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103.転生させました《その2》

 「じゃあ、転生条件を決めていこう〜」


 僕は椅子を作りだしてそこに座り、ガリュさんも座らせる。

 さっき立ったまま考えてたせいで、ちょっと足が疲れた気がする。まぁ、疲れること自体はないので気がするだけだけどね。



 「お、おう。それは何を決めればいいのだ?」

 「性別、種族、外見、ステータス、職業、スキル、誕生時の家庭、まぁそのくらい」

 「そうか。なら、男の鬼族がいい」

 「え?巨人族じゃなくて?」

 「ああ、この体はいささか動きづらいのだ。城壁の入り口を入るのに、いちいち屈まなければ入れないからな。鬼族なら、巨人族と同じくらいには力があり、俺の動きができるはずだ」

 「ふ〜ん。じゃあ、次外見。どんなのがいい?」


  ガリュさんは簡単に決まりそうだね。

 


 「赤髪の額に角があるのがいい。鋭いやつ。顔はそれに合わせてくれればそれで構わない」

 「りょうか〜い。じゃ、ステータスだ。筋力とかのやつね」

 「…ところで、その筋力とかはどこに反映されるのだ?俺は体力が高かったが、スタミナがあったわけではなかったぞ?どういうことなのだ?」

 「ああ〜…めずらしくそれに気づく人がいたよ。さすがガリュさん!目のつけどことが違うね〜」

 「いや、そうではなく。説明をしてくれないか?」

 「ほ〜い。じゃあ、1つずついこうか。まずは筋力。これはまんま肉体の出せる力のこと。これが高いほど重い物が持てたり、勢いよく剣が振れたりするね〜」

 「つまり、筋肉の強さってことでいいのか?」

 「そうだね〜。で次は体力ね、これは肉体の耐久値だよ。これが高いほど、無理な動きとかをしても体を壊しにくくなる。あと、病気とかにもかかりにくくなるね〜」

 「じゃあ、これは体の強さか?」

 「そ、で次に耐性は、魔力に対する抵抗力。これが高いほど、一度に多くの魔力が使える。魔法使いとかは、魔力をよく使うから高くなりやすい傾向にあるよ〜」

 「へぇ…なら、魔力を使わないと上がりにくいのか?」

 「そうだね〜。次は、敏捷。これは神経伝達速度の値。これが高いと、瞬発力が高くなる。いざという時とかにあると便利だね〜。あと、いきなり動こうとするときにも使う」

 「これが高いと足が速くなったりとかするのではないのか?」

 「違うよ〜。確かに、神経の伝達速度が上がれば足を速く動かせるけど、その辺は筋力の方が関係するね」

 「ほう。そうだったのか。確かに、俺はそれほど敏捷が高くなかったが、足は早い方だったしな」

 「で、魔力はそのまま。体内に一度に溜めておける魔力量の最大値。大体5くらいでファイアとかが使えるね」


 ちなみに、広範囲魔法で4,50程度だ。高くても60を超える魔法は勇者召還以外に存在していない。勇者召還は魔力を魔石に溜めて、それを一度に空間魔法に適性のある人が使って行う。



 「ふむ。俺は60位だったが、魔法を長く使えた気がするのはそういうことか」

 「どういうこと?」

 「いや、消費量が少ない魔法ばかりだったのだなと思ってな」

 「ふ〜ん。で、知力が脳内処理可能容量。これが高いと演算能力が上がって、一度に多くのことが考えたりできるようになるね。魔法使いは高いと便利だよ。ま、これは個人によって限界があるからなんとも言えないけど」

 「そうか。ところで、俺と同じくらいの筋力の獣人に会ったことがあるのだが、俺より力がなかったのはなぜだ?」

 「ああ、それって実は隠しステータス的な物でね。種族によって、値が同じでも実際の能力は違うんだ。例えば、人間族を使って考えるけど。筋力が1の人間族と巨人族がいたら、巨人族は単純に人間族の約2倍程度の力がある。他にも、体力が高いのは獣人族、耐性はエルフ、敏捷は亜人系の種族系が総じて高いし、魔力は言わずともエルフ、知力はこれ意外に人間族が高いんだ。ま、エルフが魔法系で強くなりやすいのはこれが原因だね」


