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91.大会が終わりました

 僕は今、会場の途中で、



 「おっちゃん、串焼き2つ〜」

 「おう、って、久しぶりだな!お前も大会か?」


 串焼き屋のおっちゃんに会った。どうやら、大会のために色んなところの屋台が来ているようで、たまたまおっちゃんを見つけたのだ。



 「そうだよ〜」

 「おおっ。出場か!もう負けちまったか?」

 「いや〜。3位決定戦終わり待ちだよ〜」

 「マジで⁉︎…って、そういえばお前、よく”悪霊”って呼ばれてたな」

 「ははは〜。で、いくら?」

 「おう、いつもと同じだ」

 「じゃあ、はい」


 僕はいつもと同じ金額を払った。


 

 「4Bちょうどだな。はいよ。じゃあ頑張れよ!」

 「うん、じゃね〜」


 僕は串焼きを咥えながら、会場へ向かう…









 「さてと。じゃあそろそろかな…」


 幾らかの屋台を回って、会場に戻ってきた。ついでに、仮面とかは歩いている途中に1回見えなくなってからつけてきた。

 そして、そろそろ3位決定戦が終わる頃だと思うので、僕は入口へと向かう。


 入口は、待機場所のあるところからそれほど離れていない場所にあり、来賓席から見えやすいように、反対側の西門の方にある。



 僕は南の待機場所から、西門の方へと歩いていく。

 この会場内の道は、基本的に全体が岩石でできているために石を敷き詰めたものになっている。ここは岩を削って作ったのではなく、地魔法で作ったらしい。おかげで、中世…つまり日本でいうところの江戸時代だった頃の程度の世界なのに、かなり綺麗である。

 …一体、何人の魔導士が集まって作ったのだろうか?



 そんなことを考えながら、僕は通路を歩いていく…





 「ああ、来たか…新ちゃん」

 「うん」


 入場口では既に神野が待っていた。

 神野は、赤いマントのついた白銀に輝く鎧を身につけ、異様に大きい大剣を背中に括り付け、いかにも勇者って感じに立っていた。



 「ええ、お二方揃いました。こちらは準備できました」


 毎回やっている役員の報告が終わった。



 「ちゃんと勇者みたいだね〜。神野くん」

 「見たいじゃなくって、勇者なんだよ」

 「ははは〜。そうだね」


 僕がふざけていると、神野は突然真面目な顔になった。



 「…なぁ、新ちゃん。なんで一緒に来ないんだ?」

 「ん?前にも言ったじゃん。あっちに帰るための方法を見つけるためって。この間、マドーラで長老会に頼んできたよ。多分、神野くんたちが魔王を倒した頃にはできるんじゃないかな?」

 「そうじゃなくて。新ちゃんは俺らより圧倒的に強いだろ?」

 「そんなことはないよ〜」

 「いや、絶対に強い。だって俺らが中3の時にあった不良が大量にやられたってやつ…新ちゃんだろ?」


 おや?ばれてたようだ。



 「違うよ〜」

 「いや、そうだね。だって俺は新ちゃんが、不良をぼこぼこにしてたのを一度見てるんだ」

 「見間違いじゃないの〜?」

 「俺が、新ちゃんを見間違えると思うか?」

 「暗かったら見間違えるんじゃないの〜?」

 「俺は一度も暗いなんて言ってない」

 「あら、墓穴掘っちゃったかな」


 まぁいいか。別にばれて困るようなことでもないし。



 「ほら、やっぱり。新ちゃんはあれを躊躇なくできる。でも俺らは違う。今だって魔物を殺すのに覚悟がいるよ…」

 「ま、それは慣れだね」

 「だから、新ちゃんは俺らと違って、敵を躊躇なく倒せるだろう。それに、経験だって違う。新ちゃんは少なくとも、俺らよりもずっと長い間それを知ってる」

 「そうだね〜」

 「なのに、なんで魔王を倒しに行くのに来ないんだ?新ちゃんは俺らより強いんだ…『さて、ついに決勝戦です。では、まずはシン選手』なのに…」


 話の途中で、コールがかかった。



 「じゃ、終わってから話そうか。ああ。あと、僕は神野くんには勝てないよ」

 「な、なんでだよ!」

 「じゃあがんばろ〜ね」



 僕は話を無視して入場していき、ステージの中央に着く。

 


