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ノニサクハナ  作者: 遠藤 敦子
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 3人娘で集まろうという話になり、お昼ご飯を食べることになる。友美は電車の遅延で到着が遅れそうな状態だったけれど、咲空が先に待ってくれているという。もうすぐ沙織と合流できそうだと咲空から連絡があり、なるべく早めの到着を目指してタクシーで現地に向かった。

「すみません、12時半から予約している松下です。遅くなりました……!」

 友美が息を切らしながら店員に言うと、

「松下様ですね。お連れ様、先にお待ちでしたよ。ご案内しますね」

 と店員に席へと通される。

「2人ともごめん! お待たせ……! 電車遅れてて、やっと着いた……」

 と言う友美に咲空と沙織は、気にしないでと言ってくれた。その後沙織からメニューを受け取り、ドリンクを決める。友美は烏龍茶、咲空はコーラ、沙織はレモンサワーを選んだ。料理については友美はカルボナーラ、沙織はメンチカツ、咲空はステーキを選び、シェアする用のマルゲリータピザも注文する。


 料理が来るまでの間、3人娘は高校の同級生たちの近況について話していた。英語が堪能だった魚住(うおずみ)理枝(りえ)は今カナダに留学しているとか、テニス部で全国大会に出場したことがある生方(うぶかた)健吾(けんご)はスポーツ推薦でMARCHに通っているとか、咲空と仲良かった友野(ともの)和佳(わか)は表参道にある雑貨店で正社員として働いているとか、そんな話だ。

「それで、樹く……あ、今村くんはいまどうしてるの?」

 咲空が友美に元恋人である今村樹の近況を訊いた。樹が年下の子と子どもができて結婚した話を人伝に聞いていたこともあり、友美は

「咲空と今村くん付き合ってたもんね……。別れたって聞いた時はびっくりしたけど。今村くんは飲み会で知り合った19歳の子に子どもできて、責任とって結婚したらしいよ」

 と話す。咲空はショックを受け、放心した様子だった。

「……ちょっと、咲空? 大丈夫? どうした?」

 2人で声をかけ、咲空は平常心に戻ったのかこう返す。

「実は私、喧嘩別れしてから樹くんのこと引きずってたんだけど……。結婚してるならもう諦めることにする」

 わざわざ今村くんの近況を聞くってことは、実は未練があるんじゃないか。何か伝えたいことや後悔していることでもあるんじゃないか。友美はそう考え、

「確かに咲空、今村くんに未練ありそうな感じがした」

 と咲空に言う。まるで咲空の心の声を見抜いたかのように。

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