夢の王国
初めまして、天川裕司です。
ここではシリーズでやってます『夢時代』と『思記』の原稿を投稿して居ります。
また、YouTubeドラマ用に仕上げたシナリオ等も別枠で投稿して行きます。
どうぞよろしくお願い致します。
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
お暇な時にでもぜひどうぞ♬
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無課金でやっておりますので、これで精一杯…と言うところもあり、
お見苦しい点はすみません。 なので音声も無しです(BGMのみ)。
基本的に【ライトノベル感覚のイメージストーリー】です。
創造力・空想力・独創力を思いっきり働かせて見て頂けると嬉しいです(^^♪
出来れば心の声で聴いて頂けると幸いです♬
でもこの条件から出来るだけ面白く工夫してみようと思ってますので、
どうぞよろしくお願いします(^^♪
タイトル:(仮)夢の王国
▼登場人物
●羽場有子:女性。38歳。独身OL。
●近藤高志:男性。39歳。有子が片想いしてる。ハンサムで優しい。
●中村加奈子:女性。高志の婚約者。本編では「加奈子」と記載。
●夢尾佳苗:女性。30代。有子の心から生まれた生霊。
▼場所設定
●バー『LOVE TRIANGLE』:お洒落なカクテルバー。有子の行きつけ。
●某出版社:有子達が働いている。都内にあるやや有名な出版社のイメージで。
●高志のマンション:一般的な都内にある高層マンションのイメージで。
▼アイテム
●Vitality for new Life:佳苗が勧める瓶入りの錠剤(3か月分)。これを飲むと現実での嫌な事を忘れられ、代わりに生活の生き甲斐を持つ事が出来る。
●Kingdom of Dream:佳苗が勧める特製のカクテル。飲んだ人を、その愛する人の夢の中へ転生させてしまう(それまでの現実の生活を代償にして)。
NAは羽場有子でよろしくお願い致します。
イントロ〜
皆さんこんにちは。
皆さんには今、誰か想っている人が居ますか?
恋と言うのはある意味「戦場」であるとも言われ、
1人の人を2人が愛すれば、その2人の間に争いが起き、
その争いは時に悲劇を招く事もありますね。
今回はそんな恋愛をしてしまった
ある女性にまつわる不思議なエピソード。
メインシナリオ〜
ト書き〈バー『LOVE TRIANGLE』〉
有子「はぁ…高志さん。もう私には振り向いてくれないのかな…」
私の名前は羽場有子。
今年38歳になる独身OL。
都内で働いており、その会社で知り合った
近藤高志さんという1つ年上の先輩社員に
私は激しく恋をしていた。
でも彼にはもう加奈子さんというフィアンセが居り、
私のこの想いはもう2度と届かない…そんな状況になっていた。
有子「はぁ…」
本当にもう溜息ばっかり。
会社帰りにはいつもこのバーへ来て、
1人でずっと飲んでいる。
私ももう38歳。
どこかにやはり焦りのようなものもあったんだろう。
この恋を逃せばもう私に明るい未来はやってこない…
そんな事を妄想的に思い込んでしまい、
自分1人でニッチモサッチも行かなくなっていた。
そんな時…
佳苗「どうしたんですか?落ち込んでらっしゃいますね。よかったらご一緒しませんか?」
と声をかけてくる人が居た。
振り返って見ると結構キレイな人で、歳は私と同じぐらい。
名前は夢尾佳苗さんと言い、
同じく都内で恋愛コンサルタントの仕事をしてるらしい。
有子「へぇ、コンサルタントの方だったんですね」
彼女を見ている内に不思議に思った事は…
「この人、前にどこかで会った事がある?」
と言うもので、何となく懐かしさというか、
心をスッと許してしまう気安さの様なものを持って居た。
