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14話:恋人として、対等になれるまで

 その夜。


 俺と睡蓮さんは、恋人として一緒に眠った。


「ねえ、翔真」


「はい」


「まだ敬語使うの?」


「……癖で」


「直しなさい」


「……わかった」


「よろしい」


 睡蓮さんが、俺に抱きついてきた。


 柔らかい体。甘い香り。温かい体温。


 今までと同じ——でも、全然違う。


 今は——睡蓮さんのことを、感じていい。


「ねえ」


「なに」


「名前、呼んで」


「睡蓮さん」


「まだ『さん』付けなの?」


「……ごめん。まだ、呼び捨ては——」


「ふうん」


 睡蓮さんが、少し拗ねた顔をした。


「いつか——呼び捨てにしてくれる?」


「……いつか、きっと」


「約束よ」


「約束する」


 睡蓮さんが、嬉しそうに笑った。


「じゃあ、楽しみにしてる」


「ああ」


 睡蓮さんが、また俺に抱きついてきた。


 今までより——強く。


「ねえ、翔真」


「なに」


「今まで、ずっと我慢してたんでしょ?」


「……まあ」


「どれくらい我慢してた?」


「初日から」


「……ふふ」


 睡蓮さんが、くすくすと笑った。


「やっぱり」


「やっぱり、って?」


「あなた、夜中に変な声出してたもの」


「……え」


「『駄目だ駄目だ』って、ずっと言ってた」


 俺は——顔が熱くなった。


「……聞いてたのか」


「聞いてた。最初からずっと」


「なんで起きてて——」


「だって、あなたが面白いんだもの」


 睡蓮さんが、悪戯っぽく笑った。


「必死で平静を装ってる顔。すごく可愛かった」


「可愛いって——」


「可愛いの。あなたが」


 睡蓮さんが、俺の頬に手を当てた。


「私のために、そこまで我慢してくれて。嬉しかった」


「睡蓮さん——」


「でも、もう我慢しなくていいから」


 睡蓮さんが、俺の胸に顔を埋めた。


「私のこと——感じて」


「……ああ」


 俺は——初めて、素直になれた。


 睡蓮さんの体。

 柔らかくて、温かくて、いい匂いがする。


 今まで、必死で否定していたこと。

 今は——認めていい。


「睡蓮さん」


「なに」


「柔らかいです」


「……っ」


 睡蓮さんの体が、びくっと震えた。


「い、いきなり何言うの!」


「本当のことだから」


「そ、そういうことは——」


「我慢しなくていいって、言ったのは睡蓮さんですよ」


「……」


 睡蓮さんの顔が、真っ赤になった。


「……バカ」


「はい」


「好き」


「俺もです」


 睡蓮さんが、にやりと笑った。


「ねえ、翔真」


「なに」


「今夜もさ——私の胸、柔らかかった?」


「——っ!」


 俺の顔が一瞬で赤くなる。


「睡蓮さん、それは——」


「毎晩、抱きついてたもんね。胸もお腹も足も、全部押し付けてた」


「あれは睡蓮さんが勝手に——」


「ふふ。気持ちよかった?」


「気持ちいいとか悪いとかじゃ——」


「じゃあ、もう一回確認する?」


 睡蓮さんが、俺の上に覆いかぶさってきた。


 胸が——直接、俺の胸に押し付けられる。


 薄いパジャマ越しに、その柔らかさと形が——


「——っ!!」


「ふふ。可愛い。真っ赤」


「からかわないでください!!」


「敬語」


「からかうな!!」


「よろしい」


 睡蓮さんが、満足そうに笑った。


 そのまま、俺の胸に顔を埋める。


「でも、嬉しかった」


「何が」


「あなたが、私の体で興奮してくれてたこと」


「それは——」


「だって、好きな人に欲情されたいじゃない」


 睡蓮さんが、上目遣いで俺を見た。


 ——反則だ。


「そ、そういう言い方は——」


「これからも、毎晩私の体で興奮していいのよ?」


「睡蓮さん!!」


 俺の顔が限界を超えて熱くなる。


「ふふ。からかい甲斐がある」


 睡蓮さんが、くすくすと笑った。


 そのまま、俺の上に覆いかぶさってくる。


 胸が、俺の胸に押し付けられる。

 パジャマ越しに、その柔らかさと形が伝わってくる。

 ふわりとした弾力。体温。心臓の鼓動。


 そして——パジャマの隙間から、鎖骨から下の白い肌がのぞいている。


 谷間が——見えそうで見えない。


「ねえ、翔真」


「な、なに」


「私のこと、ちゃんと感じてる?」


 睡蓮さんが、わざと体を押し付けてきた。


 胸の形が、さらにくっきりと感じられる。

 その先端が——俺の胸に当たっている。


 (——っ!!)


「ど、どういう意味で——」


「どういう意味でも」


 睡蓮さんが、悪戯っぽく笑った。


「好きよ、翔真」


「……俺も、です」


「もっと、ちゃんと感じて」


 睡蓮さんが、俺の首筋に顔を埋めた。


 艶やかな黒髪が、俺の顔に触れる。

 甘い香り。温かい吐息。

 柔らかい体が、俺の体に完全に重なっている。


「好き」


「俺も」


「もっと」


「……俺も」


 睡蓮さんが、俺の唇にキスした。


 今度は、さっきより長く。


 唇が離れた後、睡蓮さんは俺の胸に顔を埋めた。


「好き」


「——俺も、です」


 俺たちは、抱き合ったまま眠りについた。

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