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41.久しぶりに集まりました

 アルに訓練をつけ始めてから、1週間とちょっとが経った頃。俺は、アルと神野たちと一緒に、訓練室にいる。



 「へぇ〜、その子がしんちゃんの弟子?」


 石井が俺に尋ねる。


 「みたいなものだね〜。」

 「は、初めまして!アルです。」

 「あはは〜。アル緊張しまくりじゃん。」

 「いや、だって仮にも俺、一般市民ですよ。」


 アルは俺との訓練で、近接戦闘の基礎と応用はしっかりと教え込んだし、闇魔法やそれと火魔法の合成魔法もだいたいは教えて、ここからは俺が教えることは特にはなく、自分の努力次第ってくらいまでは成長した。もう、俺のやることもないので、今日で卒業ってことにしようと思ってる。

 あとついでに、きちんと丁寧語とかも話せるように、会話術も教えた。ステータスはこんな感じだ…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:アルファス・レクテンクール

 種族:人間

 性別:男

 年齢:12

 称号:英雄の遺志 悪霊の弟子

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 職業:魔法剣士 レベル:29

 筋力:47

 体力:95

 耐性:68

 敏捷:89

 魔力:168

 知力:67

 属性:闇 火

 スキル:軽業 ナイフ戦闘術 近接戦闘術

 記憶力強化 思考強化

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ステータスは、所によりアレクを追い抜くくらいまで上がり、スキルもかなり増えた。

 おそらく”英雄の遺志”の効果の”経験値と能力値上昇率に補正”ってのが関係してるんだと思う。というか”英雄の遺志”ってのは恐らく”英雄伝説”って本に出てくる人間族の英雄の子孫かなんなじゃないかと思う。


 「まぁ、僕らだって一応一般市民だよ〜。」

 「いやいや、師匠はAランクだし、他の皆さんだって勇者なんですよ⁉︎」

 「まぁ、俺らはあんまり気にしないで接して欲しいかな?」

 「そうだね、私たちだって元々普通の人間だしね。」

 「そういうこと〜。わかった?」

 「は、はい…わかりました。」


 やっぱり緊張するのは、仕方がないのだろうな。アルは未だに緊張しているようだ。


 「で、神野くん。なんで僕ら呼ばれたの〜?」

 「ああ、なんでも一ヶ月が経ったから、本格的に魔物との戦闘だってさ。だから、一回集まってこれからの説明だってよ。」

 「ふ〜ん、そうなんだ〜。」

 「多分もう少ししたら、ソフィがくると思うぞ。」

 「じゃあ、その前にあげるかな…アル、ちょっとこっちにおいで〜。」

 「あ、はい。」


 俺の前までアルがやってくる。


 「僕が教えることも特になくなったので、アルは卒業です。おめでと〜。」

 「…へ?俺まだ一回も師匠に勝ってませんよ⁉︎」

 「ふふふ〜。勝てるわけないじゃん〜。あれは、一応だよ。そうした方がやる気出るでしょ?」

 「え、ええ、まぁ…じゃなくて!なんで突然なんですか⁉︎」

 「僕は基礎は教えたし、魔法も教えた。応用も教えて、実際に訓練もした。あとアルに足りないのは、経験だけだよ〜。ここからは僕に頼らなくてもやっていけるでしょ?」

 

 残念ながら、もう俺から教えることは何もないのだ。


 「…っ!はい!俺、頑張ります。」

 「と、いうわけで、卒業です。おめでと〜。」

 「…ありがとうございました!」

 「あと、これあげるね〜。」


 俺は、アルが素振りしている間にこっそり作った、短剣を手渡す。


 「え?」

 「ほら、卒業したら1本作ってあげるって言ったでしょ?」

 「あ…そういえば。」

 「だから、これあげる。これは、”魔晶石の短剣”。魔力を込めれば、壊れても修復できるから、いつまでも使えるよ〜。」


 これは、前に作った”警護の首飾り”と同じように、魔石を一つにまとめて作ったのだ。けれど、魔石はBランク以上のものを使い、量も前の数十倍使って圧縮したので、純度もかなり高くなっている。また、魔晶石は主に魔力からできている。そこに、”吸収”を刻んだのと『改変』での状態変化で魔力を貯められるようになっているので、あるの魔力が枯渇した時にも使えるようになっているという、優れものだ。


