13
友美は大学3年生になり、アルバイトと授業で相変わらず忙しくしていた。母校での教育実習を控えており、教員採用試験の勉強も合間にしていたことでバタバタと過ごしていたのだ。短大に通っていた沙織は幼稚園の先生になり、咲空も専門学校を卒業して会社員になった。友美だけが3人娘の中で唯一学生だったけれど、それでも時間を見つけて3人娘で集まっていたのだ。
ある日、3人娘はカフェでお茶をしていた。その際に咲空から、会社の妻子持ちの先輩から何度もセクハラめいたLINEが来て困っていると2人は相談を受ける。内容を見せてもらったけれど、「彼氏いるの?」から始まり「俺まじでさらちゃんのこと好きすぎてやばいわ」「俺はさらちゃんと付き合ったら大事にするけどな」などどんどん内容がエスカレートしていた。
「何こいつキモいな……。なんでアラフォーでワンチャン若い子に相手してもらえると思う?」
「しかも妻子持ちって。こいつ何考えてるの? 咲空がかわいそう」
友美と沙織は2人で絶句する。何かあった時は咲空を支えたいと考えていた。
*
咲空はそれでも生活のため、キャリアのためと我慢を続けていたそう。あれからは返信せず放置していたらしいけれど、次第に暴言や脅すような内容のLINEも送られてくるようになったらしい。沙織の助言により人事部に相談したけれど、
「清家さんは社会人になってまだ浅いからわからないだろうけど、彼も激務でストレス溜まってて大変だから大目に見てあげて」
と言われたらしい。咲空は職場で倒れ、そのまま休職することになったようだ。今は3人娘で外に集まるのも億劫だろうからと、LINEで話を聞いたり家に行って咲空の顔を見に行ったりしていた。そうこうしているうちに咲空は少しずつ元気を取り戻し、22歳の9月末で復職せず会社を辞める決意をする。咲空はその後はアルバイトから始めると話していた。友美はというと教員採用試験に合格し、4月から高校の英語教師として勤務することが決まる。
*
4月から咲空はアルバイト先で正社員になり、沙織は同じ幼稚園で先生として働き続けていた。沙織は聖真との同棲に向けて物件も探しているという。友美は高校の英語教師として忙しくしていたけれど、どんどん授業を楽しめるようになってきた。
10月になり、咲空から結婚すると3人娘のグループLINEで報告を受ける。友美も沙織も自分のことのように嬉しかった。3人娘の中で誰が1番に結婚するかと話していた頃が懐かしい。
ポストに「松下友美様」と書かれた手紙を見つけ、開くと咲空の結婚式の招待状が入っている。咲空は清家から飯岡に苗字が変わったのだという。友美は出席に丸をつけて返送する。咲空の結婚式で3人娘で集まるのが楽しみだった。