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4.学校へ行きましょう

開けましておめでとうございます。今年度もどうそよろしくお願いします!

 学校の休校が終わり、久しぶりの登校日。


 …どうしよう。すごく学校に行きたくない。

 この2日間。ほとんどの時間を僕の趣味に当てていたせいで、学校というものに僕の時間を取られるのがずごく嫌だ。

 どうしようもなく学校に行きたくない。

 どうせ向こうの世界に呼ばれるのは1ヶ月以上あとのことになるから、学校に行かなくても支障がないのだよ。行かなくても良くないかな?



 「まぁ、結局行くんだけどね〜…」


 昨日もあのカフェに行き、結局尾けられる羽目になったのだ。生徒会から何かしらのアプローチがあるかもしれないから行かざるおえない。

 僕は自転車に乗り、学校への道を進む。

 いつも通りの道をいつも通り1人で進んでいく。神野は今日も朝練があったらしいので僕だけだ。生憎、寂しとかいう感情は僕は持ち合わせていない。




 ゆっくりと学校までの道のりを走ること15分くらい。

 校門でいつものように教師が生徒に挨拶をしている。僕はその横を走り抜け、自転車置き場に自転車を止める。

 鍵を取り、下駄箱で靴を履き替え校舎に入る。そして、階段を4階分ほど上って教室にやっとたどり着く。

 全く、こんなに階段を登らせるくらいなら校舎を横に広くして欲しいものだね。敷地には結構無駄があるし、法律とか的にも何も問題ないんだからさ。

 僕は無駄に長い階段に文句をつけてから教室に入る。

  

 僕の教室…というか、僕らのこの学年の教室は1クラスだいたい36,7名程度で、成績などはあまり考慮せずに適当に振り分けられている。そんな中で僕と神野や石井と安井と結城が同じクラスに慣れているのは結構運がいいことだ。まぁ、僕のクラスには同じようにめんどくさいのも一緒のクラスのまま上ってきてるけどね。


 僕は窓際に近い自分の席に着き、荷物を降ろして後ろのロッカーの中に放り込み、椅子に座る。

 今は8時32分。朝礼が35分からなので実際結構ギリギリなのだが、早く来たところで自習なんてやる気はないからいつもこの時間に来ていた。

 少し待つと、教師がガラガラ…と立て付けの悪い教室のドアを開けて入ってくる。



 「あ〜、全員いるな。この間のは機械の不慮だった…てのは知ってるよな。連絡は以上だ。後は適当に時間でも潰しておけ。授業には遅れるなよ」


 うちの教師が相変わらずの適当っぷりの目立つ朝礼をし、プリントを配っていく。

 この教師は、内田 猛。社会科の公民を専門に教える教師で、授業中に僕が全く関係のないことをやっていてもそんなに怒らないとても都合のいい教師。僕は気に入ってる。

 まぁ、その適当さのせいで一部の生徒の親からは嫌われつつあるのだが、授業自体はつまらないけど要点をしっかりと抑えた効率のいいものをやる、意外にできる教師でもある。ちなみに元々は大学の准教授だったとかの噂もある。

 ま、どうでもいいんだけどね。


 

 45分になってキーンコーンカーンコーン…とチャイムが鳴り、朝のH・Rが終わる。そして、生徒たちはそれぞれの授業の準備をし始める。

 高校は2年から文系理系で分かれて授業をするので、だいたいクラスが2分して授業を受ける。ああ、ちなみにだが、うちの学校は1,2組、3,4組、5,6組のクラスの文系理系が一緒に授業をする。

 おかげで6組の僕らと5組の石井たちは同じ授業を受けているよ。

 ついでに言えば、僕らは何気に全員文系を選択してる。


 そんなことを思いつつ、僕は筆箱とルーズリーフを挟んだファイルのみを持って神野のところへ向かう。



 「はぁ…新ちゃん、教科書とかぐらいは持って行こうよ。だから毎回先生に怒られるんじゃないの?」

 「え〜。そんなことを言われても何も持ってきてないから、どうしようもないよ〜?」

 「ははは…相変わらずだな」

 「ま〜ね。で、神野くん。2日間でどうにかできたの?」

 「結局2徹したよ」


 なるほど。だから、神野の部屋はカーテンが閉まりっぱなしだったのか。

 徹夜したあとじゃ、カーテン開けることもしたくなかっただろうしね。



 「わ〜お。2日間もよく寝ずに頑張れたね〜」

 「おう。おかげで凄え体の調子が悪い」

 「ははは〜。じゃ、とりあえず1時間目の場所に移動しようか…ところで1時間目ってなんだっけ?」

 「そこから⁉︎」

 「まぁまぁ、いつものことでしょ?」


 だいたい、授業をまともに受けない僕が、1日の教科を覚えてるわけがないじゃん。



 「…だよな。ったく。1限目は現代文で5組に移動。2限目は体育。3限目は数学Bで5組に移動。4限目は日本史で6組のまま…とりあえず、午前中はこれだけだよ。覚えたか?」