 「あ、ありがとうございます!一生大切にします!」

 「うん、これからは自分のものを自分で守るんだよ〜。」

 「はい!」


 俺がアルに短剣を渡しているうちに、ソフィがやってきていた。


 「新さんは、いつの間に師匠になっていたのですね。」

 「はは、そうなんだよな。いつの間にか俺らとは違うことしてたし。」

 「まぁ、新ちゃんだからな。しょうがないだろ。」

 「「そうだね。」」


 なんか納得されたんだが…まぁ、いいや。早く説明を!


 「で、ソフィ。俺らはこれからどうするんだ?」

 「はい。まず皆様、戦闘には全員参加するということでよろしいですか?」

 「「「はい。」」」

 「あ、僕パス。」

 「「「はぁ⁉︎」」」


 俺は面倒なので、この国から出て、遊ぼ…じゃなく、裏方に徹しようと思う。まぁ、一応協力はするけど。

 

 「僕は王国を出て、別の国を回るから〜。」

 「なんで俺らに一回も相談しないで、そんなこと決めてんだよ!」

 「まぁまぁ、神野くん落ち着いて〜。」

 「落ち着けるかっ!どうして一緒にいないんだよ⁉︎」

 「これから説明するからさ〜。」

 「…ああ、わかった。」


 ふむ、落ち着けたようで何よりだ。では説明してやるかな。


 「まずさ、魔物が攻めてくるのは、魔族の住む大陸から一番近いここ”シルフィード”。そして、大陸側の海に面した”スリング”が一番来る可能性が高い。ここまでは理解できるよね?」

 「ああ、そうだな。」

 「なのに、スリングに勇者が呼ばれたって話は、一度も聞いてないんだ。どうしてだと思う?」

 「それは、獣人が強いから?」

 「違う。勇者を呼べないからだ。この世界で勇者を呼ぶことができるのは、この王国と、”マドーラ”だけなんだ。他の国では、魔法がそこまで発達してないか、戦闘にしか使われず呼ぶことができない。大丈夫?」



 ”ルクシオ”では、魔法はあまり使われない。基本的に獣人は、高い身体能力を生かしての戦闘をする。また”スリング”は、迷宮があり、そこに人が集まってできた国だ。だから、魔法は迷宮探索に使われるものがほとんど。そして”マドーラ”は、魔族の大陸から一番遠い。


 「そうなのか?」

 「そ。だから、今魔物が攻めてきた場合太刀打ちできるのは、ここだけなんだ。」

 「そうなのか。でもそれがどうしたんだ?」

 「だから、僕が別の国を回る。他の国で「王国には勇者がいる」って言い回れば、それに頼ろうとして他の国が食いついてくる。そうすれば、魔族が攻めてきた時に対処するのが楽になるし、援助もしてくれるだろう。なんたって人というのは、面倒事は他人に任せるのが好きだからね。」

 「そうか、わかった…新ちゃんは別行動するんだな。」


 


 「そういうこと。それに、神野くんたちは勇者だけど、僕には勇者の称号はないんだよ?」

 「そう言えばそうだったね。私たちは勇者だけど、しんちゃんだけ違うんだよね。」

 「だから、僕がいると邪魔に思う奴が必ず出てくると思うしね〜。」


 と、いろいろ言ったが、つまるところは面倒なのだ。

 まぁ、理由はそれだけじゃないが。


 「だから、僕は別行動〜。わかった?」

 「ああ…」

 「しょうがないね…」

 「うん…」

 「あの〜、説明続けてもいいでしょうか?」


 今まで放置されてたソフィが出てくる。


 「あ、ごめんね〜。いいよ続けて〜。」

 「はい、ではこれからのことなのですが。「ガランガラン…ガランガラン…」えっと…」

 「ギルドの緊急召集だね〜。どうしたんだろ?何かあったのかな?」

 「何かがあったんだから、召集がかかってるんだろうが。」 

 「まぁ、それもそうだね〜。とにかく誰かに聞いてみるかな〜。」

 

 俺は誰かに聞くために、廊下に出た…

意見、感想等ありましたらお願いします。

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