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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター29
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独裁者の怒り

 俺はあまりのことに動けなかった。


 黒上が放った銃弾は……小室さんには当たっていなかった。


 見ると、生徒会室の壁に、小さな穴が開いている……俺はホッと胸を撫で下ろす。


「……ふっ。当たらない……のよね」


 すると、黒上は自嘲気味に微笑み、手にしていた銃を放り投げた。


「……アナタの言うとおりよ。私……あの二人がいないと何もできないわ……あの二人は私にとって不可欠な存在なの……それが……死んだ? 馬鹿なこと言わないでよ……」


 黒上は今にも泣き出しそうにしながら俺と小室さんを見る。小室さんは無表情のままで黒上を見ている。


「……残念だけど、嘘じゃないんだ」


 俺は重い口を開いて、そう言った。黒上は俺が何を言ったのか理解できなかったという感じで呆然としていたが、しばらくすると生徒会室の椅子に腰掛けた。


「……そう」


 短くそう言うと黒上はぼんやりと天井を眺めていた。まるで魂が抜けてしまったかのように……


「それで……君に話があるんだ」


「……何。あの二人が死んだって話を、私に伝えに来ただけなんでしょう……それ以上、こんな私に何の用事があるっていうのよ……」


「……君は……平野さんをどう思う?」


 俺は手探りながらも黒上にそう訊ねてみた。黒上はやる気のない様子で視線だけ動かして俺と小室さんを見る。


「……どうって……保健の先生でしょ。それ以上の何者でもないわ」


「だったら、なぜ平野さんへの待遇は特別なんだ? 谷内も川本さんも平野さんへの態度だけは不自然だった。彼女は一体どういう存在なんだ?」


 俺がまくし立てるように聞いても、黒上はあくまで無関心そうだった。


 さすがに谷内が死んだという事実をいきなり伝えるのはショックが大きすぎたのだろうか……


「……知らないわ。どうでもいいし……用事がそれだけなら、さっさと帰って。私はもう……どうでもいいから」


 完全にやる気がなくなった黒上は椅子の方向を変えて、俺たちに背を向けてしまった。


 俺と小室さんは顔を見合わせる。


 無論、俺たち二人、このままでは帰れない。


 平野さんの作戦ではなく、俺が考える最善の方法でこの学園から脱出するには……黒上の協力が必要なのだ

「……じゃあ、もし、平野さんが張本人だとしたら?」


 俺がそう言っても、黒上は反応しない。俺は構わずに先を続ける。


「もし……平野さんが谷内を殺した、って言ったら?」


 俺がそう言うと、黒上はそれでも反応しなかった。


 どうやら……完全に魂が抜けてしまったらしい。


 俺と小室さんは仕方ないという感じで生徒会室から出ていこうとした。


「平野は、科学者よ」


 と、俺が生徒会室の扉に手をかけると同時に、黒上の声が聞こえてきた。俺と小室さんは同時に振り返る。


「……え? 今、なんて……」


 俺はそう言いながら振り返る。見ると、黒上は、怒りの形相で俺と小室さんを睨みつけていた。


「……アイツは科学者よ。私の予見が正しければね……そして、この異変には、間違いなくアイツが関係しているわ」


 黒上は強くしっかりとした口調で俺と小室さんにそんなとんでもない話を突きつけてきたのだった。

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