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3.非日常を探しましょう

 自転車をしばらく走らせた結果。

 1時間くらいかかって、やっと反応の根源を見つけたよ。

 いろんなところにギミックがあって、特定されずらいようになってて面倒かった。

 で、その見つけ場所はカフェ”i”っていう場所。

 見た目は普通のカフェなんだけど、場所が3丁目と4丁目の境のあたりで、人通りのそんなに多くない小道の端にあった。しかも、その道の入り口には隠蔽?的な感じの術式が設置されていた。

 まぁ、入ってみますかな。

 

 

 「当たってるかな〜?」


 僕がカフェの扉を開けると、チリリン…と扉についた鈴が心地よく鳴る。

 そして、店内に入ると中はテーブル席が5,6個にカウンター席が10人分くらい。落ち着いたクラシック音楽が流れている。そこに7,8人程度の成人の男女が居た。そして、その人たちからは強い魔力反応が感じられる。

 


 「…ビンゴ」


 僕は空いているカウンター席の真ん中あたりに座る。

 

 その瞬間、後ろの方…というか、すでに座っていた人たちから警戒されるのを感じる。

 僕何かしたのかな?



 「ご注文は?」


 そんなことを思って後ろを振り返っていると、カウンターの向こうから声をかけられた。

 向き直ってみれば、フォーマルなベストに身を包んでいる初老で渋いおじいちゃんが僕を見ている。



 「う〜ん…じゃあ、オススメで」

 「…誰からの紹介だ?」

 「ん?何が?」

 「…いや、なんでもない。オススメだな」

 「うん」


 おじいちゃんはそれだけ言ってコーヒーを入れ始めた。

 紹介ってなんだろう?やっぱり、普通には入れないようになってたりしたのかな?僕、その紹介とやらがないとできないようなことを言った?

 さっぱりわからん。

 …ま、いっか。もともと普通にはわからないような方法でここまで来たんだしね。


 僕はポケットから携帯を取り出し、出品した物たちの現在の値段を確認しようとインターネットブラウザーを開くが、



 「あれ?圏外だ」


 何回かつなぎ直すが、圏外でネットに繋がらない。

 なんでだろ?


 

 「あ、そっか」


 何回かつなぎ直しても繋がらないので、原因を探そうと思って携帯の電源を切ろうとしている途中で思い出した。

 …ここ、情報が流出したら困る可能性がある場所かもしれないんだった。そういった集会所だったら、外に譲歩が漏れるとまずいのは当たり前だよね。

 

 ちょっとキョロキョロと周囲を見渡しながら魔法的なものを確認すれば、案の定通信やらを妨害するような術式発見。

 仕方ないね。



 「…ブレンドコーヒーとモンブランだ。伝票はそこだ」

 「おお〜」


 そんな間におじぃちゃんはコーヒーを入れ終わり、僕に差し出す。

 コーヒーと黄色ではなく茶色いモンブラン。

 コーヒーのいい香りが漂ってくる。この店当たりかな?



 「じゃ、いただきます」


 僕は暖かいコーヒを一口。

 うむ。美味しい。

 次にモンブランをちょっと切り崩し食べる。

 こっちもなかなか美味しい。

 

 僕はちびちびとコーヒーとモンブランを楽しむ。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 で、結局1時間くらい。

 どんだけゆっくりしてんだって話だけど、まぁ気にはしない。

 僕は美味しいものはゆっくり楽しみたい派なんだ。

 それに、客の観察もしたかったしね。


 お客は僕以外全て強い魔力反応がある。

 この世界に魔力を貯められる人自体がそんなに多くないので驚きだ。

 ここに来るのはそれを使える可能性のある人だろうから、僕が知らなかっただけでこの世界にも魔法使いは結構普通にいたのだろう。

 ま、実際にそういったのもが見れると確証が得られて嬉しいんだけど、さすがに無理そうだし、今日は帰ろうかな。



 「お会計お願い〜」

 「1040円だ」

 「えっと…ああ、ちょうどあった」


 僕は1040円を手渡す。



 「確かに」

 「じゃ、また来るね〜」


 僕は周りに座ってる人たちから向けられている視線を無視して店を出る。

 興味というか、奇異なものを見るような目線だった。

 僕みたいに一般人が入ってくるのは珍しかったのだろうね。


 う〜ん。でもこれでやることなくなっちゃったんだよね。どうしようか?