その延長なのか。
彼女とこうして一緒に座っていると、
なんだか自分の事をどんどん打ち明けたくなる。
気づくと私は今の自分の悩みを全部彼女に打ち明けていた。
有子「ご、ごめんなさいこんな事…初対面のあなたに話すような事じゃありませんでしたよね。ほんとにすいません…」
私は今の想い人、
高志さんと自分の事について話していたのだ。
でも彼女は、そんな私の愚痴のような悩みを
親身になって聴いてくれ、そして私が話し終えてから
幾つかのアドバイスもしてくれた。
佳苗「恋愛と言うのは一種の戦場のようなものですよね。たとえ好きになった人が居ても、その人に別の恋人が居たりすると、その関係を巡って争いが起きてしまう。まぁいわゆる三角関係のもつれというヤツです」
佳苗「良いでしょう、分かりました。では今のあなたのお悩みを少し軽くして差し上げましょう」
有子「え…?」
そう言って彼女は持っていたバッグから
瓶入りの錠剤のような物を取り出し私に差し出した。
有子「な、何ですかこれ?」
佳苗「それは『Vitality for new Life』というお薬で、まぁ精神の栄養剤と思って貰って構いません。それを飲めばきっとあなたに新しい第2の生活がやってきて、その人を忘れられる活気を得る事が出来るでしょう」
有子「は、はあ?」
佳苗「あなたはその男の人に心を奪われてしまっていて、今の自分の生活が見えなくなっているだけです。恋は盲目とはよく言ったもので、その盲目とは自分の事やその生活を見えなくさせてしまうもの。その生活の周りにどれだけ恵みがあってもそれに気づかせない。まさに灯台もと暗しの状態を作るのです。あなたは今、その領域から脱する事が必要です」
有子「え?い、いや、そんなこと言われても…」
佳苗「有子さん。私の言った事を信じて下さい。恋愛を始める時は確かに相手を信じる事が大切ですが、その恋愛を終わらせる時、つまり今においては、あなた自身を信じてあげる事が大切なのです。あなたは今、その悩みから脱したいと思っているのでしょう?正直になって下さい。そうすれば、私の今言った事を信じたい気持ちが素直に表れますから」
いきなり言われたので初めはよく解らなかったが、
彼女の言葉を1つ1つ吟味していく内に、
その内容が解けるように分かり始めた。
それにやはり彼女は不思議な人。
全く信じられない事・信用できない事も、
彼女が言えば信じてしまう。
そして私は彼女からその瓶入りの錠剤を受け取り、
試しにそこで1粒飲んでみた。
すると何となく心が軽くなったようで、
さっきまで私を苛んでいたどん底の気持ちは
雨空がまた晴れていくように澄んでいった。
佳苗「どうですか?少し心が晴れたでしょう?」
有子「こ、これ、本当に…」
佳苗「ええ。今のあなたをきっと救ってくれる物になるでしょう。あ、先ほどは言い忘れておりましたがその錠剤、粒を数えて貰ったら分かりますけど、1瓶3ヶ月分になっております。この薬は1本限り。その間にぜひあなた自身の力で、今のトラブルを乗り越える力を得て下さい」
有子「え?」
佳苗「その薬は少し依存性が強いところがありますので、1瓶しかお勧めしておりません。あそれと私のお仕事はボランティアですのでお代は結構です。それは無料で差し上げます。ですが今言った事は必ずお忘れなく」
ト書き〈その後〉
それから1ヵ月… 2ヶ月が過ぎた時、
私は驚くほど変わっていた。
有子「凄いわアレ♪今まで悩んでたのがまるで嘘みたい…」
高志さんの事で悩んでいた私の心は嘘の様に晴れてゆき、
新しい生き甲斐を見つけ、そちらへ走っていった。
その生き甲斐とは仕事。
もともと作家志望だった私は
それからどんどん原稿書きの仕事に打ち込み、
今勤めている会社でもそれなりに褒められ、
出世への道を上っていった。
