「次、身分を証明するものは?」
「ほい、これね。」
「よし、通っていいぞ。ようこそ、セビアへ。」
「ありがとさ〜ん。」
いつものように、何事もなく街へ入る。
「うっわ。人多いな〜…」
街の中は多くの人で入り乱れ、混雑している。あんまりこういうところ好きじゃないんだよね…
「まぁどうしようもないんだし、とりあえず奴隷市に行ってみるかな。」
とりあえず、検証で使う奴隷を、基本属性4種を種族が人間、獣人、エルフの3種ずつ、合計12人は欲しい。
属性による魔力の変化と、種族による魔力の変化が同時に見れるから、これがいいかなって入るのを待ってる間に考えた。人間はこの世界で一番多く、寿命は70〜90歳程度。獣人はその次で、寿命は50〜70歳程度。エルフは結構少なく、寿命は200〜500歳程度と長命な種族となっている。これで、寿命と魔力の関係とかも観れるから、一気に検証が進む。
「う〜ん…でも、奴隷市ってどこだろ?」
やっぱ初めて来る場所だから、場所が全然わかんないわ。まぁ、ゆっくりと探すとしようかな。どうせ、ここから急ぐ必要はないんだし。
「その辺を適当に見ながら、探そうかな?」
ここは商業が盛んな都市、セビアだ。いろんな店が立ち並び、いろんな人が商売をし、いろんなものを売っている。
以外と面白いものが見つかるかもしれないので、いろんな店に寄りながら探そうと思う。
「じゃあ、行こうか〜。」
「キュウ!」
俺は近くの店に向かって歩き出す…
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「う〜ん…どこだろ?」
あれから2時間くらい歩き回ってるが、一向に奴隷市が見つからない。こっちじゃなさそうだな。ここ、西側は食べ物ばっかりだし、入り口近くの南側は武器ばっかりだった。ここは、東西南北で売ってる物が違うみたいである。ついでに言うと、面白そうなものは特に見つからなかった。美味しいものはあったが。
さて、じゃあ奴隷市は東か北のどっちかか…どっちに行こうかな?
「ニーズ、北と東どっちにする?」
「キュウ!」
なんか北側に首を向けてるから、北かな?
「じゃあ、北に行こうか。」
じゃあ、北側に行こうかな。違ったら、東に行けばいいし。
俺は北側に向かう…
「うわぁ〜…なんか、いかにもって感じだね。」
北側は多分奴隷市だ。さっきから首輪をつけた人を連れた奴と、かなり多くすれ違った…あ、まただ。
「その辺の店に行けば、買えるかな?」
でも適当に入って、悪質そうなところに当たったら嫌だな…
「どこに入ろうかな…」
う〜む…悩む。どこの店がいいんだろうか?基準がよくわからん。どうしようか…
「悩んでても、しょうがない。普通の人が多く入ってるところに入ろう。」
店は6軒しかないが、大きめなところと、小さめなところ、高そうなところに、安そうなところ、と見た目もいろいろあり、どこに入ろうか悩む。
ということで、今からしばらく様子を見て、一般人っぽいのが入るところに行こうと思う。
「じゃあ、しばらく観察だな。」
「キュウ…」
ニーズが嫌そうだ。戻って待ってるかな?
「”魔物の箱庭”に戻ってる?」
「キュウ。」
そうか、じゃあ戻っててもらうかな。
「『扉、眷属の箱庭』…じゃあ、後でね。」
「キュウ…」
なんか申し訳なさそうに戻って行ったよ。まぁいいけど。
「じゃあ、観察といくかな。」
俺は、店を少しの間見てることにする…
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