 神野の家はもうとっくに開いているだろうし、そこでまだちょっと早いけどお昼にでもしようかな?もう10時過ぎだし。今日は朝ごはん食べてないし。

 まぁ、食事もこの体じゃ単なる嗜好品だし、食べなくっても問題ないから別にいいんだけど。

 まず第一に、この体をどんなにしっかり作り直してみても疲労感を作るのが限界だったからね。食欲とかはちょっとしか湧かない。眠気に至っては皆無だし。しょうがない。というか、緊張感とか焦りとかが消滅してたことに最近気がついたよ。


 とりあえず、神野の家に行ってみようかな。 


 僕は自転車を走らせる。

 大体6,7分程度で神野の家までは行けるだろう。


 数回道を曲がり、定食屋の看板が見える。

 そして、僕はそのままその道を通り過ぎて家への帰路につく。

 

 僕を尾けてる奴がいる。


 僕がいる3,40mくらい後ろを乗用車が追いかけてきている。

 さっきからナンバーを確認しても同じだったから、同じ車種の別のものではないので尾けられているで正解だろう。

 大方、結界的なものの欠損か僕が魔法とかが使えるのかを確かめに来たのだろう。

 こういうのは放置するのが一番だ。今日は家に篭ることにしよう。










 僕はアパートの駐輪場に自転車を止め、家に入って鍵を閉める。

 その後部屋着に着替えた。


 

 「さてと。じゃあ、とりあえずお昼飯でも作ろうかな」


 やることは特にはないし、何かを作ろうにもどっかしらの過程に魔法の行使が必要なのでできない。

 僕は冷蔵庫を開け、本当は朝食用に解凍してあった鶏肉を取り出し、野菜室から幾つかの野菜を取り出してお昼ご飯を作る。

 今日はオムライスにでもしよう。

 鶏肉を軽く塩胡椒で味付けをしてからケチャップで炒め、そこにご飯を加えてケチャップライス作る。

 一度、フライパンから出して、フライパンに油を引いて溶き卵を流し入れ、そこにさっき取り出したケチャップライスを入れて包む。それを皿に乗せる。

 はい、完成。オムライスって結構簡単に作れていいと思う。

 

 僕はフライパンと使ったフライ返しを少し洗剤を入れてシンクに置き、スプーンを持ってテーブルに行く。



 「いただきます」


 まだ11時過ぎと、少し早い昼食にする。


 夕飯何にしようかな…ああ、その前に冷蔵庫の中身がもうそんなに残ってないから買いに行かないとだな。

 とりあえず、魚が残ってるからそれでいいかな。あとは適当に野菜炒めとお味噌汁でも作っておけばいいでしょ。そのまま残りを明日の朝ごはんにすればいいし。


 そんなことを思いつつ僕は昼食をとる。




 昼食を食べ終わり、食器を洗う。



 「さて、このあとはどうしようかな」


 食器を洗い終えると、暇になった。

 まぁ、向こうの世界にいた時も管理空間に篭ってからはしょっちゅう暇してたけど、それでも向こうでは自由に魔法系等の開発も出来たし、テラとかと遊んだりして時間が潰せた。

 残念ながらこっちでは出来ないんだよね。本当にどうしようか。


 

 「まぁ、ボーッとしてればいつの間にか時間は過ぎるし、寝転がってよ〜」


 僕はリビングに置いてあるソファーに寝転がり、TVをつけてニュースを眺めることにした。

 向こうでは数百年以上世界情勢を眺めていたんだし、数時間程度の時間はすぐに過ぎる。それを実感すると僕が人間やめてるのを顕著に感じるよ。

 ま、僕は人間嫌いだしむしろ良かったと思うけどね。


 僕はそんなことを思いつつTVを眺める。

 『…次のニュースです。本日未明栃木県にお住いの…………また、犯人は未だ逃走中とのことです。…現在の株価は………今日のゲストは……』

 

 …どこの局を眺めてもイマイチ面白くない。


 神野はクラスのヲタクで通ってる小鳥遊 辰哉にアニメとかを勧められて、去年の1学期頃からラノベとかアニメとかにハマってる。

 でも、僕はそういうのが嫌いなわけではないけどそこまでってほどでもない。それに、クラスで芸能人の誰々が面白いだとか言ってるようなことも興味ないし。女優だとかが好きなわけでもない。