 『続いて、タクミ選手。今までと同じく、白銀の鎧に巨大な大剣。今回はどんな戦いを見せてくれるのでしょうか?』


 

 後ろから、神野が入場してくる。


 

 そして、僕の目の前に立つ。



 「あとでしっかり説明してもらうからな」

 「気が乗ったらね〜」


 『では両者、構えてください』



 神野と僕は剣を抜き、構える。



 『では、大会最終戦。決勝戦、開始!』



 「…おりゃぁぁ!」


 そして、開始のコールがかかった瞬間、神野はその大剣を俺に向かって振り下ろす。だが、その剣には俺に攻撃することに対する、迷いが感じられる。



 「ほら、躊躇してないの〜。『風よ。我が身を包み、全てを拒絶し断罪せよ。風女神の抱擁』」


 僕は魔法を使わせないように、魔法を発動する。多分、攻撃の方は威力が高いから貫通すると思うけどね。

それに、火属性魔法を使われると僕にも少し被害が来るし。



 「いや、だって仮にも仲間に、攻撃してんだぞ」

 「甘い。スキあり〜」


 僕は剣の腹で神野の頭を軽く叩く。



 「ほら、実戦練習だと思ってやればいいよ。いつもアレクさんとやってたでしょ?」

 「あ、ああ。わかったよ…」



 そう言ってやると、神野は意識が切り替わったようで、真剣な顔つきになった。


 「うん。それでいい。さ、かかっておいで」

 「行くぞ!うらぁあああ!」



 神野は大剣を僕に向かって振り下ろした。僕はそれを難なく躱す。


 「てやぁぁあ!」



 そして、神野はそのまま一回転し、横に大剣を振るう。僕は剣でそれを受け止めて、その衝撃で少し飛ぶ。


 「はぁああああ!」



 さらに、神野はそれに追い打ちをかけるように斬りかかってくる。僕はそれを横に転がって避け、そのついでに剣で神野の背中を叩く。


 「くっ…」

 「ほら、もっと頑張って〜。僕を倒せないようじゃ魔王なんて夢のまた夢だよ〜」


 

 煽ってやると、神野は悔しそうな顔をし、こちらへと大剣を叩きつけるように振り下ろした。



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 まぁ、神野が剣を振って躱すなんてやりとりを始めて、大体2,30分くらい。途中から神野は魔法も使い始め、避けるのが結構辛くなってきた。


 「はぁぁあああ!」


 

 神野は大剣を振り下ろし僕の横を切っていくと、その瞬間に火の玉が飛んでくる。


 「なかなか悪くないね。でも足りない」



 僕は、神野の横に走り込み、そのまま二回切りつける。


 「くっ…やっぱりあれを…」

 「おおっ?奥の手があるなら早めに使ってね〜」



 神野は迷った顔をしていたが、すぐにこちらを見る。


 「いくぞ…」

 「お?なんだ、なんだ〜」



 神野の大剣に魔力が集まっていく…流石に当たったらまずいかな?


 そして神野の大剣に紅に輝く炎が灯った。


 「へぇ、いいね〜」

 「行くぞ…!」



 神野は僕に向かって走ってくる。

 …まぁ、当たったらまずそうだし、逃げるけどね。


 僕らは、ステージを走る。








 「あ〜、だめだ。体力切れかな?」


 逃げること数秒で、僕の体力が尽きかけてきた。流石に、能力値を70に設定するのはつらいね。


 「これで…最後だ!」



 神野は僕に大剣を振り下ろし、僕はそれを躱すように後ろへ下がった…


 そして、爆発音のようなものがした後、僕は後ろへ吹き飛ばされる。



 「…いてて。あ〜危なかった」


 結構な衝撃で、場外まで吹き飛ばされてしまった。

 体は、ローブで守られているので怪我はないが、衝撃は伝わってくるので、背中と頭がいたい。


 

