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ヤンデレ後輩がつよすぎる!!!  作者: 五月屋もみじ
1章 黒き太陽は屍人を呪う
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7、同居生活と彼女の秘密

 強キャラ美少女二人との生活が始まって三日経ったのだが、びっくりするほどスムーズに進んでいた。


「おはようございます先輩、ルシアと水浴びしてきます」

「おはようトウマ。今日はノアが魚釣りを教えてくれるのよ」


 まず、ノアとルシアがめちゃくちゃ仲良くなった。

 ノアは最初ルシアに敵意マシマシだったのだが、初日の夜にはもう打ち解けていた。

 そして次に、ルシアが予想以上に強かったことだ。予備の短剣一本で皿やスプーンを作ってくれて大助かりだ。俺としては魔術で火を付けてほしいが、それはかたくなに拒否されてしまった。


 予想以上に暮らしが楽になり、俺はホクホクしていた。


「ただいま帰りましたー」

「ただいま」

「おかえり。今日のメシは白身魚のフライな」

「やった!」


 出来立てのフライを頬張りながら、その日あったことを語り合う。


「今日はですね、ルシアに料理を教えてもらったんですよ」

「でもノアは何回やっても失敗した闇魔法みたいなのしか出来てなくて……」

「えー? ちょっと何言ってるのかわかんないなー!」


 妹系で明るい美少女と、姉系で大人っぽい美少女のじゃれ合い。尊すぎだろ。

 もうこのまま一生暮らしたい……いやそれはダメだ。


 俺には大きな目標があるのだ。このまま山で暮らしていたらそれは一生叶わないし、いずれ追手に見つかってバッドエンドだろう。生け贄になって死ぬとかまっぴらごめんだ。


 俺は改めて二人を見た。

 かたや、規格外の身体能力とルックスを持つ異世界転移者。

 かたや、剣術と魔術を扱う神秘的な美少女騎士。

 この二人がいれば、神とだって対等に戦えるだろう。だからこれは絶好の機会だ。


「なあ、二人とも」


 俺の真剣な声音に驚いたのか、二人の不思議そうな視線が突き刺さった。


 それだけでコミュ障の俺は緊張しきってしまう。喉がカラカラに乾いて声が出なくなった。

い、いきなり本題に入るのはやめておこうかな。ここは場を和ませるためにどうでもいい話でも……


「冬真先輩、どうしたんですか」

「トウマ、何があったの?」


 あ、ダメだ。ここで変な話なんて無理だ。二人の鋭い視線に耐えられなくなった俺は、最後の手段に出た。


「お、おやすみっ!」


 俺は話を先延ばし、夢の世界へ逃亡したのだった。



「……せんぱーい、起きてくださーい……」


 なんだかノアの声が聞こえる気がするが、くぐもっていて何を言っているのかわからない。

 それより俺は眠いんだ、もっと寝かせてくれ……


「起きろーっ!」

「うお!?」


 胸に強い衝撃を受けて、思わず飛び起きた……つもりだった。

 俺の上にノアがのしかかっていて、怒ったようにこちらを見ている。


 さっきのは、こいつが飛び乗ってきたのか……


 俺はため息をつきながらノアを押しのけると外を見た。まだ真っ暗で、月さえも雲に隠れている。


「まだ夜じゃん、俺寝たいんだけど……」

「私もそうですけど、ルシアがいないんです」

「はあ!?」


 その一言で眠気が吹っ飛んだ。慌てて隣を見ると確かにルシアがいない。荷物もなくなっている。


「に、逃げたのか?」

「いえ、ここに来た当日から、夜にはいなくなって朝方に戻ってきます」

「なんで言わなかった」

「先輩が寝てたので。でも今日何か話したがっていたので、もしかしてこの件かなと思ったんです」

「ああそう……」


 俺の知らない所でそんなことが起こっていたとは見過ごせない。とにかくルシアを見つけて問い詰めなければ。ドアを勢いよく開けて踏み出すと、ズルっと滑ってこけそうにになった。


「せ、先輩! 大丈夫ですか?」

「ああ。この暗い中、ルシアは本当に何してるんだ」

「わかりません……」


 そう言ったノアは表情を曇らせた。


「でもルシアが何をしてても、あんまり怒らないでほしいんです。その、いっぱい助けてくれたし、メインキャラなんでしょう?」


 必死にルシアについて語る彼女を見てなぜか嬉しくなった。多分、少し前のノアを思い出したからだろう。


『友達とか、いらないですし』


 そう言っていたお前が、こんなにもルシアを庇おうとするなんて。保護者面しているわけではないが彼女の先輩として、後輩の変化は喜ばしい。俺はそっとノアの頭を撫でた。


「大丈夫だよ。まだ何も決まってないだろ」

「……はいっ!」


 ノアはにぱっと笑うと俺の手を掴んだ。


「こっち、こっちです!」

「待て、転ぶだろ」


 そう言ってみてもぐいぐいと引っ張ってくるノアに苦笑を向けると、満面の笑みで返された。どうやら相当にテンションが上がっているらしい。どういうことだろうと首をかしげていると、急に足が止まった。


「ノア?」

「しー、ここです」


 ちょいちょいと手まねきされて、俺は木々の間に腰を下ろした。


「ここからならよく見えますよ。あれです」

「あ……」


 深い森の中の開けた場所で、ルシアは剣を振っていた。もうどのくらい続けていたのか、額には汗が浮かんでいる。


「毎晩、これを」

「違います。それだけじゃないんです」


 そこからさらに見ていると、ルシアは手を止めた。


「……よし」


 彼女は暗闇に手をかざし、静かに深呼吸をすると、


「月華炎劇、キツネユリ!」


 美しい花びらの炎が燃え上がり、夜を鮮やかに照らした。


「魔法……」


 ルシアが戦った時に使おうとしていたものだ。あの時は倒れていたが、今回はしっかりと意識を保ち、燃え上がる炎を操っていた。


「これを練習するために、ルシアは抜け出していたんです」

「でも、なんで夜に」

「わかりません。だから心配なんです。何か隠してるんじゃないかって」

「そうか、じゃあ……」


 俺が言葉を発しかけた時、鋭い声が響き渡った。


「おいルシア、何をしている?」


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