 「うん。了解〜」

 「…その暗記力をテストで発揮しろよな」

 「善処する〜」

 「あ、絶対やらねえやつだ」

 「ほら、早く行こうよ〜」

 「おう」


 僕らは隣の教室に入る。

 席はあらかじめ教師が決めていて、僕は先生が授業中に気にならないような位置に配置されることが多く、この時間も一番廊下側の一番後ろ。

 いや〜、全く。ずいぶんと嫌われたもんだね。

 あ、ちなみに神野は教師の話をしっかりと聞くようなタイプなので、2,3番目くらいの場所にいることが多いね。


 そんなことを思いつつ僕は席に座った。

 机にファイルと筆箱を置き、授業が始まるのを待つ。

 ふと思い出して安井と石井の方へ視線を向けると、安井が熱心に石井を教えている。

 まぁ、あらかた想像がつく。どうせ休みの間に石井が今までの1年半分を頑張ってはみたものの、どうにもならなくて安井を頼ったのだろう。安井がちょっと嬉しそうだから間違いはないはず。


 それをニヤニヤと眺めていたら安井が僕に気がついたようで、手を振ってあげたら顔を真っ赤にしてる。

 なんともわかりやすい。


 そんな間に、再びチャイムが鳴って教師が入ってくる。


 「起立!…お願いします!…「「「「おねがいします」」」」着席…」

 「はい、おねがいします。では、教科書97ページを開いてください」

 

 

 挨拶が済むと、教師は授業を始める。

 ちなみに日本史は若い男で、飯田 昭夫っていう教師。頑張ってる生徒には目をかけるけど、僕みたいな生徒は結構嫌うタイプ。


 僕はそんなのを無視して、内職…チャームのデザインを始める。

 前に作ったネックレスとかが、意外にいい値段で売れそうなのだ。出してからまだ2日程度なのにもかかわらず、既に1個が4000円を超えた。

 他もだいたい平均3400円くらいなので、手の込んだことをして作った甲斐があったね。

 精を出して頑張ろうじゃないか。



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 「…おい、松井。聞いているのか!」

 「はいはい、なんでしょうか〜?」


 僕がデザインに没頭していると、教師から声がかかる。

 何か質問でもされたのかな?



 「はぁ…これだから。文明開化について、説明しろ」

 「えっと、文明開化とは、明治時代の日本に西洋の文明が入ってきて、制度や習慣が大きく変化した現象のことを指す。さらに、西洋のものなら何でもよいという考えすら出ていた。 近代化…つまり西欧化そのものは明治時代に於いて一貫した課題であったが、文明開化と「もういい」いう言葉は、一般に明治初期に、世相風俗がこれまでの封建社会から大きく変わった時期を指して使わ「だから、もういい」れる。その社会が変化していく時代「だからもういいと言ってるだろうが!」…あ、そうです?」


 「「「おお〜」」」


 周囲の生徒がざわめく。


 僕が教師に嫌われる理由。 

 1.時折、教師より無駄に詳しい説明する。ただし、一部だけだけどね。そんなにやると僕の成績がおかしい事に気がつかれる。


 ま、これで僕の邪魔しないでくれているのだから都合がいいことこの上ない。


 そんな事を思っている間に、授業がそのまま進行していく…



 


 「では今日はここまでとする。挨拶」

 「起立!…ありがとうございました!「「「「ありがとうございました」」」」…着席」

 「はい。お疲れ」

 

 しばらくして、授業が終わる。


 久しぶりの授業はそんなに長くなかったような気がするね。

 ま、授業が50分で結構短い時間だし、それもそうか。

 

 僕は書いたデザイン画をファイルにしまい、使っていたシャーペンと消しゴムとかも筆箱へ。



 「しんちゃん、相変わらず偏った知識だね…」


 しまい終わったところへ石井と神野がやってくる。



 「石井くんもこれぐらいだけでも覚えておけば〜?先生に文句言われなくなるよ〜」

 「いや、俺はいいよ。というか、第一に覚えられなさそうだし」

 「ははは〜。さて、神野くん、戻ろ〜」

 「おう」


 僕らは教室に戻る。

 次は体育。僕が一番嫌いな時間だ。

 

 教室に戻り、制服から体操着に着替える。

 僕はジャージを着込み、腕とかがあまり見えないようにする。


 僕の腕とかは、色々やったせいで結構筋肉質なのだ。しかも、あまり無駄な筋肉すらないようなやつ。

 見られると面倒ごとが多い。

 『わ〜、すご〜い』とかで済めばいいけど、部活に勧誘されたりするのが面倒だし、余計な詮索されるのも面倒くさい。

 


