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関係。

作者: マーボー
掲載日:2012/06/24


「私たちって付き合ってるんだよね……?」

「あ? 何を今更」

「そ、そうだよね……うん、そうなんだよね……」


夕暮れに染まった通学路。

私たちはそれ以上の会話もなく、一定の距離を保ったまま隣を歩いていく。

遠すぎず、近すぎず。

これは友達同士の距離でもなければ恋人同士の距離でもない。

じゃあ私たちの関係ってなんだろう?

それはね、付き合いたての頃は手を繋ぐ事もあったり、お互いに寒空の下、身を寄せ合って過ごす事もあった。

肌と肌を触れ合わせて、互いの存在を確かめ合ったりもした

だけど――


「今の私たちって何なんだろう……」


不満が自然と零れ出てしまう。

今まで何千、何万回と自問自答してきた。

だけどもそれを声に出す事は出来なかった。

何故って? そんなの決まってる。

この言葉を口にしたら、今の関係が壊れてしまうからだ。

それだけは嫌だ。

嫌だった……。


だからこそ今まで我慢してきたのに……。


「…………」


彼は何も言わない。

これで今までの苦労も全部水の泡。


(あーあ。もう終わりか)


これで私たちの関係は終わり。

友達から恋人になって、恋人から……結局何になったんだろう?

散々自問自答してきたのに、最後の最後まで答えを見つけ出す事が出来なかった。


私の足が自然と止まる。


「…………おい?」

「ごめんね……私、今まで迷惑だったよね……?」


彼の言葉を聞いた私は震える声を抑えるようにして、言葉を絞り出す。

さっきまで紅く染まっていた空はいつのまにか暗みがかってきている。


「ははっ……」


笑い声。

呆れてしまった私の口からは擦れた笑いが出た。

自分で気がつき、自分で悩み、自分で壊して、自分だけで悲しんでいる。


(なんだ……この空、今の私の心情みたいじゃない……)


溢れてくる涙を抑えるように空を仰ぎ見る私の身体から力が抜ける。

何とか立っていられた私の足はいつのまにか限界を迎えていたようだ。


「何してるんだよ、お前は……」


力なく倒れる私を迎えたのは固い地面ではなく、彼の固い胸板。

Yシャツから香る彼の匂いに、私はここでも安堵の涙が溢れてしまう。


「まったく。お前はまた何か勝手に勘違いしてたな?」

「そ、そう……みたい……」


ここで私はふと気がつく。

彼の早くなっている鼓動に。


(そうだったね。この人は最初からこうだった。不器用で照れ屋で……)


勘違いしていた自分が恥ずかしくなる。

そしてこのやり取り、今思えば初めてじゃない。

過去何回か同じ事を繰り返していた。

その度に、普段は素っ気ない彼がこうして私を抱きしめてくれていた。


「へへ。私、またやっちゃったみたい、だね?」

「まぁいいけどよ。でも……」


彼は私を離し、鞄の中から一つの箱を取り出して見せてくる。


「そんなに今の俺たちの関係が不安ならはっきりさせてやる」


そう言いながら箱の中身を取り出し、私の指にはめてくれる。


「俺はお前の前から居なくならないし、ずっとそばにいてやる。これはその誓いの証だ」


彼はそう言うと、またそっと私の事を抱きしめてくれた。

その証を貰った事と、彼が抱きしめてくれた温もりに、私は今日三度目の涙を流してしまう。

けれどもこの涙は前の二つとは違った涙。


「これでもう大丈夫だろう?」

「うん……うん、うん」


涙を流しながら彼の顔を見つめる。

暗闇に染まった今、彼の表情が見えない。

けれど、どこに唇があるのかはこれでまの付き合いから分かっていた。


互いの距離が縮まり零になる。


この瞬間から、私たちの関係は婚約という絆で深く結びつかれたのだった。






完全に深夜テンションで書きました。

後悔はしていません。

感想待ってます~!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主観的なんですけど、心情を良く捕らえられていると感じました。 2000字も無かったので軽く読み流そうと思ったのですが、別れ話を切り出そうとする主人公?の気持ちが理解できて思わず真剣な気持ち…
[一言] 甘い!甘いよマーボーさん! どうしてそんな辛そうな名前なのに甘い作品なのか! ちくせう!! いいぞ!もっとやれ!
[一言] 短編投稿お疲れ様です! 恋人から婚約の関係に…… こういうお話、私は好きです。 マーボー様、頑張ってください。では!
感想一覧
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