 隠しステータス的な物は他にも幾つかある。

 例えばスキル。普通は見えないけど熟練度的な物が存在し、その熟練度によってスキルの効果が高まる。

 他にも称号。これは世界がある一定の行動を行うと付与する、いわゆるギフトのような物で、結構高い地力がないとわからないのだがステータスとかに補正がある。



 「そうか。なら、どれも一番低い種族で、最も高い種族に追いつくことができるくらいのものにしてくれ。いや、初めからとは言わん。訓練次第で構わない」

 「ふ〜ん。じゃ、適当に振っとくね」

 「わかった。あとは、スキルだな。俺がもともと持っているスキルはどうなるのだ?」

 「そのまま引き継ぐよ〜。ああ、あと身体制御と鑑定が固定。他は自由にどうぞ〜」

 「その身体制御とはなんだ?」 

 「ステータス値に関係なく、自分の思った程度のステータスで動けるようになるスキル。ま、限界はその時点のステータスに依存だけどね」

 「ふむ…ならば、武器を生み出すスキルはあるか?」

 「ん?どうして?」

 「自分の武器をいざという時に持っていなかったら困るだろう?」


 う〜ん。僕は素手で戦えるからね〜。



 「ま、いいや。でも、それ異空間倉庫でいいと思うよ?いろんな持ち物をほぼ好きなだけ運べるスキル」

 「いや、それもあった方がありがたいが。それは自分の持っている武器しか使えないのだろう?それなら自分で自分の使いたい武器を作った方が便利だ」

 「あ、そうだね。確かに異空間倉庫は自分が持ってる物以外は存在しないし、そういうスキルなら自分の訓練次第で好きな武器を作れるようになるしね」

 「ああ、ということなのだが。あるか?」

 「ないけど作ってあげる〜。名前は…武器創造でいっか」

 「それでいい。あと他にあったほうがいいスキルはあるか?」

 「戦士系をやるつもりなら、感覚強化系かな。それがあると、武器を振る感覚とかを自分で制御できるようになるし。ま、痛みとかを感じやすくなっちゃうけど、慣れれば調整できるしね」

 「ならそれを頼む。他にはあるか?」

 「魔法って使うつもりはある?」

 「二十分にある。俺はもともと研究所の出だぞ?」


 あ、そうだったね。

 


