上り坂、下り坂。
上り坂、下り坂。
人生には上り坂、下り坂、まさかがあると言われるよな。また世の中色んな珍しい人もおる。
わしもその一人やけど、わし前世って小海老よ。
しかも珍しく小海老時代の事鮮明に覚えとる。ではその時の話を少ししよか。
海を泳いでたら餌が見えた。それが疑似餌だとすぐにわかったけど
近くを泳いでいた立派な鯛が食らいついてな。
「アホや疑似餌に食らいつきよった。」と小躍りして踊ってたら
釣り人のもんが鯛をキャッチアンドリリースをしてきたんよ。
それにびっくりして油断したのが災いして勢いよくパクっと食べられたんよ。
そしたらその鯛の口の中が踊っとるよ。やっぱり本物は美味そうやった。
記憶はそこまでや。
そう話し終えると箸は鯛をつまんでいた。
海を見ながら女将につぶやいた。
『上り坂、下り坂、まさかな』