閑話:石井 和也の友情《下》
俺は、なんか家に帰りたくなくて、未来と初めて出会った、コンビニに行く前にある空き地に行ってみた。
『…聞いてんのか!だから金だせば許してやるって言ってんだろぉが!』
そこからは、先輩の怒声が聞こえる。また、誰かに集ってんのかよ。
『だから、僕はお金ないんだってば〜。』
はぁ⁉︎何でしんちゃんがいるんだよ!しんちゃんの家って反対側だろ。
『さっきコンビニから出てきたやつが、金持ってないわけねえだろ!』
『さっき使い切っちゃたんだって〜。聞き分けが悪いな〜。』
『はぁ?てめぇふざけてんのか?』
しんちゃんがやばい。新島先輩ってのは、中学の時から不良のグループに入ってて、今じゃそこのリーダーをやってるって噂だ。
この前は、俺が久しぶりに先輩に会ったから、どうにか話をそらして逃げたけど。もうそれは出来ない。どうすれば…
『まぁまぁ、落ち着こうよ〜。』
『やっぱてめぇ、俺らのこと舐めてんな。殺すぞ?』
やばいやばいやばい…新島先輩キレかけてるよ。しんちゃん一体全体、何したんだよ。もしかして、前のこと根に持たれてるとか…?
『殺すの〜?きゃーこわい。ふふふ〜。』
『…おい、お前ら。やれ。』
『『うっす。』』
俺が出るに出られなくて、空き地の少し手前で立ち止まってると、新島先輩が取り巻きに命令を出した。
『や〜、逃げろ〜。あはは〜。」
しんちゃんが空き地から出てきた。どうやったんだ?空き地の端に追い詰められてたんじゃないのか?
「あ、石井くん。やっほ〜。」
「お、おう。どうしたんだ?」
「ああ、なんか「「「てめぇ!待ちやがれ!」」」こんな感じ〜。」
「と、とにかく俺ん家まで来い。」
「りょうかーい。」
俺は、しんちゃんを連れたまま家まで走る。
「はぁはぁ…なんで、しんちゃんこんな所にいるんだよ。」
「”探偵ごっこ”だよ〜。」
「…は?もしかして、付いて来てたのかよ。」
いやいや、そんなわけあるか。俺は今日、1回もしんちゃんを見てないぞ。
「せいかーい。あ、写真見る〜?今回は、長いから動画はやめたんだ〜。」
「いやいや、俺は全く気付いてなかったぞ⁉︎」
「気付かれたら、尾行にならないでしょ〜?」
マジで付いて来てたのかよ…というか、チケットは5枚あったんだから、結城と拓巳もいたのか?
「もしかして、結城と拓巳もか?」
「いや〜、いなかったよ〜。神野くんと結城さんの計画は、来週予定。」
来週予定って、向こうにもなんか計画あるのかよ…
「そっちにも何かあんのかよ…というか、さっきどうして先輩に絡まれてたんだよ?夏祭りのやつか?」
「そうだよ〜。石井くん達を見届けて、「喉乾いたから帰る前にジュース飲んで帰ろう。」って思ってコンビニに寄って、出てきたらいきなり「ちょっとツラ貸せ」って言ってきてね〜。」
普通それをどうしたら、あんなことになんだよ。殺すぞって言うくらいだから、めっちゃキレてた気がするんだが。
「いや、どうしたらあんなに先輩キレるんだよ…」
「せっかく”石井くんのデート計画”がうまくいって気分が良かったのに、邪魔してきたから思いっきり馬鹿にしてやったんだ〜。ついでに言うと、後悔も反省もしてない。それどころか、すっきりしたからまたやろうと思ってる、この頃です。」
「いや、やめろよ⁉︎」
「嫌だな〜、冗談だよ〜。」
それはそうだ。マジでやられたら、ただじゃ済まない気がする。
「じゃあ、お疲れ様ってことで、僕は帰るね〜。」
「ああ、何から何までありがとうな。今日、見てたのだって俺らのことを思ってなんだろ?」
「いや〜、ただ面白そうだったからだよ〜。」
「違うのかよ⁉︎まぁ、いいや。気をつけて帰れよ?」
「うん、じゃあね〜。」
「おう。また明日な。」
しんちゃんは、帰って行った。
それからは、次の週に結城は拓巳に振られたのがあったぐらいで、その後は何事もなく俺らは2年になり、夏休みが終わってから少しして、この世界に呼ばれた。
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「ねぇ、和くん。聞いてる?」
こんなことを考えてたら、未来に呼ばれる。
「あ、えっとなんだっけ?」
「ああ〜、聞いてなかったでしょ?もぉ。」
「ごめんごめん。そろそろ未来とも、一年が経つんだなって思ってさ。」
「あ、そう言えばそうだね。もうそんなに経つんだ〜。」
「今度、外に行けるようになったら、一緒に観光でもしような。」
「うん!」
未来を元気付けるためにも、俺が頑張らなくちゃだな。
「じゃあ、今日の訓練も頑張るか!」
俺は訓練室に入っていった…
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