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二人目の主人公:誕生の時

 彼はどこにでもいるような一般的な高校生の1人だった。



 * * *

 


 「な、なんだよ。これ…?」


 視界が真っ白になった後、気が付いたときには白くて6畳くらいの正方形の部屋にいた。

 彼の脳はすでにこの現象に理解が追いついていない。ただ、彼は誰かに言うことはなかったが根っからのオタクであるため「これが俗に言うところの”異世界召喚”とか、”異世界転生”というものではないのか?」などとふと思い、それのおかげで頭がすっきりしたのか、ここがどこなのか?どうして自分がここにいるのか?などと思考を始める。

 ちょうどその時だ。



 「うわぁ⁉︎…ちょっ、え?フィ、ギュア?」


 彼の目の前に突然、見たこともないような人…ではなく天使のような翼を持った、彼の思ったようにフィギュアのような大きさの人影が彼の目の前に浮かび上がった。

 彼はそのフィギュアのような人影がとても端正な顔つきをしており性別がわかりづらかったが、服装がワンピースのようであるためにかろうじて女性と判断した。彼はそれをもっとよく見てみようと手を伸ばした。



 『初めまして。私は”ゼウス”と申します。皆様、大変申し訳御座いませんが私のお話を聞いていただけませんでしょうか?』


 そして、手を伸ばした瞬間にそのフィギュアのようなものが突然に動き出し、しゃべりだしたために反射的に手を引っ込める。

 だが、何かを話し出した…つまり、これから転生だとか何かが始まるものだと思い、その女性の声に耳を傾ける。



 『現在、皆さんは元いた世界ではない別世界へと召還されようとしています。その世界は魔法や魔物などの存在する、皆さんの言葉で言うファンタジーの世界です。これは夢ではありません、現実です。これから言うことをよく聞いてください』


 案の定、異世界への転移と聞いて彼の心が躍る。彼もそういったことを体験してみたいと思う人種であったのだった。

 それを聞いて次を早く知りたくなり、話を続けるのを待つ。



 『その世界はオービスと言う世界で、現在戦争が巻き起ころうとしています。オービスには勇者召還という魔法が存在し、皆さんはそれによって召還されることとなります。残念ながら、私の力では召還を阻止することはできませんでした。ですが、皆さんは戦争なんてしかとこのない一般的な人間です。そのため、私がその召還に干渉し、このような形でこの空間へ呼び寄せました。これから、この空間内で皆さんには力を得てもらいます。これは口で説明するより実際にやっていただいた方がわかりやすいと思いますので、これから私の言う通りにしてください。まず、今私が映し出されている場所の横に映し出された画面をご覧ください』


 そして、彼は戦争という言葉に少し気落ちしながらもその女性の横へと目を向ける。

 そこにはちょうどパソコンの画面ぐらいの大きさに半透明な画面が浮かんでいた。今度はそこまで驚かなかったが、それは単に「SF映画に出てきそうだな」などと気楽なことを考えていたためだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:本居 司

 種族:人間種

 性別:男

 年齢:17

 称号:異界人 勇者の可能性 天使の加護

 強欲の者

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 職業:設定してください。レベル:1

              状態:通常

 筋力:振り分け未定

 体力:振り分け未定

 耐性:振り分け未定

 敏捷:振り分け未定

 魔力:振り分け未定

 知力:振り分け未定

 属性:選択してください

 種族スキル:

 スキル:選択してください

 振り分け可能値:2000p

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「へぇ、これね」


 そこに映し出された画面はまるでゲームのステータスのようだった。

 彼は称号にある”強欲の者”にちょっと苦笑いしつつ、話が進むのを待つ。

 


 『そこに映し出されたのが現在の皆さんのステータスです。これからそれを設定していただきます。もう一度言いますが、これは現実です。しっかりと考えて設定してください。では、次の説明に入ります。まず称号ですが、これはある一定行動をこなすと世界からそれを認められ、何かしらの補正が入るようになります。現在皆さんの持つ”異界人”は異世界言語の理解、”勇者の可能性”はステータスの上昇率の上昇とレベルアップに必要な経験値の減少、”天使の加護”は治癒能力の上昇です。また、それら以外にも持っている人がいると思いますが、それらはのちに説明しますのでお待ちください』



 「つまり、俺は世界に強欲だと思われてるのか…」


 実際、彼は結構欲深い人間だ。他人ができることが自分にできないのは許し難いし、ゲームなんかのガチャなんかでは自分の欲しいものが手に入るまで何度でもやる。彼は自分の手に入れられないものはあってはならないと思ってるし、彼にとって自分が全てであり、自分の思い通りにならない者はないとでも言わんばかりの傲慢さを兼ね備えるような人間だ。その甲斐もあってか、彼は成績優秀、運動神経抜群な好青年…ではないが、そこそこに顔も悪くない人間であった。

