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13話:告白と不器用なキス

 俺は、睡蓮さんの部屋に向かった。


 ドアをノックする。


「……誰?」


「俺です」


「入らないで。用はないわ」


「話があります」


「聞きたくない」


「それでも、話します」


 俺は、ドアを開けた。


 睡蓮さんがベッドに座っていた。


 目の下にクマができている。髪が乱れている。


 ——眠れていない。


「なんで入ってくるの。命令に逆らうの?」


「逆らいます」


「……え?」


 睡蓮さんが、驚いた顔をした。


 当然だ。俺が命令に逆らったのは——これが初めてだから。


「添い寝係、復帰させてください」


「もういいって言ったでしょ」


「俺も——眠れなかったんです。睡蓮さんがいないと」


 睡蓮さんの目が、大きく見開かれた。


「嘘。『何も思わない』って——」


「嘘でした」


 俺は、睡蓮さんに近づいた。


「本当は——ずっと、睡蓮さんのこと、考えてました」


「……」


「毎晩、必死で平静を装ってました」


「……」


「俺なんかが睡蓮さんに欲情するなんて——身の程知らずだと思って」


 睡蓮さんの頬が、赤く染まった。


「欲情……してたの?」


「してました」


「毎晩?」


「毎晩です」


 恥ずかしい。


 でも、もう嘘はつきたくなかった。


「俺はずっと、睡蓮さんの『下』だと思ってました」


「……」


「小さい頃から、逆らえなかった。勝てなかった。対等になれなかった」


「翔真……」


「だから、欲情してることがバレたら——終わりだと思った」


「終わり?」


「使用人としてクビになる。親父の会社も——」


「そんなこと、気にしてたの?」


 睡蓮さんが、俺の言葉を遮った。


「私が——そんな理由であなたをクビにすると思ったの?」


「思いました」


「バカ」


 睡蓮さんの声が、震えていた。


「私は——そんなこと、望んでない」


「睡蓮さん……」


「私は——あなたに好かれたかったの。対等に」


 睡蓮さんの目から、涙がこぼれた。


「小さい頃、あなたを虐めてたこと——ずっと後悔してた。でも、謝り方がわからなくて——」


「……」


「だから——添い寝係にしたの。少しでも、近づきたくて」


「睡蓮さん……」


「私のこと——嫌いになった?」


 俺は——


 睡蓮さんを抱きしめた。


「え……?」


「嫌いになるわけないです」


「翔真……」


「俺も——睡蓮さんのこと、好きです」


 睡蓮さんが、俺の胸に顔を埋めた。


「本当に……?」


「本当です」


「使用人と雇い主なのに?」


「そんなこと、関係ないです」


「私、ワガママで、気が強くて——」


「知ってます」


「小さい頃、あなたを虐めてて——」


「もう、いいです」


 俺は、睡蓮さんの頭を撫でた。


「過去のことは——もう、いいです」


「翔真……」


「これからは——対等になりましょう」


「……うん」


 睡蓮さんが、顔を上げた。


 涙で濡れた瞳が、俺を見つめている。


 俺は——


 睡蓮さんの唇に、自分の唇を重ねた。


 柔らかい。甘い。


 初めてのキスだった。


 睡蓮さんの体が、俺の胸に押し付けられる。

 柔らかい胸の感触が、服越しに伝わってくる。


 今までは、必死で意識しないようにしていた。

 でも今は——感じていい。


「えへへ……」


 睡蓮さんが、真っ赤な顔で笑った。


「嬉しい……」

「俺もです」

「もう一回……してもいい?」


 睡蓮さんが、上目遣いで俺を見た。


 ——反則だ。


 こんな顔されたら、断れるわけがない。


 俺は、もう一度睡蓮さんの唇を奪った。


 今度は、さっきより深く。


「んっ……」


 睡蓮さんが、小さく声を漏らした。


 その声が、俺の理性をさらに溶かす。


「翔真……積極的ね……」


「すみません、我慢できなくて」


「いいのよ。もう、我慢しなくていいって言ったでしょ?」


 睡蓮さんが、悪戯っぽく笑った。


「じゃあ——今日から、恋人ね」


「はい」


「添い寝係も、続行よ」


「……はい」


「でも——もう、我慢しなくていいからね」


「我慢?」


「欲情しても——いいってこと」


 睡蓮さんが、耳元で囁いた。


 俺は——顔が熱くなった。


 ——いやいやいや! ちょっと待て!


「でも、『その先』は——まだ、駄目よ?」


「そ、そんなんしません!!」


 俺は怖いくらい勢いよく否定した。


「あ、当たり前です! 俺は紳士です! そんな、え、えっちなことは、その、そのような、その——」


「ふふ、動揺しすぎ」


 睡蓮さんがくすくす笑った。


「別に、したくないってこと?」


「したいとかしたくないとかじゃなくて!!」


「じゃあ、したいの?」


「——っ!!!」


 俺の顔が爆発しそうになった。


「ねえ、だって翔真、毎晩さ、私の胸に押しつぶされて、ずっと『駄目だ駄目だ』って真っ青な顔してたでしょ?」


「それは! それは、耐えてたんです!!」


「欲情に?」


「そ、そうですけど!!」


「ふふ、素直ね」


 睡蓮さんが、俺の胸に顔を埋めた。


「安心して。その先は、私が許可した時ね」


「いやだからそんなんしませんって!!」


「ふふ。可愛い」

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