47.出て行く準備を始めました
「やっぱり、それかな〜?」
「はい、それが一番近いと思われるでしょう。」
俺らが検証を始めて、3時間が過ぎた。
魔力について、かれこれ色々なことを試したが、”魔力”とは生物の持つ”魂によって生み出されてるエネルギー”ではないか?っていう結論が出たところで止まっている。
「もうすぐ夜が明ける時間ですが、大丈夫なのですか?」
「げ、もうそんな?」
「はい、私の生まれたのが大体、深夜1時頃。そして、それから3時間と少しですので。」
「もう、4時くらいってか。一度、部屋に戻って寝るかな…」
俺の体は不老不死。最近気づいたのだが、この体は睡眠も食事も必要としない。まぁ、一応できるけど…
それでも、長年の習慣なので変えるのも面倒だし、その方が調子が出るから、そうしてる。
「では、主は部屋に戻りお休みください。私が、検証結果をまとめておきますので。」
「じゃあそうするわ。また後で。」
「はい、お疲れさまでした。」
「ああ、『扉、オービス』」
俺はロメを”空白世界”に置いて、城の部屋に戻る。
「さて、寝るか…」
俺は、テラとニーズと布団に入り、眠りにつく…
もうすぐ朝になる。
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「松井様、朝ですよ。」
「…ん、うぅ。」
どうやら、起こされるまで寝てしまったようだ。
「今何時〜?」
「7時でございます。」
「わかった〜。起こしてくれてありがとね〜。」
「いえ、では失礼します。」
メイドさんが部屋から出て行く。
「さて、着替えるかな。」
俺はいつもの、白地に胸のところに紋様を入れたシャツと、黒のジーパンに近い素材のズボン、旧制服のローブを着て、ワイバーン革のブーツを履き、ベルトに短剣を装備する。
「これでよし。テラ、ニーズ行くよ。」
「キュウ!」
テラを胸ポケットにしまい、ニーズが頭の上に飛び乗る。
「さて、今日から色んな所に挨拶に行かなきゃだな。」
王都を出て行くので、ギルドや孤児院、カーランやアルバートの所に行かないといけないのだ。これだけでも、2日くらいはかかる気がするな…憂鬱だわ。
回るルートを考えながら、俺は食堂へ向かう…
「おっ、しんちゃんおはよー。」
「安井さん、おはよ〜。神野くんたちは?」
「まだ来てないよ…もう3日目だね。」
「そっか。」
神野たちは、最近部屋にこもってる。
魔族とはいえ、人型の生物を殺したのと、目の前で人が殺されたりしたことや助けられなかったことで、意外と強いショックを受けたらしい。
「石井くんとは話せた?」
「うん…多分、少ししたら乗り越えると思う。」
「なら大丈夫そうだね〜。」
石井は安井に任せておくとしよう。後は神野だな…
「神野くんは〜?」
「わかんない…「「おはよう。」」え?」
「…⁉︎」
神野たちが来た⁉︎
「大丈夫なの〜?」
「ああ、あの後いろいろ考えて、もっと強くなろうって。そうすれば、次は…」
「そうだね〜。頑張って〜。」
「おうよ。」
どうやら、自分で復活したようだ。まぁ、これなら大丈夫だろう。
「というか、やっぱりしんちゃん行くのか?」
「うん。1,2週間で出ようと思ってるよ〜。」
「そうか、やっぱり行っちゃうんだな…」
「大丈夫だよ。なんかあったら戻ってくるし〜。」
”孤独の多重世界”の扉の出口を、王都の入り口付近に設置したので、その気になれば簡単に帰ってこれる。
「僕がいなくてもがんばってね〜。」
「当然だ。」
神野たちと喋りながら朝食を食う。
「じゃあ、僕は行くね〜。」
「「「行ってらっしゃい。」」」
俺は、食堂を出る。
「さて、挨拶回りに行くかな。まずは、城内からだな…」
俺は図書館に向かう…
ギィ…
俺は図書館の扉を開ける。
「カリーナいる〜?」
「新様ですか。お久しぶりですね。どうかされましたか?」
「いや〜、もうすぐ僕が王都を出て、旅に出るから〜。」
「出て行かれるのですか⁉︎」
「うん。とりあえず、スリングに行こうかなって。」
スリングなら、迷宮があるから楽しそ…じゃなく、冒険者が集まってて噂を流しやすいと思ったからだ。
決して、遊ぼうとか考えてたわけではないのだ!
「そうでしたか。でもどうして…?」
「僕は勇者じゃないし、この国以外の国が魔族が来たときに、対処できるようにしておいたほうがいいでしょ?それに…」
俺はカリーナに理由を話し、それ以外に少しおしゃべりを楽しむ。
「確かにそうですね。がんばって下さい。」
「うん、ありがとね〜。」
「また、いつでもお越しください。」
「じゃあね〜。」
俺は図書館を出る。
「意外と時間かかっちゃったな。もう11時だよ。さて次は、アレクだな…」
俺は、第3訓練室に向かう…
「あれ?しんちゃんどうしたの?」
「あ、石井くん。やっほ〜。」
訓練室に向かう途中で石井に会う。
「いや、やっほ〜じゃなくて。どうしたんだ?」
「アレクさんに挨拶しようと思ってね〜。」
「ああ、そっか。挨拶回りしてるんだったね。」
「そ。まずは近場からってことで、城内を回ってるとこ〜。」
「城は、他に行くとこあるのか?」
「城門のおじちゃんと、ミュロさんの所〜。」
「そうか、たいへんだな。」
「いや、そんなこともないよ〜。ところで、なんで石井くんは第3に行くの〜?」
「ああ、拓巳を呼びに行こうと思って。多分、あいつのことだし、アレクさんと訓練してんじゃないかと思って。」
「ははは〜。きっとそうだね〜。」
俺は石井と話しながら、アレクがいると思われる、第3訓練室に向かう…
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