 「なら、魔力操作系と同時に使うなら思考強化系とかかな」

 「それもつけてくれ。あと、肉体の治癒力を上げるものはあるか?今のように簡単には死なないようにな」

 「それは再生でいいかな。あと、ステータスを隠すための隠蔽。他にいるのある?」

 「訓練の分だけステータスが上がるようにするのは?」

 「もともとつけるつもり。他〜」

 「ならそれでいい。あとは何だ?」

 「えっと…職業抜かしてたね。職業は何がいい?」

 「職業で変わるのもはなんだ?」

 「ステータス上昇値なんだけど、ガリュさんは訓練次第で変わるから関係なし。あとは取得可能スキルの違い」

 「例えばなんだ?」

 「魔物使いとか調教師じゃないと魔物の使役系が取れなかったりとか、聖とつかない職業だと聖剣術が取れないとか?まだ他にもいろいろあるね」

 「ならば、魔物使いがいい」

 「お、僕と一緒だ〜」

 「俺は結構魔物が好きなんだ。龍を連れているのを見ると少し憧れる」

 「ふ〜ん。じゃあ、スキルに眷属化と眷属技能追加を追加しとくね〜。眷属技能追加でできるのは体の大きさを縮める奴だけだけど、あると便利だしね」

 「そうか。次は属性だったな」

 「そうだね〜。何がいい?ない属性も作り出してあげるよ〜?」

 「なら、幻覚を見せるのは可能か?」

 「簡単にできるよ〜。ま、一応光属性にもあるけど、専用の固有属性を作ってあげるよ。他には?」


 固有魔法を作るくらいなら簡単だろう。魔力にちょっと手を加えればいいだけだしね。



 「なら、水と治癒を。俺がもともと持っていた属性なんでな」

 「了解〜。で、次だね」

 「あとは家庭か?」

 「そうだね〜」

 「ならば、あまり人気のない場所がいい。さらに言うなら、師匠となる人がいるとありがたい」

 「ふ〜ん。じゃ、こんな感じだね」


 僕はステータスと追記を書き出して、ガリュさんに渡す。


 こんな感じだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 名前:ガリュさん

 種族:鬼族

 性別:男

 年齢:ー

 称号:転生者 神のお気に入り 天を志す者

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 職業:魔物使い レベル:1

 筋力:50

 体力:50

 耐性:50

 敏捷:50

 魔力:50

 知力:50

 属性:幻影 水 治癒

 スキル:思考異常強化 身体制御 魔力支配

 感覚強化 武器創造 異空間倉庫 再生 

 鑑定 隠蔽 眷属化 眷属技能追加 斧術

 威嚇 指揮

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 追記:鋭い角を持つ、赤髪。顔はそれに合わせて調整 家庭は森の中 母父ともに実力者  


 

 「こんな感じかな。ステータスは初めは全部50にしたけど、鍛えれば鍛えるほど限界なく伸びてくから。あとレベルアップで1.2倍になるようにしたよ」

 「そうか。ところで、それのスキルが見当たらないのだが?」

 「ああ、称号にしてみたよ。”天を目指す者”ってことで、訓練次第でどこまでもステータスが伸びて、魔力とかは使えば使うほど上がるよ。あと、おまけに寿命が延びちゃったけど別にいいよね?」

 「構わないが、どのくらいになったのだ?」

 「もともと、この世界だとレベルが上がると寿命が伸びるんだけど。ガリュさんは1000年くらいかな?頑張ればもっと伸びるよ」


 ついでに、レベルが200を超えたら、神魂ではなく鬼神という種族になるようにしておいた。なんか格好良くない?



 「そうか。ところで、スキルの使い方とかはどうすればいいのだ?」

 「ああ、異空間倉庫の中に放り込んどくよ〜。異空間倉庫は、別の空間をイメージして手を前に出すと繋がるから」

 「わかった。じゃあ、あとは転生するだけだな」

 「うん。じゃあ、いくよ〜。『転生先指定。魂安定。技能能力値定着。輸送開始』…じゃ、いってらっしゃ〜い。もしかしたら、そのうち会うかもしれないけど、その時はよろしくね〜」

 「あ、ああ。わかった。ありがとう」

 「じゃ、いい人生をね〜」


 ガリュさんの意識をまだ生まれる前の魂を持ったばかりの子供に植え付ける。そして、他の情報を書き込んで、転生完了。確か、鬼族は生まれるまでの期間が僕の板世界でいうところの1年半くらいだから、しばらくは母親の胎内で魔力の制御でもやって暇でも潰すといい。



 「さてと。じゃ、宿に帰るかな〜」


 僕は”扉”を作り、宿に帰る。

 今は、この空間を作るのに2時間半、騎士さんの転生に1時間半、ガリュさんの転生に3時間。ということで、夜中の1時だ。

 ガリュさんのスキルと固有属性を作るのに結構時間がかかり、転生先になる場所を探すのにもっと時間がかかった。



 「ふぅ…」


 僕は、一息ついてベットに座ると、コンコンとドアのノックする音がする。

 さすがにうるさいドワーフじゃないだろうし、ルディかな?



