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28.討伐に向かいました

 「…ワイバーンの群れは6匹ほどで、おそらくシャルビア高原の南部に、住処を作ってると思われます。また、今は繁殖期で気性が荒くなっており、この村の住人も大きな怪我には至りませんでしたが、被害を受けています。」


 俺らは今、アビス村の村長バーナードに話を聞いている。アビス村はシャルビア高原の中央付近に位置する村で、王都の北側へ3時間とちょっとくらいのところにある。


 「なるほど、我々はその討伐という形でいいのですか?」

 「いいえ、全てを討伐してしまうと、そこにある生態系に乱れが起こってしまいます。なので成体を何匹か残して撃退していただきたい。」

 「わかりました。」

 「ではお願いします。」

 「はい、じゃあみんな行くぞ!」

 


 俺らはバーナードの家を出る。

 フェルナンが馬車の御者をやる。今俺らの中で御者ができるのはフェルナンとアリーヌだけなのだ。俺もそのうち習っておこうかな…


 「馬車に乗れ。置いて行くぞ、ベル。」

 「え〜。だってまた移動じゃん。馬車っておしり痛いんだもん。」


 実は俺だけ馬車の中で少しばかり魔法を使い、数mmくらい浮いているので痛くない。


 「知るか。さっさと行くぞ。」

 「はぁーい。」


 ベルってのはイザベルの愛称だ。


 イザベルはフェルナンに言われ馬車に乗る。俺もそれに続き馬車に乗った。




^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 少しして、馬車が止まる。近くまで着いたらしい。


 「ここからは歩くぞ。誰か馬車の番を頼めるか?」

 「それなら私がやるよ。というか、おしり痛いから動きたくない…」

 「ははは、そうか。じゃあ頼む!では、みんな行くぞ!」


 エリックたち他、俺らは森の中を歩き始める。


 「どの辺にワイバーンは居るの〜?」

 「少し向こうに昔盗賊の居城だった洞窟があったはずだ。おそらくそこだろう。」

 「ふ〜ん。どのくらい?」

 「だいたい歩いて20分くらいだったはずだ。とりあえずそこに向かっていく。」

 「了解〜。」



 そのあとはこれといって何も話さずに歩く…




 「ここだな…」


 しばらく歩いた先に高さ4mくらいの洞窟があった…


 「おそらくこの中にワイバーンがいる。みんな気を引き締めろ。いくぞっ!」

 「「「おう(はい)」」」

 「りょうか〜い。」


 俺が気の抜けた返事を返した後、洞窟の中に入る…


 中は何箇所で枝分かれしていて、時々視界が開け直径20mくらいの広い空間があった。



 「…いた。」


 一番奥の部屋と思われる部屋に4匹のワイバーンがいた。おそらく残りは食料を捕まえに行っているのだろう。


 「新と俺とフェルで行く。アリーヌは後ろで支援、ユーグは残りが来た時のために少し後ろで待機だ!」

 「「「了解。」」」

 「ほ〜い。」

 「では、行くぞっ!」



 エリックが走り出し、俺とフェルナンがそのあとに続き走り出す…


 ここじゃ広範囲殲滅系の魔法は使えないので、単体攻撃用の魔法を幾つか描き出しておく…


 「はぁぁっ」


 フェルナンがワイバーンのうちの一匹に蹴りを繰り出す…


 グギャァーーーーッ!


 ワイバーンが一瞬ひるむ。俺は描き出していた魔法陣のうちの一つを起動する。


 『風斬り』


 魔法陣から風の刃が、6つほどフェルナンの攻撃したワイバーンに向かい飛んでいく。


 スパッ…!


 後ろにいたもう一匹を道連れしてに、二匹のワイバーンがぶつ切りになった。


 やべっ、いつもの癖で魔力込めすぎたわ…


 「なんだそれ⁉︎」

 「ああ、うん。気にしないでいいよ〜。続けて〜」

 「いや、そうではなく、それは後どのくらい撃てる?」

 「2発くらいかなぁ〜?」

 「わかった。俺らで隙を作るから、その隙にやってくれ!」

 「ほーい」



 実際はほぼ無限に撃てるのだが彼らのためにならないし、何より面倒なので黙っておくことにする。


 「はぁっ、せいっ!」


 フェルナンがワイバーンに殴りかかる。


 ブンーーッ


 ワイバーンはそれに対して尻尾でなぎ払いをかける。どうやら俺らを敵とみなしたようだ。エリックがそれを盾で受け流し、そこをフェルナンが殴る。


 ガスッ!


 フェルナンが殴ったワイバーンの動きが一瞬止まる。そこを狙い他の魔法陣を起動。


 『風斬り』


 魔法陣から3つほどの刃がワイバーンに向かって飛ぶ。


 今度はさっきより少なく魔力を込めたのでそこまでの威力はないはずだが、俺の作った陣はもともと、この世界にあった魔法を組み替え、威力を上げ、魔力消費量を減らし、一発に込めることのできる魔力量を何十倍まで引き上げたものが多い。

 

 この『風斬り』も、もともとは『ウィンドボール』と『ウィンドカッター』と『ウィンドショット」と呼ばれる魔法を一つにまとめて、作り上げたものだ。

 

 だから、どんなに魔力量を減らしても一級の魔法使いの放つ魔法、数十発分はある。



 ズシャッ!


 ああ、やっちゃった…今度もワイバーンはぶつ切りになった。

 


 「よし、あと一匹だ!」


 ダッダッダッダ…


 「エリック、他のワイバーンが戻ってきたよ!」


 アリーヌがエリックに向かって叫ぶ。


 「チッ…一度下がれ!後ろのやつを追い返す!」



 そこにいたワイバーンに警戒しながら、俺らは戻って来たワイバーンの相手をするために、ユーグの方へ向かう。



 ギャァオォォォォ…



 ユーグの方についた時ワイバーンは3体いて、ユーグは劣勢を強いられていた…



 「フェルナン!ユーグの援護に向かえ!俺と新でこいつらを抑える!」

 「了解だ。」


 フェルナンがユーグの援護に向かう間に俺とエリックは、ワイバーン二匹の相手をする。


 ガシンッ‼︎


 ワイバーンが噛み付くのをエリックが防ぐ。俺はエリックがワイバーンを抑えているうちに陣を起動する。



 『風斬り』


 今度は2つの刃が放たれワイバーンに斬りかかる…


 ズバッ


 今度は一体だけで済んだので、うまくいった。


 ギャァオォォ…



 後ろからさっき残したワイバーンがやって来る。が、そいつは俺の魔法を見てマズいと思ったのか、外へと逃げ出す。残りの奴らもそれに続く。



 「うし、終わったか?」

 「みたいだな。」

 「屍体と素材の処理をして、馬車に戻りましょう。」

 「そうだね〜」

 「あぁ…」



 俺らはさっきの部屋に戻る…

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