 「さてと」


 僕は着替え終わると、神野を急かしに行く。



 「ほら神野くん、早く行くよ〜」

 「いや、ちょっとぐらい待てよ⁉︎俺今どう見ても上着てねえだろ」

 「いっそそのまま行ってみる?向こうのせいでちょっと筋肉がついたままだから、恥ずかしくはないでしょ?」

 「それでもそれはまずいだろ…」

 「じゃあ早く着て〜」

 「お、おう」


 ガサゴソと神野が体操着の上を着る。

 着終わったところで、僕は神野の襟首をつかんで廊下へ歩き出す。



 「ちょっ、首が伸びるから!」

 「大丈夫。伸びるのは首じゃなくて襟首だから〜」

 「そういうことじゃないっての!」

 「じゃあ早く歩きなさいな〜」


 僕はパッと手を離す。神野はそのまま後ろ向きに倒れる。



 「ったく、何すんだよ…」

 「神野くんが遅いのが悪いよ〜」

 「はいはい。じゃあ行くぞ」

 「ほ〜い」


 僕らは体育館に移動する。

 確か、今やってるのは…なんだっけ?昔すぎて覚えてないや。


 


 


 そんな事を考えているうちに体育館に到着する。


 上履きから体育館シューズに履き替え、体育館に入る。

 入った瞬間にチャイムが鳴り、僕らは走って教師の前に並ぶ。



 「よし、じゃあ授業を始める。挨拶っ!」

 「休め!…気をつけ!…礼!「「「「「お願いします!」」」」」

 「よし、じゃあ準備運動っ!」

 「足立くん基準。体操の隊形に…開けっ「1、2、3」」


 僕らはそんなこんなで準備運動を始める。

 僕が体育が嫌いな理由なんだけど、3つ程ある。

 1つは単に面倒くさいから。

 2つ目はわざわざ目立たない程度に体をセーブしてやってるから。

 3つ目は…僕、この教師が嫌いだから。


 この体育の教師は後藤 治と言うおっさんで、意外と体つきも悪くない…というか結構マッチョ。

 高校、大学とラグビーをずっとやっていたらしく、今もうちの高校のラグビー部の顧問を務めている。

 で、僕が嫌いなのは、こいつが無駄にうるさいからだ。

 もう、どこぞのテニスプレイヤーのごとくうるさい。「今日から君は…富士山だっ!」とか言い出しそうなくらいにうるさい。

 しかもちょっと熱血。


 はぁぁ…考えるだけで憂鬱。

 ああ、ちなみにこいつは生徒から”熱ゴリラ”と呼ばれて親しまれている。本人はそれをあまり気にしていない。というか、むしろ気に入っているとらしい。

 …アホなんじゃないのかな?



 「よし、じゃあ武井。ボールを持ってこい!」

 

 準備運動が終わり、後藤が体育委員の武井 夏樹にそう言う。

 ちなみに、この体育委員は男なのに”夏樹”という名前なのでちょっと名前にコンプレックスを持っているらしいよ?

 

 

 「ああ、そういえば今やってたのってバスケだったっけ」

 「新ちゃん、忘れてたのかよ」

 「いや〜、神野くん。それはしょうがないと思わない?」

 「まぁな」


 僕らはボールを取りに行った武井を待つ。


 ちょっとして、武井がボールの入ったカゴをガラガラと音を立てながら持ってくる。



 「よし。じゃあ、1人1つ持って体育館を5周だっ!ほら早く行けっ!」


 僕はボールを適当に選び、ダムダムとボールをついてドリブルしながら走り出す。

 ま、他の生徒に合わせてゆっくりとだけどね。


 そんな中で、2人の生徒が先頭を結構な速さで走っている…というより独走している。

 しかも、片方は神野。

 で、もう片方が僕が嫌いな生徒。金髪で身長190cmもある男で、さらに運動能力も学力も結構高い。

 渡部 泰治というその生徒は頭が悪いわけでもなく運動もでき、さらに顔も悪くないので昔はモテていたのだが、好きになった女子を僕のせいでどっちも持って行かれて…というか、片方が安井でもう片方が結城なんだけど、そのせいで僕に事あるごとに突っかかってくる。面倒だし、ネチネチとうざったいので僕は嫌いだ。

ついでに言うと、金髪なのはそのせいでちょっとやさぐれちゃったから。


 ついでに言えば、後に好きになった結城を神野がふったせいで、神野に対抗心を燃やしている。

 そのおかげで今も成績は結構優秀なままだったりする。


 僕は片手でボールを弄びながら5周を終える。

 ちょっと神野がこっちを見ているが気にしない。

 明らかに渡部が僕の方を見て、これでもかというくらいにドヤ顔をしているのも気にしない。



 「よし、じゃあ試合をするから4チームに分かれろっ」


 僕らは適当なチームに分かれた…



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