43.魔物を倒しました
俺らは神野たちのいる西門に来た。
「あらら…こっちも屍体まみれ〜。」
「…ですね。」
まぁ、魂が回収できてありがたいですけど。でも、一応生きてるのもいたので、そいつらは門まで運んでおく。
「神野くんたちどこだろ〜?」
「あっちじゃないですか?さっきから”カキンカキン”って、剣の音がしてますし。」
「じゃあ行ってみる〜?」
「そうしましょう。」
俺らは門から少し離れたところに向かう…
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『はぁぁ!』
ブンッ!
「ああ、いたね〜。」
「いたね〜。じゃないですよ!あれって多分、魔族ですよね⁉︎」
神野たちは魔族っぽいのと戦ってた。
「みたいだね〜。まぁでも、もう終わりそうだから待ってようか〜。」
「行かなくていいんですか⁉︎相手は魔族ですよ!」
「大丈夫だよ〜。一応陣も描いたし。」
一応陣を幾つか描いてあるのでいざとなれば、どうにでもなるので問題ない。
「あ、そうなんですか。なら大丈夫なんでしょうね。待ってましょう。」
「あ、その前にその辺に転がってる人たち、門まで運んであげてよ〜。」
「そうですね。わかりました。」
アルが死にかけてたり、怪我して動けなかったりしている人たちを運び始める。
「じゃあ、行くかな。」
俺はもっと近くに寄る。
「おりゃぁあ!」
ヒュン…ザク
石井が投げた槍が魔族っぽいのに当たり、魔族っぽいのが倒れた。
…終わっちゃったよ。せっかく来たのに。
「お疲れ〜。」
「あれ?しんちゃん。いつからいたんだ?」
どうやら全く気付いてなかったようだ。
「ついさっき〜。ところでそいつは〜?」
「テオドラって名乗ってた。多分今回の件の首謀者だと思うよ。」
テオドラって、アーノルドのところのやつじゃねぇか。もしかして、この魔物呼ぶのに人を生贄にでもしてたのか?
「ふ〜ん。じゃあとりあえず戻ろうか。向こうは終わったし、怪我人とかもいっぱいいるみたいだからね〜。」
「そうだな。まずはそこらへんにいる人を運ぶか。」
神野が近くにいた怪我人をおぶって歩き出す。石井たちがそれに続く。
「ここはどんな感じだった〜?」
「俺らが来た時には、もう魔物のほとんどは片付けられてたよ。」
「ふ〜ん。で、魔族は〜?」
「あぁ…あと少しってところまで魔物が減った頃に、突然奥の方から出てきた。近くにいた冒険者から攻撃されて、俺らが止めようとした時にはこのざまだ。」
神野たちが申し訳なさそうな顔をする。
「神野くんたちのせいじゃないよ。神野くんたちがいたから、これだけで済んだんだよ〜?」
「それでもね…」
「俺らがもっと早く来てれば…」
こいつら面倒だな…
「はぁ…せっかく魔族倒した勇者がそんな顔してたら、他の人たちも浮かばれないよ?」
「…そうだな。」
「ほら、もっと誇らしくしてないと。」
「…おう!」
うん、一旦はこれでよし。あとは自分たちでどうにかするでしょ。
というか、してくれないとダメだ。俺いなくなるのに、これからはどうするつもりなんだよ…
「じゃあ、魔石回収して戻るよ〜。」
「そうだね。」
「その前に怪我人運んでからな。」
「アルが働いてるから、大丈夫だよ〜。」
「新ちゃんも働けよ…」
「いやだ、めんどい。」
俺らは、怪我人を運んだり魔石の回収をしたりとかを始めた…
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「よくぞ、魔族を倒し、魔物の脅威から我が国を守ってくれた…」
俺らはやることを済まし、城に戻ってから2日、最初に謁見した部屋に呼ばれ、結構な量の貴族の中で表彰的なことをされている。長いし、めんどい…
「はっ!ありがたき幸せ。」
神野たちがが教えられたように受け答えをする。
「何か褒美として、所望する物はあるか?」
「いえ、特には。」
神野が答える。
「そうか、では金貨10枚を褒美として授ける。」
「あ、僕は魔族の魔石が欲しいです〜。」
俺が適当な敬語で声をあげたら、周りの貴族にめっちゃ睨まれた。
「…そうか、如何に用いるつもりだ?」
「えっと…あ、言葉遣い。はっ!私の今行っております、魔石を使用した魔道具の研究に。」
「それならば、もうすでにあるであろう。」
俺が今までに作った道具は”魔晶石”を使ってるからできているが、この世界の魔道具はまだ、下級程度の魔法しか込めることしかできない。
「いえ、今までのものでは行えなかった、強力な魔法の込められた物を製作する研究をしております。ゆえに、できる限り良い素材が欲しく思いますので。」
実際は魔物作るのに使おうと思ってるけど。
「そうか。ならば、それを褒美として授けよう。」
「はっ!ありがたき幸せ。」
「ではこれにて、…」
少し王様の話があった後に褒美を渡されて、俺らは解散となり、部屋に戻る。
「はぁ〜…新ちゃんが普通に喋り出したとき、どうしようかと思ったわ。」
「ははは〜。ついうっかりね〜。」
「面倒だったんだろ?」
「あれ?別にそんなことはないよ〜?」
「嘘つけ。」
「ふふふ〜。」
「まったく…俺はマジでビビったんだからな?」
「そのためにやったんだもん。しょうがないじゃん〜。」
神野たちをいじるためにやったのだ。別に後悔はしてない。
「お前な…」
俺は神野をいじりながら部屋に戻る…
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