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2.日常を謳歌しましょう

 「あ、もう朝か」


 本を読み、しばらくして夕食を作り、夕食を食べて風呂に入り、次の日の弁当と朝食を準備して本を読み続けていた結果。

 …朝だ。

 相変わらず、どう頑張っても寝られない。ま、別にいいけどね。


 

 「とりあえず朝ごはん食べよう」


 僕は影人(シャードーマン)をそのままにしてキッチンに向かい、冷蔵庫から作っておいたおかずを取り出し、卵を焼き、フランスパンを焼く。

 そして、それらをやっているうちに弁当を準備してバッグにしまう。



 「いただきます」


 僕はフランスパンにマーガリンを塗り、目玉焼きを食べ、レタスとトマトのサラダを食べる。


 ふむ。向こうの世界で食べたのは色々手の込んだものが多かったが、こうやって食べるのも悪くはない。

 僕はそんなことを思いつつ、朝食を平らげる。


 

 「ご馳走さまでした…っと。片そう」


 僕は皿を洗い、洗った皿を拭いて食器棚に戻す。

 現在は5時半。ちょうどいい時間だ。

 僕は冷凍庫から肉を取り出して、冷蔵庫に移す。



 「よし、行くかな」


 僕は服を着替え、動きやすいジャージに着替える。

 そして、外に出る。


 まぁ、想像できるだろう。ジョギングだ。

 僕は朝からいつも運動をしていた。オービスではどうせ1日のうちに何かしらの運動をしていたので、そこまでやっていなかったが、こっちの世界では運動しない日の方が多くなるだろう。

 まぁ、この体自体は衰えることがないからやらなくてもいいのだが、暇つぶしのようなものだ。時間が余ってたらやることにしよう。


 僕は近くの公園を目指して走り出す。







 公園まで走った後、公園を5kmほど走ってそのまま四丁目の廃工場に行く。

 廃工場は不良がずっとたむろしていたせいで人が寄り付かず、僕のアパートも同じく4丁目にあるのでここで朝から運動をしていた。


 廃工場に着くと、工場内の倉庫だった部分にしまってある木刀に重りをつけたものを取り出し、それを僕が自分で動かしやすいように考えた動きをもとに振るう。

 それが終わったら、天井に吊るしてある棒に捕まり懸垂、さらに足でぶら下がった状態で腹筋をこなす。

 ここまでやりきって6時半。時間どうりだ。

 次に空手の型を幾つか、柔道の受け身、その他にも合気道、キックボクシング、システマ…他いろいろな武術の動きをこなす。


 

 「さてと。帰るかな〜」


 一通りの軽い運動を終え、僕は家に戻る。

 現在は7時。学校に行くために家を出るのは8時なので、ゆっくりと家まで歩く。






 「ただいま」


 僕は家に帰ると、運動に使っていた服を脱いで洗濯機に入れ、シャワーを浴びる。そして、洗濯機を動かし、髪を乾かして後頭部あたりで軽く結う。

 

 和室に行き、携帯を確認すると学校から休校の知らせが来ていたので今日は休みのようだ。

 


 「さてと。今日は何をして過ごそうか?…あ、とりあえず自転車を取りに行こう」


 僕は洋室に入り、全ての本を読みきった影人(シャドーマン)を消すと、私服に着替え直す。

 白いTシャツの上に黒のシャツを羽織り、黒のスキニーパンツを履く。靴下を履いて、カーキの靴を履いて外に出た。胸元に息吹がネックレスの状態でかかっているのはそのままだ。


 

 帰り道を逆走するのではつまらないので、いつもとはちょっと違う道を進む。

 途中にあるカフェを横を曲がり、住宅街の大きい通りを曲がり、学校へ向かう。


 



 「…着いたはいいけど、どうやって入ろうかな?」


 学校についてから気がついた。

 調査とかで入れないなら、今僕が入るのって無理じゃないだろうか?



