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vol.13

「真澄ちゃん着いたよ、大丈夫?」


「あ、はい。ありがとうございました」



タクシーが彼女の家の前に停まる。

あの後駿河さんと説得して彼女をタクシーで家まで送ることにした。

彼女はかなり恐縮していたけれど、あの酒を飲んでしまったんだ

知らないところで倒れられてもしたらと思うとぞっとする。


そのままタクシーに待っててもらい、彼女が玄関に入るまで見送ろうと車外に出る。

門扉をあけ、敷地に入り、玄関前でなにやらしているのを見て安心して車に戻ろうとしたとき



「お客さん、お連れさんが!」



タクシーの運転手にかけられた言葉に慌てて振り返ると彼女が崩れ落ちていく瞬間だった。

とっさに身を翻し、彼女の家の敷地に飛び込む。

幸い地面に倒れる寸前に抱き留めることができた。


大きくため息をつき、彼女を見ると

酔って眠り込んだのか、少しだけ顔色が悪い。

」前に食事したとき、酒に慣れてないと言ってたのに

間違えて俺の酒を煽ってしまった彼女。

しっかりしたフリにすっかり騙されたけれどもう限界だったのだろう。


彼女を抱え直すと玄関のチャイムに手をかける

しばらく待つも、誰も出てくる気配がない。

仕方ない、勝手に鞄を………!?

鞄がない!?


俺は慌てながらも順序だてて今日の事を思い出す。

そして2つの結論に達した。


忘れてきたか、誠さんの腰にまだあるか…だ。

とりあえず104で居酒屋の電話番号をしらべ

かけてみるも忘れ物はなし。

ということは誠さんだ!

もしかして(まあないだろうけど)駿河さんと

いい雰囲気なら困ったな…と思いつつも

こっちも困ってるので諦めてもらおう

彼女の鞄を持って帰った誠さんが悪いのだから



…何回コールしても誠さんはでない

駿河さんの携帯はしらないので

一縷の望みをかけて彼女の携帯もならしてみる

が、こっちもでない。


これだけ家の前でバタバタしているのに

家人が出てこないのは留守なんだろう

まさか女の子を夜中にほっぽりだすわけにも行かない


少しだけ逡巡し、腹を決めると俺は彼女を抱き上げタクシーへと戻っていった。











キィー…


玄関が小さな音をたて開く。

まずはまっすぐリビングへ向かい

彼女を抱いたままソファーに腰掛ける。

起こさないように体を支えながら靴をその場で脱がせる。

コツンと響いた音が今、この瞬間が

非日常であることを俺の耳に焼き付けた。


片手で支えながらベッドカバーをはずし彼女を横たえる。

少しだけなやんでパンツのボタンと

シャツのボタンを少しだけ緩め、その体にカバーをかけた。


部屋の明かりは全部消さず

小さな明かりを残しておく。

夜中に彼女が目覚めたら、容体が急変したら真っ暗だと何もできなからだ。


クローゼットから毛布を取り出すと

少しだけ寝室のドアをあけたままリビングへもどった。

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