51.移動しました
「ああ〜、暇だ…」
俺はまた移動を続けている。ミュートを出て、大体6時間。あと、国境まで1時間近くある。
ここまで、いろいろやって暇を潰してきたが、それも2時間前にネタが尽き、もうすることがなくなっている。
「あともう少しで国境なんだし、がんばろ…」
あと1時間で国境に着き、シルフィードからスリングに入る。
この大陸の国はスリングを中心に、魔族の大陸側にシルフィード、その隣に海峡で孤立しているルクシオ、魔族の大陸の反対側にマドーラという形になっている。
スリングには迷宮があり、スリングの中心に1つ、東側に1つ、北西側に2つで、俺は中心の迷宮に行こうと思っている。迷宮は中心は100階層、それ以外が75階層で形成されているらしい。一番規模の大きい中心の方が人の集まりも良さそうなので、そこにした。
また、スリングには大陸一の商業都市があり、そこに寄ってから行こうと思っている。
「だぁぁぁ〜、でも暇だぁ〜!」
俺はやることがないまま走り続ける…
かれこれ1時間半。やっと国境の砦が見えてきた。
「はぁぁぁぁ〜…やっとついた〜。」
何もすることがないまま、ただ走ってるのは、もはや拷問だと思う。もう、こんなことはしたくないわ。
「この辺でいいかな?」
ここは国境の砦から、1kmくらいのところだ。この辺なら砦からも見えなさそうだし、”扉”を設置しておくのに丁度いい。扉を設置しておけば、ここまで来るのに”メインルーム”から簡単に行けるようになる。
「『扉、接続』…よし、こんな感じでいいかな?」
一瞬、俺の目の前に”孤独の多重世界”への扉が開き、しっかりと安定したあとに閉じる。これで、これからここへの扉が開けるようになったはずだ。
「さて、じゃあ行くかな…」
「…キュウ。」
ニーズも疲れてるみたいだ。さっさと国境に行くかな。
俺は砦の方に向かって歩き出す。
「止まれ。何か身分を証明できるものはあるか?」
「これでいい〜?」
俺はギルドカードを渡す。
「ああ、問題ないな。国境を越える目的はなんだ?」
「迷宮に行くんだ〜。」
「そうか。通っていいぞ。」
「お仕事お疲れ〜。」
「ああ。」
俺は国境を越える。
「はぁぁ〜…やっとついた〜!」
「キュウ〜!」
さて、こっちにも設置しておくかな。
俺は少し歩いて、砦から離れた所に扉を設置する。
「『扉、設置』…よし。」
扉を設置して離れる。
「じゃあ、そろそろ戻るかな…」
もう、11時過ぎだ。外は暗くなってるし、次の街までは2時間くらいはかかる。と、いうわけで”メインルーム”に戻ろうと思う。
「『扉、メインルーム』…さて、戻るか。」
俺は空間をまたぐ。
「おかえりまさいませ、主。」
「うん、ただいま。」
「夕食は必要ですか?」
「うん、お願い。」
「承知いたしました。少々お待ちを。」
ロメは夕食を作りに、奥へ行く。
「さて、じゃあちょっと見たいのもあるし行くかな。『扉、空白世界』…ロメ〜できたら呼んで。」
「承知しました。」
ロメの返事を聞いた後に、俺は空間をまたぐ。
「さて、ニーズ。元の大きさに戻ってくれる?」
「キュウ…」
最近、ニーズが元の大きさに戻ってるのを、見てなかったので、確認しておこうと思ったのだ。
最後に確認したのが生後1週間くらいで、1m30cmくらいだった。それから1ヶ月半は経ってるので、かなり成長してるんじゃないかな?
ズズズズズ…
「おぉ〜、かなり大きくなったんじゃないか?」
「ギャウ!」
おおう、鳴き声までかなり低く威圧感のあるものになってる。
「ちょっと測るから、止まっててね。」
「ギャァウ!」
俺はニーズに伏せの状態になってもらい、ポケットからメジャーを出して、尻尾から頭まで体長を測る。
「よっと…ええと、4m88cmかな?結構でかくなったな。」
もう背中に乗って、飛べるんじゃないかな?石井は2週間足らずで、5mくらいまで成長していたので、これでも遅い方だと思うが、その頃にはもう騎竜の訓練をしていたので、ニーズもいけるんじゃないかな?
「ねぇ、乗せて飛べる?」
「ギャァオ!」
「おお〜、じゃあやってみようか。」
いけるって感じに答えてきたので、試してみようと思う。
俺はニーズの背中に跨り、首に掴まる…
「よし。じゃあ、飛んでみてくれる?」
「ギャオォー!」
バァッサ、バァッサ…
ニーズが翼をはためかせ、空へと飛び上がる。
「おぉ〜、いつもとは違う感じだな。これはこれでいいかも。」
「ギャウ!」
「ははは〜、嬉しいのか?」
ニーズが楽しそうにしてる。
にしてもこれはいいかもしれないな。両手が空いてるし、飛ぶ方向は”念話”を使えばいいから楽だ。何よりもこれはかなりいい気分だ。石井が乗りたがってたのが、良くわかる気がするわ。
「いえーい。ははは〜。」
そのまま、しばらく飛行訓練を兼ねた遊びを続けた…
「主、夕食の準備ができましたよ。」
「了解〜。今行くわ〜、ニーズ降りるぞ。」
「ギュウ…」
ニーズはもっとやりたいみたいだ。
「また今度やろうな?」
「ギャウ!」
今度は外でやりたいな。さて、夕食にするかな?
「『扉、メインルーム』…じゃあ行くよ。」
「キュウ!」
ニーズが小さくなったの確認し、俺はメインルームに戻る…
「じゃあ、食べ終わったら、検証の続きね。」
「承知しました。」
その後は夕食を取り、検証をして、俺はいつものように眠りについた…
意見、感想等ありましたらお願いします。




