閑話:神野 拓巳の後悔 《下》
俺は今、新の家の前にいる。そして、恐る恐るチャイムを鳴らす…
ピンポーン…ガチャ
「あ、神野くん〜。どうしたの〜?」
「どうしたのはこっちのセリフだ‼︎お前なんで学校こねぇんだよ⁉︎」
「あぁ〜、それね。まぁ、とりあえず上がりなよ〜。」
「あ、おう。」
俺は新に言われ家に上がる…
「で、なんでお前学校こないんだよ?」
「それはね〜…風邪ひいてたんだ〜。」
「嘘つけ。で、本当のところは?」
「ちょっと母さんが風邪ひいて、代わりに家のことしたり、内職手伝ったりしてたんだ〜。」
「そうだったのか。よかった…お前がついにぐれたかと思ったわ。」
よかった、なんかあったのかと思ったわ。最近また不良が暴れてるみたいだったし…
「あ!もうこんな時間じゃん。夕飯作んなきゃ。神野くん食べてく〜?」
「あ、おお。もらうわ。」
「了解〜。じゃ、買い物行ってくるから、部屋にいてよ〜。」
「俺も行こうか?」
「いいよ〜。じゃあ行ってくるね〜。」
新は買い物に行ってしまった…にしても久々に来たが、部屋めっちゃ変わってるな。あいつが好きだった、小説とかどこにしまったんだろ?
俺は少し部屋の中を漁る…
「は?」
なんだこれ? 俺がたまたま開いたノートには、数式がぎっしり書いてあった。
他にも探すと社会、国語、理科、英語とすべての教科分が出てきた。しかも教科書の範囲どころか高校の分まで…
あいつは俺が何十倍も頑張ってるうちに、その何百倍も努力をしてた…いや、だが前回のテスト俺よりも順位低かったよな?どういうことだ…
他にもしばらく探すと、武術の教本が大量に出てきた。
ガチャッ
「お兄ちゃん、ただいま〜。」
「びっくりした〜、鈴ちゃんか…おかえり。お邪魔してる。」
「拓巳さんでしたか。お兄ちゃんは?」
「買い物だってさ。会わなかった?」
「いえ、そうですか。わかりました。ゆっくりしていってください。」
「ああ、すまないな。」
もう少ししたら新も帰ってくるだろう。
俺は部屋の中身を元あったように戻す…
「ただいま〜」
「おう、おかえり。」
「うん、じゃあ夕飯作るから手伝って〜。」
「了解。何すればいいんだ?」
「人参と玉ねぎ刻んで〜。」
「おう。」
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「じゃあ、お邪魔しました。」
「いいえ、またいつでも来てください。」
「ところで新はどこ行ったんだ?」
「お兄ちゃんなら出かけたと思うけど…」
そうなのだ、新は飯を食ったあと、少ししてから出かけて行ったのだ。
「どこにいったんだ?」
「それは私も知りません。最近はいつも、どこかに…」
「そっか…じゃあ、また。」
「はい。」
俺は家に向かって帰る…
新の家からしばらく歩いたところで、誰かの悲鳴が聞こえた。
俺は悲鳴が聞こえた方へ向かう…
「やめてくださいっ!」
「いいじゃねぇか、俺らといいことしようぜ?」
「嫌ですっ!」
「まぁ、いいじゃねぇかよ。」
不良が高校生っぽい女子生徒に絡んでいた。助けなくちゃっ!
ガスッ!
「っ!いってぇな、テメェ何しやがる⁉︎」
「…目障りだ、死ねよ?な?」
俺が出ようとしたところで、俺のいる反対側から来た新が不良を殴る。俺はそれを見て隠れる…
「はぁ?ふざけてんの「グチャ」ギャァァァァ⁉︎」
は?新がいきなり目潰しをしやがった…何やってんだあいつ…
「…うるさい。だまれ。」
「ひぃぃぃ…」
「ああ。そうだ!君帰っていいよ〜。邪魔だし。」
「は、はい…」
「ああ、それと警察は呼ばないでね〜?」
「あ、ありがとうございました。」
「いいえ〜。じゃあ。気をつけてね〜。」
女子生徒が走って、その場から逃げるように帰っていく…
「…さて、お前どこかのグループに所属してる?」
「ひっ!し、してません…」
「…俺は嘘つきは嫌いなんだ。」
バキッ
「ぎゃあぁぁぁぁ⁉︎」
おい、何してんだ⁉︎あいつ。不良の右手の中指が曲がっちゃいけない方へ曲がってるぞ…
「…で、本当は?」
「しっ、してます!」
「…素直でよろしい。じゃあ、どこに?」
「…4丁目のグループだ!俺に手を出してみろ。そんときゃお前を後藤さんが「4丁目の廃工場をアジトにしているやつ?」…は、はい。」
「…じゃあ苦しんで、これからを生きるといい。ついでに仲間も呼んでくれるとありがたいな。」
「へ?」
バキッゴキッ バキッベキッ ドカッドスっ
新が不良の顔を骨格が歪むほど殴ってる…
「…さて、次は指と足。どっちがいい?」
「ヒィィィ⁉︎い、いやだぁぁ…!」
「…両方ね。」
新はどこからかナイフを取り出し不良の足に突き刺す…そして刺した状態でグリグリと動かす…
「ぎゃぁぁぁ⁉︎いやだ、いやだ、いやだ…」
「…うるさいな。もう死んどく?」
「やめて下さい。やめて下さい。やめて…ぎゃぁぁあぁああぁ」
今度は指を切り落とす…
俺は見ていられなくなってそこから逃げ出した…
なんで、新がこうなるまで気付かなかったんだと、自分を責めながら…
そのあと、しばらくして4丁目の不良が、廃工場に大けがを負った状態で見つかるという事件が起きた。不良は皆どこかしら体を失い、社会復帰が難しいくらいまで、精神的にやられていた。また、そいつらの証言も曖昧で、犯人は結局のところ捕まっていない。
だが、俺は犯人はおそらく新だと思う。
そうして、その後は俺らの学校の近くで不良を見ることはなくなった…
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「クソッ…せめて、この世界では…」
「神野様、夕食の時間です。」
「あぁ、今行く…」
俺は後悔を繰り返しながら、食堂へ向かう…
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