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震災 〜3,11〜  作者:
2/16

二日目




3月12日(土)




 今日の記録は日付が変わった瞬間から始まった(寝てないから)


 ローソクの薄明かりの中、本を読んだりうとうとしたりしながら朝日が登るのを待つ。


 簡易ラジオからは、5時頃から日が出始めると流れた。


 そして日が出てくると少し気が抜けたのか、僅かな間熟睡してしまう。


 朝ごはんにパンを食べながら、ラジオに耳を傾けた。


 そうして暫くすると、突然


『ウーッ ウーッ』


 と耳障りな音が響き



『放射能が漏れるので避難するように(簡略)』


 という内容の放送が流れた。


 少ししてから周りの様子を見て、隣のYさんの家はどうするかを聞きに行った。



 Yさんはちゃんと警報を聞いていなかったらしく、母の話を聞くと



「俺ぁここにのこる!!」



 と少し顔を赤らめた酔っ払いのYじいちゃんが言い


「んなこと言ってねぇで行くぞ」


 とY婆ちゃんが言う。



 そんなやり取りをしてYさんの娘夫婦がやって来て、私たちも一緒にYさんの本家(Yばあちゃんの実家)へ行くことになった。



 犬は、置いていくしかないと言われ、餌を残してきたがやはり心配だ。



 くねくねと山道を走り葛尾村にあるYさんの本家に辿り着くと、そこにすんでいるおじいちゃん2とお婆ちゃん2が歓迎してくれた。


 着いてすぐにYじいちゃんは焼酎を飲み出した。




 初めてみる堀ごたつに戸惑いながらも入ると、とても暖かかった。



 Yさんの本家で休んでいるとき、電話があった。


 おじいちゃん2は、電話に出ると暫く話し込んでから電話を切った。


 Yじいちゃんが

「どうしたぁ」


 と聞くと、おじいちゃん2は目を手で隠し、上ずった声で



義兄(あにき)が…いなくなったってっ…」



と言った。


「死んだのか?」とYじいちゃん



「…詳しくはわかんねぇけど、多分……」


「奥さんもか?」


「あぁ…津波から避難すっとき、二人とも家に残ったって…高台から……家が、流されんの見たって………」




 二人の会話を聞きながら、私は声すら出せずにいた。


 それから、それぞれ横になったりして休んだりした。


 その後、夕方頃だろうか

 ニュースで原子力発電所から爆発音がし、白い煙が上がったというものが流れた。


 そのすぐ後にYさんの娘夫婦が再び現れ、葛尾村からもっと遠くへ行くことになった。



 暗くなりはじめた山道を、Yさんの車を追いかけた。


 何時間も休憩を挟みながら山道を走り、真っ暗になってたどり着いたのは会津だった。



 コンビニの駐車場に車を停め、そこで一泊が決まる。



 コンビニの中は、商品がガラガラだったうえ、トイレも水が流れなかった。


 コンビニの中をうろうろしたり外の雪景色を見たり、車の中でうとうとしながら時間を潰す。



 そうしているうちに、タイミング悪く女の子の日が来てしまった。


 幸いそこはコンビニで、ナプキンを買うことはできたがトイレが使えない。



 店員に事情を説明すると、快くトイレを貸してくれた。



 そんな優しさに感謝しながら今日を終えた。





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