 『エク。起きてるか?』

 「あ、うん。やっぱりルディだ。入っていいよ〜」



 ルディがドアを開けて入ろうとしたが、南京錠のせいでドアが開かない。


 「…これなんだ?」

 「いやぁ〜。ここのセキュリティーがあまかったからつけてみたんだ〜」

 「そうか。じゃあ外してくれ。入れねぇ」

 「あ、ちょっと待って〜」


 僕は南京錠を取り外す。


 すると、ドアが開いてルディと…

 


 「こいつがお前の部屋の前で泣いてたんだが、何かしたのか?」

 「なんで連れて来ちゃうのかなぁ〜…」


 うるさいドワーフが入ってきた。

 僕の言葉にルディがちょっと申し訳なさそうにする。



 「ああ、連れて来ちゃダメだったのか?悪りぃ」

 「いや、いいよ。で、なんで僕の部屋の前にいつまでもいるのさ?」

 「いえ、だってうちを弟子にしてくれないから…」

 「なんでそんなに弟子になりたいの?理由もないのにするわけないでしょ」

 「うぅ…」


 うるさいドワーフはまた泣き出しそうな顔をする。

 面倒臭いなぁ…



 「あ、また泣いたらこの街の外に転送するよ?」

 「はい…」

 「で、なんでこいつは泣いてたんだ?」

 「知らな〜い。僕の弟子にしてくれってうるさいから断ったら泣いた」

 「へぇ…で、それ以外になんかしたのか?」

 「いやぁ〜。何にも」

 「はぁ…?じゃあなんで泣いてんだ?そんなに悔しかったのか?」

 「え、ええと…その…うち」


 うるさいドワーフは、口ごもってしまった。

 さて、どうしたもんだろうね?

 僕は面倒だし外に放り出したいんだけど、ルディがさせてくれなさそうだし。ルディって時折優しいんだよね。

 


 「面倒臭いなぁ…答えてくれないと放り出すよ?」

 「いや、とりあえずで放り出そうとすんなよ」

 「ほら、は〜や〜く〜。僕は気が長い方じゃないんだよ〜?」

 「いや、何時間も研究を続けるやつが言う言葉じゃねぇよ」

 「そう?」

 「そうだろ。で、なんでなんだ?」

 

 僕とルディはうるさいドワーフを見つめる。



 「うち…逃亡奴隷なんです。ここに来るまでに盗賊に捕まって、違法商人に売られそうになって、どうにか逃げてきたんです」

 「ふ〜ん。首輪は?」

 「付けられる前に逃げました。うちがここに逃げてきて、ギルドで助けを求めようと思ったけど…ギルドじゃ対処してくれなくて…」

 「んで、エクに弟子入りすれば、守ってもらえるかもってか?」

 「…はい。ごめんなさい」

 「はぁ…で、その商人はこっちに来てるの?」

 「多分、魔族大陸に向かうので、奴隷が高く売れると言っていたので」

 「見つかったら、捕まると?」

 「はい…ギルドカードとか全部持ってかれてしまいましたから」

 「その槌はなんで持ってんだ?武器も持ってかれたんだろ?」

 「これは、ここに来てから買ったものです。どうにかお金を稼いで、自分の身を守れるものを持とうと思って…」


 はぁ…ずいぶん、面倒臭そうなものが来ちゃったもんだね。

 放り出すのはやめてあげよう。僕は誘拐とかは好きじゃないんだ。

 あ、僕がやるのは気にしないけどね?



 「しかたないね。その商人ってどんなやつ?それってつまり盗賊と取引してる違法商人でしょ?告発して捕まえてあげるよ」

 「…え?」

 「聞こえなかった?特徴を言いなっていってるの。目障りなゴミを僕が片付けてきてあげる」

 「え、はい。え?片付ける?」

 「と、に、か、く。特徴を言いなさいな!」

 「はいぃ!特徴は太ってて、ハゲの青い髪の男です!」

 「そんなのいっぱいいるだろ…」

 「じゃ、それを探そうか?ルディ。入れたのは君なんだから手伝ってね?」

 「え?まじで?」

 「まじでだよ〜。じゃ、行こうか?」

 「え、今から行くんですか?休んだりとかは?」

 「する必要ないし。ほら、ルディ〜」

 「はいはい。わかったよ」


 僕は嫌がるルディを連れて、外に出かけた…

 

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