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vol.21 *

お待たせしました。

残り3話ですが連載再開させていただきます。

リアルを優先させていただきありがとうございました!

「真澄ちゃんは?」



毛布を持ってリビングに戻るとかけられる声。



「寝かせてきました、たぶんしばらくは起きないかと」


「ふーん、男の家で寝ちゃうだなんてずいぶん信用されてんだな」



ソファーに毛布を置くと、誠さんの向かいに座り直す。



「そうなんでしょうかね」



信用されるのは有り難い。

警戒心バシバシだとこの先の展開がうまくいかない可能性もあるから。

かといって、ここまで安心されると男として見られてないのか?と

ちょっと不安に思うのも事実で



「なぁ、槇」


「はい?」


「お前らさ・・・いや、いいわ。なんでもない」


「誠さん?」



誠さんが言いかけた言葉が少し気になる。

お前らというのは俺と彼女の事なんだろう。

俺達がいったい誠さんの何にひっかかったんだ?



「あー、食った食った。やっぱ家で食べる飯はいいな」


「誠さん外食ばっかですもんね」


「あー、まぁな」



そう言いながら誠さんが苦笑する。

この人も以前はまっすぐ家に帰ってた。

あの人がいたから・・・・

誠さんは今、駿河さんを気に入ってるみたいだけれど

彼女のことはもうふっきれたんだろうか

それならいい・・・誠さんには幸せになってもらいたい。

それがたとえ困難な相手だろうとも

誠さんなら何とかしちゃうんじゃないか。

そんな気がしている。



「おし、んじゃそろそろ俺帰るわ」


「誠さん?」


「明日の台本、まだ半分しか読んでねぇのよ。

お前も明日は夜からだろ?」


「ええ、このまま彼女が朝まで起きなかったら

明日送っていきます」



誠さんは俺の顔をじっとみつめると「そっか」と口にした。



「今日は邪魔して悪かった。彼女にもそう言っといて」


「いえ、気にしないで下さい」



玄関に向かう誠さんの後を追う。



「じゃあ ごちそうさん」


「また来て下さい」


「ああ、またな」



そう言いのこして誠さんは帰って行った。

玄関に鍵をかけて、チェーンをしめるとほっと一息。


気がつけば静まりかえる室内。

時折加湿器が給水する音がぽこぽこ聞こえる。

座卓を片づけ、座布団はまとめて部屋の隅へ。

これは明日、クローゼットに戻そう。


ソファーの背を倒してベッド仕様に変更する。

毛布を広げ、座布団を1枚もってきて枕代わりに。

これで今夜の寝床も完成。


してしまったら何もすることがなくなった。


静かな室内、聞こえるはずがないのに

彼女の寝息が聞こえる気がして思わずからだが熱くなる。

落ち着け、俺。


正直、彼女を抱きたい。

あの柔らかそうな唇をうばい、俺を刻みつけたい。

夢でなら何度もそういう行為もした。

そのたびに目覚めて軽い自己嫌悪。


彼女は俺がこんな事を考えてるだなんて夢にも思ってないだろう。

それが少し腹立たしくもある。


大事にしたい

でも奪いたい


なんて相反する考え。

仮にそういう関係になったとしても順序よく段階を踏まないと

彼女を傷つけてしまう、それは本意ではない。


俺はリビングの明かりを最小限に落とすと

全てを吹っ切るかのように頭から毛布をかぶった。











夢を見た。

夢の中で俺は彼女に告白し身体を自分の下に引き入れると、

何度も唇を奪う。ああ、なんてリアルな感触。



「あ・・・」



声まで聞こえている。

どこまで忠実に想像して再現してんだよ俺は。

そうしてそのまま彼女のスカートをたくしあげる。

しっかり昨日のワンピースじゃないか


いつもの夢か・・・起きたらまたむなしいな・・・

そう思っていたら



「じ・・・んさ・・・ん」



超至近距離で呼ばれた名前に瞬時に頭が覚醒し、

今の体勢にフリーズしてしまう。

なんで俺は彼女を組み敷いてるんだ!?

なんで俺の手は彼女をおさえつけ、

あまつさえ太ももに伸びてるんだ!?


状況が理解できた瞬間、フリーズは瞬時に溶け

俺はソファーから転がり落ちた。



「仁さん!?」



慌てて起きあがった彼女、

乱れたスカートから見える足が悩ましい・・・

じゃなくて!!



「ま、真澄ちゃん、俺何かした・・・?」



その言葉に彼女がボンっと音をたてたかのように真っ赤になる。

え?ってことはまさかさっきの感触は夢じゃなくて・・・



「マジですか・・・」



ありえない自身の失態にどうやってこれを取り戻すか

寝起きの頭はこれ以上ないくらいにフル回転していた。











とりあえずラグの上で正座する。

彼女の反応から察するに、キス・・・とか

夢の中の出来事実行しちゃったんだろう

なんでよりにもよって寝ぼけてするかな、俺は!

自分で自分を殴り倒したくなる。

でもそんな事はとうていできっこないので

まずは正確な状況を把握しなくちゃいけない。



「あ、あのさ まずはごめん」



頭を下げて誤り顔をあげると

さっきの顔色はどうしたのか、彼女の顔色がわるくなり

なんだか泣きそうな顔になっている。


ああ、傷つけてしまった

俺的にはラッキーかもしれないけど

彼女はファーストキスだったのかもしれない

それを寝ぼけた相手に奪われた、それも何度もとなれば

悲しくなるのも当然か・・・・



「これだけは誤解しないでほしいんだけど

起きてたら絶対あんな真似しなかった。

真澄ちゃんの意志を無視して本当にごめん」


「起きてたらしなかった・・・んですか」



あれ?なんだかますます彼女が悲しそうになっていく。



「じゃああの言葉も嘘・・・なんですね」



そういうとうつむいてしまう。

あの言葉?あの言葉って何だ?

重たい空気が流れる中、必死に頭を動かして・・・!?



「ち、違う!あの言葉が「君のことが好きだ」を指しているなら

それは嘘じゃない!!」



俺の言葉に彼女が顔をあげる。

その両目は潤んでいて、今にも涙がこぼれ落ちそうで

その事が俺の胸を痛いくらいに締め付けていた。



「嘘・・・じゃない?」



彼女の言葉に大きくうなずく。

寝ぼけて言ってしまった言葉だけど、その言葉は真実だから。



「真澄ちゃん、いや真澄さん。俺は、貴方が好きです」


「・・・え?」



俺の一世一代の告白に、彼女の目から涙がこぼれ、

ゆっくりと頬をつたっていった。





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