 「ええい。ままよ」


 僕はおとなしく校門へ行き、普通に門を通り過ぎる。

 …うん。大丈夫だったね。


 学校の裏の駐輪場へ向かい、自転車を回収する。

 鍵自体はなくしてなかったので”アイテムルーム”から取り出し、自転車に乗って学校を出た。



 「う〜ん。この後どうしようかな?」


 やることがない。実際、向こうの世界にもう一度呼ばれるまではこの世界で生活しないといけないので、何かしらの暇をつぶせるものがあるといいなとは思うのだが、いまいち思いつかない。


 ボーッとそんなことを考えながら自転車に乗っていて思い出した。



 「手芸でもやろう。ネックレスとか作ってインターネット販売でもすればおこずかいが稼げるし」


 向こうの世界で思いついたことをやってみようと思う。

 そうと決まれば、材料をかき集めに行こう。ネックレス用のチェーンとか革紐とかは余っているけど、チャーム部分の材料がない。鋳造とかで作れば簡単にできるから、それでやってみよう。

 とりあえず、鋳造用の石膏と元の型を作るための蜜蝋に鉄とか銅でやればいいよね。鋳造は物理の工学系の勉強のために簡易型の物があるからそれを使えばいいし。


 とりあえず、廃工場に鉄とかはあったはずだからそれを使うとして、蜜蝋を買ってこよう。後彫刻用の準備もしないと。


 ああ、忙しい忙しい。



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 「よし。じゃあ始めようかな」


 僕は幾つかの型を蜜蝋で作った後、廃工場に来ていた。ちなみに今は午後の6時半。彫刻に時間がものすごくかかってしまった。

 でも、廃工場内にあった金属を大量に集めてきて、魔法でちょっと種類ごとに分離させて、鉄とかの準備はできている。

 後はこれを鋳型…ああ、鋳造をするときに使う型のことね。それに流し込めば一応できる。



 「『加熱(ヒート)』」


 僕は鋳型に高熱で溶かした金属を合計18個の鋳型全てに流し込む。



 「『時間加速(タイムアクセラレータ)』」


 さらに待つのが面倒なので、その鋳型のみの時間を進めて金属を冷やす。

 そして、僕は鋳型を慎重に壊し、中から鋳物…つまり完成品を取り出していく。

 取り出した鋳物を水で洗って綺麗にし、それを麻袋に入れて、工場の片付けをして家に帰る。









 「ただいま」


 僕は家に入ると、麻袋に入れていた鋳物を取り出して水で軽く洗い、リビングのテーブルに布を敷いてその上に置く。

 ブレスレットとかネックレスとかにするチャーム部分以外に、メタルビーズなんかも作ってみたので夕食を食べ終わったら綺麗に磨いて、革紐やネックレスチェーンにするとしよう。

 これで今日の夜中の暇つぶしができる。


 

 「さて、まずは夕食にしよう」 


 僕は朝のうちに準備していた弁当を夕飯にする。

 昼食はコンビニのおにぎりにしたので、そのまま残ってしまったのだ。



 「いただきます」


 僕は弁当を温めて夕食にする。

 まぁ、普通に美味しいと言っておこう。



 



 「ごちそうさまでした」


 僕は弁当を食べ、弁当箱を洗う。

 弁当箱を洗い終えると、弁当箱を所定の位置にしまい、携帯のメールを確認。



 「ああ、明後日まで学校休みになったんだ」


 朝の時点では今日は休校となっていたが、どうやら明後日まで休みになったようだ。

 なんでも昨日のやつは、機械の故障による誤作動であり、現在原因究明とそれに加えて他の場所の機械系とかも一緒に検査中だそうだ。


 僕はメールを確認すると、着替えて風呂に入る。


 体を元に戻し、髪と体と顔を洗い、浴槽に浸かる。


 しばらく湯に浸かった後、風呂から出て体を拭いて体を男の状態に戻し、着替えて髪を軽く結い直す。

 さて、これで今日やることはもうなくなった。暇つぶしに移行しようか。



 僕は乾かしていた鋳物を持って洋室に行く。


 洋室の折りたたみ式の机に革紐、ネックレスチェーンと留め具を用意し、ハサミやカッターや接着剤なんかも準備する。

 机の下には新聞紙を敷き、紙やすりや棒ヤスリや研磨剤や筆などの物を綺麗にする物を準備する。



 「さて、やるかな〜」


 僕は作った物を綺麗に磨く。

 今回作った物は、チャームを10種類と4種類のメタルビーズだ。

 チャームは、薔薇が絡み合ってハート形になっていて中が一部空洞になってるようなかなり手の込んだ物。十字架にかなり精巧に作った西洋ではなく日本などの龍が絡みついている物。かなりしっかりとデザインを考えて作ったチェスをイメージした王冠。ラッパを吹いている天使をデフォルメした物。チータとかライオンとかネコ科の動物の頭蓋骨。細かに一枚一枚羽を刻んだ翼…他にも色々とね。