上司「羽場君、良いね良いねぇ、今度の君が書いた記事も皆が絶賛しとるよ♪その調子でこれからもどんどん頼むよ!」
有子「はい!有難うございます!」
私が勤めている出版社はそれなりに都内でも有名で、
私が書いた記事は瞬く間に
いろんな人が読むようになっていた。
(バー)
そんなある日。
私はまた行きつけのこのバーへ来ていた。
そこで佳苗さんとまた偶然出会った。
有子「佳苗さん!本当に有難うございます!私、生まれ変わったようですよ!最近、仕事が楽しくてしょうがないんです♪今の仕事が認められて、私もうすぐしたら編集長の座に就けるかもしれません」
佳苗「そうですか、それはよかったですね♪」
有子「ええ!ほんとに佳苗さんのお陰です!」
佳苗「いえいえ♪そんなに喜んで頂けたら私も嬉しいですよ。…で、いかがですかその後?彼の事はもう忘れられましたか?」
そう聞かれた時、
私の心の中にほんの少しだけ蟠りが出来てしまった。
もう大丈夫だと思っていたのに、ほんの少しだけ
まだ迷いのようなものが残っていたのだ。
でもその時は何も言わず「大丈夫だ」と彼女に伝えておいた。
佳苗「そうですか、それならよかったです。でもあの薬ももうすぐ切れる頃だと思いますが、その調子なら大丈夫ですね」
そう言われて少し彼女の目を盗み、
私はポケットに入れていたあの瓶入りの錠剤を見る。
あと5粒。
1日1粒だけ飲むようにしていたから、
あと5日分しか薬は無い。
ト書き〈5日後〉
そして、それから5日後。
この錠剤を飲むようになって3ヶ月が過ぎた時。
有子「あ、あれぇ…おかしいなぁ」
私はまた彼の事、高志さんの事を猛烈に想うようになっており、
その呪縛のような想いから、逃れられなくなってしまった。
もう薬は無い。
そんな心の揺れ動きから仕事も手につかないようになり…
上司「午前中に頼んどいた原稿まだ仕上がらんのかね!ったく、これじゃあもうアレだなぁ、君の出世の話は白紙に戻さなきゃならんなぁ」
有子「え…えぇ?そ、そんな!」
何をやっても駄目だった。
まるで行動が全部裏目に出るような形になってしまい、
以前のあの生き生きとしていた私はすっかり消えてしまった。
(告白)
そして、その勢いで私は最後の賭けに出た。
私の今の全部をぶつける覚悟で、高志さんに告白したのだ。
有子「た、高志さん…!つ、付き合って下さい!」
でも結果は案の定…
高志「あの、ごめん。俺もう好きな人いるから。その彼女と結婚の約束もしてるんだ。君も知ってるだろ?」
彼は優しく済まなさそうにそう言ってくれ、
私を慰めながら断った。
ト書き〈バー〉
それからまた私はあのバーへ通い詰める事になる。
1人で飲んで、愚痴を吐き続ける毎日。
有子「も、もう私、ダメ…。どこか別の遠い所へ引っ越しちゃおかな…」
その時、また彼女が私の前に現れた。
佳苗「あら有子さん。どうされました?何かひどく落ち込んでらっしゃいますね?」
有子「か…佳苗さん…」
彼女を見た途端、なぜか私は涙がポロポロ出てきて、
凄い勢いで甘えてしまった。
そして…
有子「ねぇ佳苗さん!お願いがあるんです!私と彼をくっ付けて下さい!付き合えるようにしてくれませんか!あたし彼の事をどうしても忘れられないんです!お願いします!」
その時の私はもう狂っていたのだろう。
そう無心し続ける私に対し、彼女は精一杯なだめてくれていた。
でも私は変わらず自分の思いを打ちつけ、
彼女の言葉をほとんど聞いていなかった。
そこで漸く彼女も折れてくれたのか、私にこう言った。
佳苗「良いですか、有子さん。あなたのその想いを押し通すと言う事は、確実に1人の人を傷つける事になります。それは解りますよね?」
有子「え?…あ…」