 よく言えば自分の目標のための努力を惜しまない人物であり、悪く言えば自己中心的なプライドの塊であった。


 ちょっとショックを受けつつ、彼は再び始まった話に耳を傾ける。


 『確認は済みましたでしょうか?では、次に職業です。職業とは誰もが1つ持っているステータスの1つで、レベルが上がった際に上がる能力値や取ることが可能になるスキル等に関係します。次にそれぞれの値ですが、筋力値はそのまま力の強さ、これが高いほど強い力を発揮できます。体力値は肉体の治癒能力の高さ、これが高いほど怪我の治りなどが早くなります。耐性値は肉体の耐えうる魔力の量、これが高いほど一度に多くの魔力が使えます。敏捷値は神経の伝達速度、これが高いほど体を思い通りに動かしやすくなります。魔力値は魔法やスキルなどに使う身体エネルギーの保有量、これが高いほど多くの魔力を持てます。知力値は脳内の演算能力の高さ、これが高いほど一度に多くのことを処理することができます。属性はそのまま使うことのできる魔法の属性を表します。以上がそれぞれの値の説明となります。また、今の説明はその画面のそれぞれの値を長く押していただければ、確認できますのでご安心ください。では最後にスキルについて説明いたします。まずスキルは種族スキルと通常スキルに分かれます。種族スキルは種族ごとに持っている特殊なスキルです。こちらは人間種には関係ありませんので置いておきます。通常スキルは大きく分けて三つほど存在し、1つ目が技能を補助してくれるものです。例えば剣術というスキルを所得している場合、剣を使うことに対して補助がかかり、同じ程度の技量のもの同士であれば持っている方がうまく剣を扱うことができるようになります。2つ目が特殊な技能を使うために必要なものです。魔物を眷属にする眷属化などの特殊な技能を扱うためにはこれが必要不可欠となります。これがない場合、剣術を持たなくて使えるものとは異なり全く使用することができません。そして、3つめが常時対象者に何かしらの影響を与え続けるものです。自動治癒のように常に体の傷を癒し続けてくれるものなどが存在します。では、これで説明を一時終了いたします。ここからは皆さんの画面にて行います。まず、振り分け可能値という欄をご覧ください。こららが皆さんに与えられた能力値です。今から、これの振り分けを皆さんにしてもらいます』


 一気にされた説明をある程度理解し、画面の操作をしようと思ったところでまだ話が続いた。



 『能力値は成人男性の平均がそれぞれ筋力値40、体力値100、耐性値50、敏捷値40、魔力値100、知力値30です。それらを踏まえてステータスを振ってください。また、能力値に1も振らないことは不可能で、職業は選択が必須になっています。わからないことがありましたら、その都度私にお尋ねください。では、しつこいようですがこれは現実です。しっかりと考え、ステータスを設定してください。また、私がこの空間にみなさんを留めておけるのは良くて1日程度です。では、始めてください』


 今度こそ話が終わったようで、彼は画面へと手を伸ばす。



 「とりあえず、まずは職業からだよな」


 彼は職業と書かれた欄に手を伸ばす。

 そこに手を触れると、スマートホンに触れるのと同じような感覚があり、”職業:”と書かれた横に様々な文字がと出現する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:本居 司

 種族:人間種

 性別:男

 年齢:17

 称号:異界人 勇者の可能性 天使の加護

 強欲の者

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 職業:戦士 50p 闘士 50p 武道家 50p

 槍使い 50p 弓師 50p 狩人 60p

 斧使い 60p 重戦士 80p 旅人 60p

 罠士 70p 魔法使い 50p 黒魔道士 100p

 奇術師 120p 銃士 100p 錬金術師 50p

 死霊術士 200p 漁師 50p 道化師 50p

           ・

           ・

           ・


          レベル:1

              状態:通常

 筋力:振り分け未定

 体力:振り分け未定

 耐性:振り分け未定

 敏捷:振り分け未定

 魔力:振り分け未定

 知力:振り分け未定

 属性:選択してください

 種族スキル:

 スキル:選択してください

 振り分け可能値:2000p

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 まだまだ続くようで、何度も決める時間はないかもしれないし、多分向こうでの変更はできない可能性も高いと思い、どれがいいかと悩みながら1つ1つ見ていくと、1つの職業が目に止まった。



 「”強欲の王”…って、これ完全に悪役っぽいな。でも500pってことは以外とレアなのか?」


 そんなことを思っていたところで、ふとヘルプがあると言っていたことを思い出す。

 彼は横に浮いている女性の方を見て、それから声をかける。



 「え、えっと、ちょっといいか?」

 『はい。どうかされましたか?』

 「職業ってポイントが高いのは強いのか?それともレアなだけなのか?」

 『それは必ずしもそうとは言い切れません。ポイントの高いものが強いかどうかは使用者によって左右されますし、レアであるかと問われれば多く存在するが高い能力値を誇るものであったりしますゆえ』

