表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
分岐点にて  作者: 星野☆明美、chatGPT
10/21

9

「……大丈夫ですか?」


差し出された手は、見覚えがある。

でも、声が、違った。


千鳥は反射的に後ずさった。


「優也……?」


青年は一瞬だけ、きょとんとした顔をしてから、困ったように眉を下げた。


「……すみません、人違いでしたか?」


――違う。

でも、違わない。


顔は優也だ。

声も、背格好も。

けれど、千鳥を“知っている目”じゃない。


そこへ、背後から靴音がした。


「混乱するのも無理はない」


低く、落ち着いた声。

振り向くと、黒いコートの男が立っていた。

年齢のわからない、妙に輪郭のはっきりしない男だ。


「君は今、次の世界線に来ている」


「……なに、言って……」


千鳥の喉が震える。


黒い男は続けた。


「ここでは彼は、君の“幼馴染”ではない。

 同じ名前、同じ人生の輪郭を持っているが、

 君と出会わなかった優也だ」


千鳥の視界が、ぐらりと揺れた。


「じゃあ……さっきの、あの……」


「前の世界線では、君は“死にかけた”」


男は事実を述べるように、淡々と言う。


「そして条件が満たされた。

 君は――分岐点を越えた」


千鳥は、差し出されたままの優也の手を見つめた。

触れれば温度はあるだろう。

でも、それは“あの優也”じゃない。


「……戻れるんですか」


黒い男は、ほんの少しだけ口角を上げた。


「それは、君次第だ」


「条件は?」


「次に命が削られるほどの“選択”をすること」


千鳥は、息を吸った。


(また、危険にさらされないと……)


黒い男は付け加える。


「ただし次は、

 誰かが代わりに死ぬ可能性もある」


優也――この世界線の優也が、不安そうに声をかける。


「……本当に、大丈夫ですか?」


千鳥は、ゆっくりと顔を上げた。


(大丈夫じゃない。

 でも)


「……はい」


嘘をついた。


その瞬間、黒い男の影が、ほんのわずかに揺れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