 「って、あ」


 そういえば、場外って失格だったけ。




 『ええ、決勝戦。タクミ選手の勝利です!』


 司会者の声が聞こえる。やっぱり負けだったようだ。


 さらに、一瞬の静寂の後、観客達の歓声が聞こえてくる。



 「あ〜あ。負けちゃった。よっこらしょ」


 僕は、吹き飛ばされて、ステージの壁に寄りかかっていたので、立ち上がり、ローブとかについてしまった砂埃を払う。


 すると、向こうから神野が近づいてくるのが見えた。



 「なぁ新ちゃん。わざと負けたのか?」

 「いや、普通に負けたよ。さて、話の続きだったけ?」

 「それは後でにしよう。今は表彰式があるしな」

 「それもそうだね」



 『ええ、表彰式はこの後10分後に行います。準備をお願いします』



 「ほらな。じゃあ一旦戻ろうぜ」

 「うん、そうだね」



 僕らは退場し、入場口に戻る。











 「あ、拓巳、しんちゃん。おかえり」


 入場口では、石井が待っていた。あと、今回は役員はいないようだ。


 「ただいま〜。石井くんは3位だったんだね〜」

 「おう」

 「で、これいつ始まるんだ?」

 「多分、もう少ししたら呼ばれると思うぞ。中を見た感じだと、表彰の準備はできてそうだし」

 「へぇ〜。どんな感じかな〜?」


 僕はステージの方を見てみる。


 ステージには表彰台が設置されていて、司会者用の場所とかが作られていた。



 「本当だ。準備は終わってるみたいだね。じゃあ後は呼ばれるのを待つだけかな」

 「みたいだな。で、新ちゃん。どういうことか説明してもらおうか?」

 「じゃあこれが終わったら、6時に昨日の店に来てよ。あ、もちろん一人でね?」

 「わかった」



 それから、僕らは特に何も話さずに呼ばれるのを待つ。





 『ええ…では、第27回全大陸戦闘競技大会、表彰、及び閉会式を行います。まず、選手入場です』



 少しして閉会式が始まり、僕らはステージへと歩いていく。


 会場は歓喜に包まれている。



 僕らがステージの中心のところで止まると、表彰が始まる。


 『では、初めに表彰です。ユリアさんお願いします』

 『はい。第3位カズヤ選手、前へ…おめでとうございます。記念硬貨と、賞金3000Bです』


 

 石井が銀貨の入った袋と、チェーンのついた精妙に彫刻が施された銅色の硬貨を受け取る。


 『次に、第2位シン選手、前へ…おめとうございます。記念硬貨と、賞金5000Bです』

 


 僕は銀貨の入ったずっしりとした袋と、石井のと同じであるが色は銀色に輝く記念硬貨を受け取る。


 『では、優勝タクミ選手、前へ…おめでとうございます。記念硬貨と、賞金10000Bです』



 神野も袋と、金色に輝いてる記念硬貨を受け取る。


 『では続いて…



 そのまま、閉会式は続く…



^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


 

 ステージに立たされ続けること、20分くらい。


 『これにて、第27回全大陸戦闘競技大会を閉会いたします』


 

 司会者が閉会の言葉を言い、おそらく魔道具でやっていると思われる花火が打ち上がる…


 『選手は退場してください』


 

 まぁ、そう言われたのだが、普通に退場してもつまらないと思うので、僕は観客たちに向けて叫ぶ。 


 「さぁさぁ、みなさまご注目!せっかくなのでご要望にお答えいたしましょうじゃあありませんか!ではいきましょう!『わが呼び声を聞け、来れ眷属たちよ』」


 せっかくなので、龍でも見せてやろうじゃないの。


 僕の目の前に赤い魔方陣が浮かび上がり、光とともに2匹の龍が空へと飛び立つ。

 こいつらは僕が”使徒創生”で生み出したもので、全体的に真っ黒いのと真っ白いのの2匹だ。



 そしてそのまま空をしばらく旋回した後、空へと向かって光と闇のブレスを吐いて、再び魔方陣に突っ込み消える。


 「では、ありがとうございました〜」 


 

 そして、さっさと退場する。

 退場した瞬間、会場中に歓声やら悲鳴やら叫び声が聞こえてくる。



 「ふふっ、ふふふふ。あ〜面白い」


 いや〜、やっぱり普通に退場してもつまらないよね。



 「おい新ちゃん!あれなんだよ!」


 笑ってたら、後ろから神野が走ってきた。


 「あ、おかえり〜。なかなか衝撃的だったでしょ?」

 「いや、確かに衝撃的だけどよ。いろいろダメだろ、あれは」

 「楽しかったから問題ない。じゃ、6時にね〜」

 「あ、ちょっと新ちゃん⁉︎」


 

 僕は待機場所から出て、気配を消し、服装をいつもの状態に戻し”息吹”をネックレスにして宿へと戻る…


意見、感想等あったらお願いします。

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