花道
読む人によって十人十色の意見が出る作品だと思っています。もし、合わないなと感じたのなら他の方の素晴らしい作品を読んで、この作品のことは忘れてください。もしも、この作品を読んだ人の中で一人でも、面白いななどど好感を寄せてもらえたのなら、こんな作品があったと頭のどこかで覚えてくださるとありがたいです。
「こんな所まで来て良いのか?もう戻れないぞ。」
「いいの。気にしないで。こんなこともあるよ。」
つい先程までは見たこともなかったのに、今は大きな親近感すら湧いている彼に話かけられた。ここは私たちだけの空間。他には誰もいない。真っ白な花が繚乱する広大な場所で、ただ一点の知らない方向に向かって進んで行っている。彼はフードを目深に被り、人とは思えない一定のスピードで滑るように私を誘導する。
「連れてきた俺が言えることではないが、こんなところまで来たら親が心配するぞ。」
「大丈夫だって。こういう何があるのか分からない探検みたいなのも面白いじゃん?」
彼と一度会ったことがあるような気がするし、無言でいても気まずくない、心地よい感じがする。
「俺に付いてきて来て良かったのか?俺はほとんどの人に嫌われてもいる。走って逆方法に戻ったら家族のもとに帰れるかもしれないぞ。」
彼はよほどの心配性らしい。ずっと私のことを心配している。
「いいんだよ。それに走るのって疲れるでしょ。それに私、あなたのこと嫌いじゃないよ。むしろ友達になりたいとすら思ってる。」
「友達。か、いいな。じゃあ友達でいいか?友達。」
「あははは。友達呼びって何よ。私には優羽っていう名前があるんだからね。」
「優羽。か、じゃあ、少しの間だけどよろしくな。」
「....うん。よろしくね。」
会ったばかり、お互いのことは何も知らない私たちはずっと話ながら歩いて行く。下を見ると真っ白な花が絨毯みたいに生えていて綺麗。彼はいったいどこに向かっているのだろうと考えながら、私は進んで行く。
こんなに長く歩き続けたことなんか無いなぁと思っていると、前に立派な門が見えてくる。
「ここに、来たんだね。」
「あぁ、そうだ。優羽が行くべきなのはここだ。だけど、この門をくぐったら、もう戻れないぞ。本当にいいのか。多くの人は戻りたいと言う。俺とこんなに話してくれる人は過去にいたかも思い出せない。もしかしたら、こっそりと戻ったら俺は気づかないかもしれないぞ。」
「いいのいいの。それに、連れてきてってお願いされているのに目の前で戻られちゃったら、あなたが困るでしょ。それに、もういいの。いつかこんな日が来るってのは分かってたし、そりゃあ私は他の人と比べたら早いかもしれないけど、私が唯一同じ学校の人に一番乗りで勝てるかけっこでもあるでしょ?」
「...これから何するか決まっているのか?」
「どんな環境なのか知らないから行き当たりばったりかなぁ。」
「向こうにあるものはこっちにもある。それ以上に沢山のものがある。平和だし何でもできるから楽しめばいい。」
「じゃあ、ずぅっと部屋に引きこもっていようかな。私、あんまり外は好きじゃないし、体も外は好きじゃないみたいだから。」
そういうと私は、改めて門を見上げる。数々の装飾が施された白い門は、ここに来る全ての人を歓迎するかのように開け放たれている。そして、ここまで送ってくれた彼をみる。相変わらずフードのせいで顔は見えないが、彼で良かったと思っている。
「じゃあ、ここまで連れてきてくれてありがとね。」
「俺こそ、素直について来てくれて助かった。それに、友達なんて初めてみたいな感じだ。友達というのも良いな。」
「あなたも一緒に来れば?」
「それはできない。」
「そっか、じゃあ私はもう行こうかな。最後の友達があなたで良かった。」
「ありがとう。俺も友達になれて、ちゃんと話せて良かった。」
私は彼をおいて門をくぐる。たくさんの未来的な建物と人で溢れかえっている景色が目に入る。後ろを向くが、そこには彼の姿はなく、壁しかない。
「さすがだなぁ。天国。」
これが、幼い時から病弱で、ある日ある病院の一室で病死した私が、ここ、天国に来るまでの4時間かも、4日かもしれない短い時間で友達になってくれた彼、死神との話である。入院しがちな私とは誰も友達にはなってくれず、ただ、家族とだけ話していた私と長い期間話してくれた友達。家族には少し申し訳ないけど、私は彼と話せて、友達になれて良かった。
「ありがとう、みんな。もうちょっと話したかったなぁ、最初で最後の友達だったんだよ、死神さん。」
私の頬を一筋の涙が流れるが、それは絶望ではない。何でもできるという希望を胸に、何をすればいいのか分からない天国の散策を始めた。
これは友情かなぁ。友情でもいいよね?と、思いながら書いた作品です。どうだったのでしょうか?私は、ただ面白そうだから書きました。
このアカウントでは初投稿ですが、2年前くらいに一度書いていたことがありました。友人に触発されて再び文字を書き連ね始めましたが、これからも色んなジャンルを書いていったら面白いのかな、と思っています。
もし良かったら、リアクションや感想をください。批判でも肯定でも何でも。他の方の意見を知るのは楽しいと思うから。
なんか、後から見ると納得のできない作品のような気もする...しかし、見なかったことにすれば全て安泰。そして、零から始めるのも少し億劫ですから...