 「へ、へぇ…つまり、その職業自体は強いっていう認識であってるのか?」

 『はい。その認識であっています』

 「そ、そか。ありがとな」

 『いいえ。とんでもございません。いつでもお気軽にお声をお掛けください』

 

 彼は、その答えを聞いて他のポイントの高い職業を探してみようと画面に出ている職業をスクロールして探すが、それ以外に見つけることができたポイントの高い職業は”筆頭 230p”で、その次が”付与魔法使い 220p”だった。


 

 「もしかして、500pはこれだけ?」


 それを質問として捉えたヘルプが勝手に答えを返す。



 『いえ。他にも”勇者””剣聖””賢者””魔王””英雄””禁呪術師”など、合計273種の職業が存在いたします』

 「…え?俺の画面には1つしかないけど?」

 『それはあなたにそれ以外の適性がないからと思われます。不適格な職業を身につければ、魂の容量が決壊し消滅しますので。むしろ1つでもあったことを喜ぶべきでしょう』

 「え、なにそれ怖い…じゃあ、ポイントのどれぐらいが一般的な職業なんだ?というか、どれくらいのポイントがどんなくらいの職業に相当してるんだ?」

 『大体、50pで通常、またはそれ以下の職業。100p以上でそこそこの能力を兼ね備えた職業。200p以上で一般的に少しレアと考えられる職業。300p以上でレアな職業。400p以上でほとんど世界にいない職業。500pで世界に1人いるかいないか程度の職業です』


 つまり、これは適性の問題で、俺の中で一番強いと思われるのは”強欲の王”ってわけだ。それ以外はそこそこの能力値と考えるべきか。とりあえず、他にもポイントを消費する部分があるんだし一旦保留しよう。

 ああ、そういえば称号のアレを聞いてなかったな。


 

 「なぁ、称号に”強欲の者”ってやつがあるんだけど、これってなに?」

 『”強欲の者”…ですか。それは経験値や能力上昇の際に補正が入る称号です。主に一定以上の強い欲を持つ者に与えられます』

 「へぇ…やっぱり、俺って強欲なのかな?」


 彼はちょっと自分の行動を振り返ってみるが、彼自身がそれを欲だと思ってないがゆえに強欲だとは特に思わなかった。



 彼はその後は属性の選択、スキルの選択に手を伸ばし、それぞれ目ぼしいものをチェックし、全体の構成を考える。時折ヘルプに色々な質問を交えつつ、確かな情報を得ていった。


 

 「よし、これで完璧だろ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:本居 司

 種族:人間種

 性別:男

 年齢:17

 称号:異界人 勇者の可能性 天使の加護

 強欲の者

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 職業:強欲の王 レベル:1 

              状態:通常

 筋力:60

 体力:100

 耐性:100

 敏捷:80

 魔力:200

 知力:60

 属性:闇 治癒

 種族スキル:

 スキル:【強奪Lv.1】【偽装Lv.1】【体術Lv.1】

【スキル整理Lv.max】【鑑定Lv.1】

 振り分け可能値:0p

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 彼は元々は別のスキル構成にしようとしていたのだが、”強欲の王”そ職業に選択した際に”強奪””スキルポイント振り分け”が強制的についてきて、それらがそれぞれ200pであったために構成を見直し、結局この構成で落ち着いた。

 ”強欲の王”…それは他者のものを強奪することを基とした職業。

 ”強奪”は1日にスキルレベル×10回の使用が可能なスキルで、対象とした者のスキルやステータス値を奪う(・・)。ただし奪うものは選択できず、最低1つは奪うが奪える可能性のある数もスキルレベルによって異なる。ただ、奪ったものはその奪った時の状態で使用が可能であるため、高レベルのスキルもそのままで使用が可能である。

 次の”スキル整理”というのは、奪ったスキルをポイントへと変換したり使用できるようにするためのスキルである。例えば【剣術Lv.2】を強奪で奪ったとしよう。通常ではすでに【剣術】を持っていた場合、既存のスキルにその奪ったスキル分の熟練度が加算されるだけだが、このスキルがあることによって別の操作が可能になる。奪ったスキルをこの空間内でポイントから換算するようにポイントに戻し、別のスキルの熟練度に割り振ったり、新たにスキルを所得したり、と別のものへと変更が可能になる。ただし、この場合は熟練度分のポイントがもらえるわけではなく、そのスキルレベル分のポイントになってしまう。つまり、スキルレベルがLv.2になりたてのスキルともう少しでLv.3に到達するLv.2のスキルでも変換できるポイントが同じなのだ。

 まぁ、両方共に色々と条件などが存在しているのだが、これは別の機会にしよう。


 彼はこの空間内でそこそこの時間が経過しているのに空腹感を感じなかったりすることについて疑問を抱きつつ、ヘルプへ質問を繰り返して知識を蓄えるのであった。

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