 ビーズは爪っぽい物、尖ったひし形が絡んだ物、骸骨、細長い筒に彫刻した物。


 ま、そんなところだ。


 それらを綺麗に磨いていく。

 刷毛とかで細かいところまで綺麗に仕上げていく。

 最後は研磨剤で磨き、それを乾いた布で綺麗に拭きとる。


 そんな単純な作業なんだけど、意外に時間が掛かる。

 これ、全部の工程をやるのに6時間ぐらいかかるだろうから、夜中やったら1,2つ作るので精一杯かな。

 あ、授業中にデザインと蜜蝋の彫刻でもやればいっか。

 それなら7,8個は行けそう。

 これで暇な時の時間潰しができる。



 「ふぅ〜」


 そんなことを思いつつ、綺麗にしていくこと4時間半。やっと全部磨き終わった。次はそのチャームに合わせてネックレスチェーンつけるやつ以外の革紐を編まないと。

 でも、おかげでもう朝の3時半。いい感じに時間が潰せそうだ。普通に手作り工房とか言って売れそう。というか、ネットオークションで売るつもりだけどね。あれ結構便利なのだ。商品を出品して、手数料とか向こう持ちで郵送して、お金が入ってくるのを待つだけ。実に便利だ。

 

 

 「何色にしようかな〜。これは黒、それはチェーンでいいから…黒3つと白1つ、ダークブラウン2つか。まぁまぁ時間かかりそうかな」


 僕は留め具に固定しながら革紐を編む。

 これ、慣れないうちは結構時間がかかったんだけど、慣れれば結構な速度でできる。

 結局は全部で3時間ぐらいで編み終わった。



 「さて、じゃ出品しましょうか」


 僕はネックレスとかにして写真を撮って、それを出品した。

 とりあえず、3000円ぐらいで買い手がつけばいいかな〜。ノーブランドだし、そのくらいが適正でしょ?



 とまぁ、出品が終わったところでやることがなくなった。

 物は1つ1つ小箱にしまっておいたので、とりあえず片付けをしようか。


 ヤスリとかを所定の場所に戻すだけなので、そんな時間を食わない。

 結局7時くらいになって全部が終わった。

 あと2日も学校がないんだけど、何して過ごそうか?

 運動するのは気分じゃないし、読書とかする気でもない。

 う〜ぬ…あ。そうだ、神野のとこにでも行こう。



 「とりあえず格好はどうにかしたほうがいいよね」


 さすがに、スラックスとジャージで外に出るのはダメだと思うのだ。

 僕は適当なパーカーとシャツ、カーゴパンツに着替えて外へ出る。

 自転車置き場に置いてある自転車に乗り、適当な道を通りながら神野の家に向かう。神野の家は7時半から営業開始なので、多分もう起きているはずだ。


  




 僕は4,5分ほど自転車をこぎ、神野の家に来ていた。

 だが、神野の両親は準備で忙しそうだし、神野の部屋を見てみるとカーテンが閉まっているのでまだ寝ているっぽい。



 「さて、どうしよっかな」


 神野を叩き起こしてもいいのだが、それをやるには両親に迷惑がかかりそうだし、第一に神野の両親は色々と忙しくて相手してる暇がなさそうだし。迂闊だったよ。そうだよね、仕事やってるんだもん。忙しいに決まっている。

 となれば、別のことでもするとしよう。

 


 「う〜ん。何しようかな…」


 とは言っても別のやることなんてないのだ。

 昨日の続きをやってもいいのだが、2日連続では飽きる。 

 本当にどうしようかな?

 

 

 「あ、この辺の散策でもしようかな?」


 昨日、材料とかを買いに行く途中にちょっと気になったのだが、明らかに魔力の反応が濃い場所があるのだ。生徒会長のように魔法的な何かを使える人がほかにもいるのだろうか?

 少なくとも、結城もそれを知っているような雰囲気だったし、何かしらあるのは間違いない。

 …よし、ちょっと探ってみよう。そういった人がほかにも多数いるなら、その人たちが集まるような場所もあるだろうし。



 「とりあえず、反応が濃くて人除け的なものが貼ってあるような場所を探せばいいよね」


 そういった集まる場所を用意するなら、人除けぐらいあってもおかしくないだろう。なにせ一般人に知られるのはまずい可能性が高いものだろうし。

 そうと決まれば探しに行こう。

 僕は自転車を走らせる…

 

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