 まぁ、要するにTV自体があまり好きじゃない…というか、見る意味がないのだ。一応、クラスとかの会話に乗るために情報収集という意味でTVは見るけど、それ以外じゃほとんど見ない方だし。

 昔はよく見てたけど、今は天気予報程度しか見なくなったね。

 

 僕はTVに飽きた。

 しょうがないでしょ。つまらないんだもの。

 向こうの情勢は結構面白かったのに、こっちの世界のは随分と退屈だね。


 僕はそのままソファーに寝転び、ただ時間を浪費する。

 向こうの世界でも時折やってたことだ。

 新しい魔法の原型を考えてみたり、装備のデザインを考えてみたり、次に世界に呼ばれる時の計画を立ててみたり、”眷属の箱庭”の拡張予定をどうするか考案したり…それ以外にも様々なことを考える。

 今現在の僕の脳…というか思考回路では、一度に何億何兆もの思考ができる。それを全く使わず、一つの思考だけで考え事をするのは、結構時間が潰せる。なにせ本来なら一瞬で終わることに無駄な時間を浪費してるのだからね。

 まぁ、この体になって時間の感覚がちょっとずれているし、浪費とは感じないけど。



 そんなことをしつつ時間を潰す。

 外では未だに同じ車が探知に引っかかる。

 2時間、3時間、4時間と待ってみるが、未だにいる。こっちからアプローチでもしてあげようかな?そろそろめんどくさくなってきたよ。あれのせいで僕の時間が無駄になっているのは事実なんだし。

 

 …やめておこう。それで余計に時間を食うのはめんどくさい。

 クッキー食べたいな。丁度3時でおやつの時間だし、作ろうかな。



 「うん、そうしよう。確か、薄力粉はお菓子を作ろうと思って買ったのが大量に残ってるはずだし、砂糖とかも…あ、卵がない」


 さっきのオムライスで最後だったんだ。買いに行かないと。

 一番近いのはコンビニだな。よし、行こう。


 僕は部屋着をまた着替え直し、財布を持って外に出る。

 このアパートから2,3分程度歩いたところにはコンビニがあるのだ。結構近くて便利なので重宝している。

 







 「さて、これで材料は揃ったし、作るとしようかな」


 僕はキッチンにボールや型やヘラなどを準備した。


 ボールにバターを100gほど出し、クリーム状になるまで練り、そこに砂糖90gを何度かに分けて加える。

 それが終わったら卵半分を少しずつ入れて、しっかりと混ぜる。

 さらに薄力粉180gを振るって加え、さっくりと混ぜていく…

 混ざったら、それを伸ばしてラップに包んで冷蔵庫へ。


 はい、生地作るの終了〜。

 クッキーって結構簡単にできるところがいいと思う。

 あとはこれを7,8分程度冷やして、型を取って焼けば終了。


 今のうちにトレーにクッキングシートを敷いておこう。あとはオーブンを170℃に予熱して…


  

 「さて、そろそろ冷えたかな」


 僕は冷蔵庫から生地を取り出し、型を取る。

 5,60枚ほど取ったあと、トレーに乗せて予熱の終わったオーブンに入れる。量が多くて2段じゃないと入らなかったよ。

 12分ほどオーブンで焼いて完成。


 焼いている間にボールやヘラとかを洗う。



 少ししてピーピーと、オーブンが鳴った。

 僕は火傷しないよう注意しながらトレーを取り出し、クッキーをオーブンから出した。

 結局、出来上がったのは4時過ぎ。おやつの時間はどこへ行ったのやらだが、僕にとって時間という概念はそんなに強い意味を持たないので気にしない。

 少し冷めるのを待ち、20枚ほど皿に出して残りをタッパーにしまう。

 トレーをシンクに入れて水を張って冷まして軽く洗い、拭いてから元あった場所にしまう。

 朝のうちに淹れたコーヒーをカップに淹れて、クッキの乗った皿と一緒にリビングに向かう。



 「さて、幾つか小説でも持ってくるかな」


 僕は洋室からまだ読んでいない小説を持ってきて、椅子に腰掛ける。


 僕はこんな時間が一番好きかもしれない。

 甘い物を食べながらコーヒーを飲み、趣味に耽る。

 実に悪くない。


 僕は外の車の探知を続けながら、ゆっくりと休むことにした。


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