表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノニサクハナ  作者: 遠藤 敦子
6/13

6

 日曜日の夕方に3人娘で集まり、ファミリーレストランで夜ご飯を食べる。雅仁には作り置きして冷凍したシチューを残して、「シチューが冷凍庫にあります。レンジで温めて食べてね。友美」と書いたメモもテーブルに置いてきた。

「あのキモいフリーターバンドマン、逮捕されてバイトクビになってた」

 友美が山田の逮捕を報告する。沙織が

「山田とかいうセクハラ野郎だよね?」

 と言い、咲空は

「逮捕されたってなんで? お客さんに痴漢したとか?」

 と訊く。

「それが女子トイレに小型カメラ設置したんだって。トイレ使ってたお客さんの様子が写ってたらしいの。そいつがいなくなったおかげで店は平和になったけど、被害に遭ったお客さんがかわいそうで……」

 詳細を説明する友美に、2人はやはり

「えっ、じゃあ盗撮してたってこと? キモっ」

「性犯罪者じゃん。サイテーだわ」

 と呆れ返っている。話の内容が内容なので、3人を見るお客さんもいたほどだ。

「あっ、そうそう。来月友美誕生日じゃん? 誕生日会しよう」

 咲空の提案に沙織が前向きな反応をする。友美本人はもはや自身の3月12日という誕生日について忘れかけていた。コンビニでのアルバイトと山田の件で疲れもあったからだ。

「いいよいいよ、気を遣わせたら悪いし」

 と言う友美に、2人は

「何言ってるの、主役は友美なんだからさ。それにセクハラ山田もいなくなってお店に平和がやってきたお祝いってことで」

 と返す。平和がやってきたお祝いという言葉に友美も笑っていた。



 3月12日の誕生日当日に、友美は咲空と沙織からレストランで誕生日を祝ってもらう。咲空からはデパートで売られているブランドのコスメをもらい、沙織からは有名ブランドのルームウェアをプレゼントされた。最後にデザートプレートが出てきたけれど、そこには3人分のチョコレートケーキといちご・オレンジ・キウイ・メロンなどのスイーツが乗っている。“Happy Birthday Tomomi!”とチョコペンでメッセージも書かれており、友美は感極まってしまう。涙が出そうなほど嬉しかったのだ。最後にスタッフさんから3人での集合写真を撮ってもらい、3人娘はそれぞれ帰路に着く準備を始めた。


 あれから1週間が経ち、相変わらずコンビニは平和だ。新しく入ってきた中国人留学生のメイちゃんは1歳上だけれど、仲良くなるのに時間はかからなかった。男性スタッフも何人か入ってきて、パートさんたちに可愛がられている。この平和がずっと続けばいいのにと友美は考えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