佳苗「そうです。その彼と純粋に契りを結んだお相手、加奈子さんです。あなたが前に私に話して下さったその女性、加奈子さんは確実に傷つき、もしその恋愛が叶ったとしても、彼女はあなたをその後ずっと恨む事になるでしょう。その加奈子さんの恨みの心を受け止める覚悟が、あなたにおありですか?」
有子「え、あの、いや…それは」
佳苗「その覚悟が曖昧で、そうなっても構わないと言う思いが無いのなら、初めから略奪愛などやめるべきです。もしそんな事になれば…」
そう言って一々当たり前の事を話す彼女を見る内、
私の中に猛烈な嫉妬と欲望が湧き上がり、
それまでに無い程「彼を奪い取りたい」…
そんな激しい心が芽生え始めた。
そして…
有子「…構いません。私、それでも彼と一緒になりたいんです。佳苗さん、そこまで言って下さる以上、あなたにはその私の夢を叶える力がおありなんですよね?あなたには、初めて会った時から不思議な感覚を知っていました。きっと出来るんでしょうあなたなら…」
私はもう支離滅裂な事を言いながらも、
その我儘を純粋に彼女に訴え続けた。
それからまた少し彼女は私を慰めようとしていたが、
それでも私のその覚悟が変わらないのを見、
それまでの姿勢を180度変えたあとこう言った。
佳苗「…そうですか、本当にそこまでの覚悟がおありなんですね?よろしい、分かりました。それではあなたも彼も、加奈子さんも傷つかない方法で、その願いを叶えて差し上げましょうか?」
有子「…え?」
佳苗「その方法が1つだけあるんです。でもそうすると、あなたの今までの生活は全て失われる事になるでしょう。それでもよろしいのなら…」
有子「…はい、大丈夫です。それでお願いします」
そう言うと彼女は、
カクテルを1つオーダーして私に勧めた。
佳苗「それは『Kingdom of Dream』と言う特製のカクテルです。それを飲めば、今のあなたのその夢と願いは叶えられます。強制はしません。あなたの人生ですからあなたがお決め下さい。ただそれを飲む事で、夢のような生活があなたのもとに訪れるでしょう…」
そう言われてすぐ、私はそのカクテルを一気に飲み干していた。
ト書き〈高志の夢の中〉
高志「有子…結婚しよう。そして2人で明るい将来へ一緒に歩いていこう…」
有子「ええ…高志さん…あたし本当に嬉しい…」
(夢から覚める高志)
加奈子「どうしたのあなた、なんだか寝ながらずっとニヤニヤ笑っちゃってさ。何かイイ夢でも見てたの?」
高志「え?いやぁなんだろ…確かにイイ夢を見てたみたいなんだけど、忘れちゃったなぁ」
加奈子「フフ♪あたしとの夢かしらぁ?」
高志「ん?…あはぁ、そうだったかもしんない♪」
ト書き〈高志の住むマンションを下から見上げながら〉
佳苗「私は有子の『どうしても理想の恋愛を叶えたい』と言う夢と欲望から生まれた生霊。その夢を叶える為だけに現れた」
佳苗「私が最初に勧めたお薬は、何とか生活に覇気を持たせる為のものだった。でも無理だったようね。彼女は夢依存症になってしまい、その淵から脱する事がどうしても出来なかった。そうあの薬に依存する事は、そのまま自分の夢に依存する事だったのよ」
佳苗「そして最後に勧めたあのカクテルは、彼女が想う人の夢の中だけで生活させるもの。つまり有子の実体をこの世では掻き消し、想う人・高志の夢の中へと転生させた。だから有子の生活空間は、もう高志の夢の中でしかない。そしてその夢を高志は現実の世界で覚える事なく、夢の中だけで覚えて居られる」
佳苗「これで加奈子も高志も現実の世界では傷つかず、その夢の王国の中で、有子は最愛の人・高志と2人だけの生活を紡げるわ。その王国を邪魔する者はもう誰も居ない。有子、あなたは文字通り夢のような、幸せな第2の生活を手に入れたのよ。その夢の中でだけ、ずっとお幸せにね…」
少しでも楽しんで頂き、読んだ方の心の糧になれば幸いです。
サクッと読める幻想小説です(^^♪
お暇な時にでもぜひどうぞ♬