49.準備を始めました
「じゃあ、またそのうちね〜。」
「「「「「元気でな。」」」」」
俺は、すべて回り終えて、最後のギルドに来ていた。そして今それも終わった。
だいたい旅に行くと伝えて、お別れみたいな感じだった。それでも結構時間がかかった。それに、アルとは別のことも約束したし。
カランカラン…
俺はギルドを出る。
なんだかんだで、外はもう夕方になっている。
「さて、ここを出た後のことも考えて、旅とかの準備を始めるかな。」
今まで、遠出する時は大体2日ぐらいで、あまり遠くに行くことはなかった。だが別の国に行くのでは、さすがに色々準備がいる。野宿用にテントやら、火種、移動手段や行くための道も知らなければならない…?
「あれ?大半は”孤独の多重世界”使えばいいんじゃね?」
”メインルーム”には、ベットや料理ができるスペース、風呂も付いてる。”アイテムルーム”に大量の食料があるし。”完全記憶”で覚えたシルフィード周辺の地図で道もわかる。移動は眷属使えば…あ!
「移動できる眷属がいない!」
俺の眷属はゴブリン系やスライム系、霊系やドラゴン系、ゴーレム系と色々いる。だがしかし、馬や大型の鳥、狼とか乗って移動できる眷属がいないのだ。
いや、ドラゴン系の眷属に乗ってもいいのだが、いかんせん目立つ。ランクが低くてもCはある魔物に乗ってたら、確実に面倒ごとがやってくるだろう。
「どうしよ…」
う〜ん、どうしようか?今から捕まえにいっても、どうせ”眷属強化”でランク上がっちゃうし、作るのにしても、何が生まれるかわからん物を出るまでやるのは、さすがに面倒なのだ。
「う〜ん…」
色々考えながら、俺は城に戻る…
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「では、おやすみなさいませ。」
メイドさんが部屋を出て行く。ギルドの帰り道からずっと考えているのだが、まったくもっていい方法が思いつかない。
「どうしたもんかな〜。」
とにかく、検証の続きでもやりながら考えようかな?
「『扉、メインルーム』…う〜ん。」
俺は空間をまたぐ。
「どうかされましたか、主?」
”メインルーム”で、ロメが今までの検証結果をまとめていた。
ロメには、部屋を移動することができるように作った、魔道具を渡した。これで全ての部屋に行けるようにしている。
「いや、移動できる魔物でランクが低いのってなんかいる?」
「それは難しいですね。ランクの低い魔物では、乗せることのできる大きさがない物がほとんどです。例え乗ることができたとしても、乗っているのが大変です。」
「だよね〜。どうしようかな〜…」
やっぱり自分の足で行こうかな…頑張れば、結構なスピードが出るし、問題はない。ただ面倒なだけだ。
「移動用の魔道具を作るのはいかがでしょうか?」
「あ!それいいね。そうしよう。」
なるほど、その手があったな。早速作ってみるか。
「『扉、アイテムルーム』…とりあえず、金属板とブラッディードラゴンの皮と魔晶石3つあればいいかな?」
俺は”アイテムルーム”から、材料を取り出す。
「さて、じゃあ始めるかな。刻む魔法はどうすればいいと思う?」
「”読思考”と”浮遊”、”加重”、”風壁”辺りがいいのでは?」
「うん、そうだね。」
俺は金属版をスケボーくらいの大きさにし、形を整える。
「『改変』っと…じゃあ魔法刻むかな。」
金属板をミスリルにし、魔法を刻み込んだ魔晶石を埋め込む。
ちなみに”読思考”は考えを読む魔法、”浮遊”は物を浮かせる魔法、”加重”は物に重力をかける魔法、”風壁”は風の壁を作る魔法だ。
「…こんなもんかな。じゃあ、試してみるか。」
俺は、板に乗って魔力を流す。
フゥッ…
「おお〜、浮けた。少し練習が入りそうだな。」
俺を乗せたスケボーもどきが、宙に浮かぶ。そのまま、動こうと思うだけで上下左右に自在に動く。時折、バランスを崩すのは仕方ないと思う。
「うん、これならいけそうだな。あとは、滑り止めに足の部分に、皮を貼ればいいかな。」
ブラッディードラゴンはBランクの魔物だ。その皮はどす黒い赤の、ザラザラとしていて滑りにくい素材だ。
それを足を置く所に貼り、余ったのは適当に模様にする。
「これで完成〜。さて、練習してくるから、後はよろしくね。」
「承知しました。」
「『扉、空白世界』…じゃ。」
俺は部屋を移動する。
「さて、練習するかな。」
俺はスケボーもどき…なんか名前付けよ。言いづらいわ。
「何がいいだろ?…フライトボードでいっか。」
飛ぶ板だからフライトボード。なんとも安直だが気にしない。
「よし、今度こそ練習開始。」
俺はボードに魔力を送る。
フゥッ…
「じゃあ行くか。」
ヒュンッ…
ボードが加速する。
「ぎゃっ⁉︎」
振り落とされた。痛い。
「うぅ…俺を固定する”加重”強めたほうがいいな。」
突然の発進に、俺の体が置いて行かれた。もっと重力を強めて、俺の体がボードに固定されるくらいにした方がよさそうだ。
”加重”の陣を少し描き換える…
「よし、これでいいかな?じゃあ行ってみよう。」
フゥッ…ヒュンッ
「おぉ〜、これならいけそうだな。」
今度は振り落とされずに済んだ。問題なさそうだな。
「おぉ〜。」
以外と楽しい。スケボーなんて小学以来やってなかったな…まぁ、スケボーとは違うが。
俺はそのまま、1時間くらいそこらじゅうを飛び回る…
「ふぅ、もうそろそろ戻って、検証の続きをやって寝るかな。『扉、メインルーム』」
俺は”メインルーム”に戻り、ロメと検証の続きをやり、4時になる前には部屋に戻り、眠りについた…
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