婚約破棄された令嬢が皇帝陛下と結ばれるまで~炎の魔女を添えて~
「フィアラ、やはりお前は我がアルヴァミラ家の一員には相応しくない」
「魔力を持たない魔術師などこの家に置いておけるものですか! 皇帝陛下との縁談も無かった事にさせていただきます!」
べラスティア帝国の大貴族の家に生まれたわたくし、フィアラはお父様とお母様に呼び出されるなり、そう宣告されてしまいました。
このアルヴァミラ家は代々魔術師の家系で、皇帝陛下の守護の役目を仰せつかっている大変栄誉ある家なのですが……。
お2人が言う通り、わたくしには生まれつき魔力が無く、とても魔術師にはなれないような存在だったのです。
「そ、そんな~……」
「フィアラが18になるまで成長を見守ってはいたが、まるで開花の兆しは無かった。……魔術師になれないのならば、お前は不要だ」
厳しいお言葉ですが、そこまで理不尽とは思っていません。
なぜなら元よりわたくしの家は皇帝陛下の身をお守りする役目がありますし、魔術師としての力がなければ見捨てられてしまうのはそれなりに察しがついていたからです。
現皇帝陛下と年齢が近いということで婚約の話まであったものの、それも力があればの話。魔術のひとつすら扱えないわたくしではその約束も容赦なく破棄されてしまうのでしょう。
「厳しい事を言うが、今すぐ家から出て行ってもらう」
「……わかり、ましたわ~……」
逆らうこともせず、静かにわたくしは両親の決定を受け入れました。ここで反抗したところで、魔術師であるお父様に殺されてしまうだけでしょうから。
力なく頭を下げ、わたくしがとぼとぼと2人に背を向けた時、怨嗟のこもった声を聞きました。
「この、失敗作……!!」
‐
「失敗作は言い過ぎですわ~……!」
退室直前、お母様より投げかけられた罵倒に、流石にわたくしの心も傷つきました。
アルヴァミラ家の魔術師として期待に応えられるような能力を持っていなかった以上は多少の非難は仕方ないと受け入れてはいましたが、流石に許容できる一線を超えてしまいます。
素直に家を出ていくつもりでしたが、ちょっぴり頭にきたわたくしはその前に寄り道していくことにしました。
「……なんだか泥棒みたいで気が引けますが~……お、お母様が悪いのですからね~!」
アルヴァミラの家の宝物庫にこっそりと侵入し、高価そうなものを拝借させていただきます。
……みたい、というか泥棒そのものですが、まあ手切れ金をいただいていくようなもの。ひとつくらいなら目をつぶっていただけるでしょう、実の娘に度を越えた罵りをした罰です!
「あら、綺麗な指輪~」
いくつもの高価そうな装飾品や宝石などが収められている中から、わたくしは目を惹かれた指輪を手に取りました。
銀のリングに、血のように赤い輝きを湛える宝石の嵌まった指輪です。おもむろに自分の指へ嵌めてみると、見事にぴったりでした。
「まるで、わたくしのために用意されてたみたいですわね~」
サイズの合った指輪を眺めながら呟きます。実際そうなのかもしれません。皇帝陛下との縁談自体は最近まで保持されていたのですから、これはそのために用意された品なのかも。
であれば、貰っていっても大丈夫でしょう。元はわたくしの物になるはずだったのですから、むしろこのために用意されていたと考えても問題はありません。……きっと。
「うふふっ、ひとまずはこれを売って当面の生活をなんとかさせていただきますわ~」
そう考えて、わたくしは誰にも見つからないように宝物庫から抜け出し、生まれ育ったアルヴァミラの家を後にするのでした。
「おっと、死にたくなかったら動くんじゃねえぜ?」
そして、家を飛び出して数分後。わたくしは迷い込んだ路地で首に刃物を突き付けられて羽交い絞めにされてしまいました。
「ひぃ~!! ピンチですわ~~!!!」
「うるせえ! 喋るな!!」
耳元で叫ばれ、わたくしは委縮してしまいます。
勘当同然とはいえ、晴れてわたくしは自由の身。これからどんな生活を送れるのかと思いをはせていた所でしたのに……。
「夜の道を1人でボケッと歩きやがって、攫ってくれって言ってるようなもんだぜ」
むしろ、その隙を突かれていたそうです。そしてこの方の目的はわたくしを誘拐する事だったようですね。
「だ、誰か助けてくださいまし~……」
「無駄だぜ、こんな時間に出歩いてる奴なんざいねえんだよ」
わたくしの声に駆けつけてくれる方は見当たりません。静かな暗い道にはわたくしと、人さらいの方しかいないかのようです。
「さあ、大人しくこっちに……」
無理やり体を引っ張られたわたくし。かと思いきや、ずっと突き付けられていた刃物を彼は取り落としました。
同時に拘束がほどけ、わたくしの体は自由になりました。
「!? な、何が~……」
振り向けば、先ほどまでわたくしを攫おうとしていた人物は消えてなくなっていました。
代わりに残されていたのは微かな火の粉と、その先に立っていた少女の姿。
「おおっと、危ない所でしたね」
「だっ、誰ですの~……!?」
「あ、私ですか?」
状況的に、おそらくわたくしを助けてくれたのは彼女。わたくしより若干背丈の低い女の子は問いかけに対し名乗りました。
「私は……まあ、炎の魔女とでも呼んでください。召喚に応じてやってきました」
「しょ、召喚~?」
「はい、その指輪で」
そう言って、彼女が指したのはわたくしの手に嵌まっている指輪です。見れば、なんだか先程よりも赤い宝石が強い輝きを放っていました。
なんと、おもむろに宝物庫から持ち出した指輪には、特別な力が宿っていたようです。
「それで、私を召喚したあなたはどうしてあんな状況になってたんですか?」
「……ええっと、それは~」
‐
「えーなんですかその話! 私許せません!!」
炎の魔女と名乗った彼女に先ほどまでの事を簡単に説明しました。
皇帝陛下との結婚の約束をしていたのですが、わたくしに陛下を守る力がないと知るやそれを破棄されてしまった事。それを聞くや、彼女はまだ幼さを残した顔に怒りを露にします。
「フィアラさんでしたっけ、そんなひどい事されて納得しちゃったんですか!?」
「え、ええ~。……期待に応えられるような力がないのは、事実ですし~」
わたくしがされた事を理不尽だと感じているのか、炎の魔女様はこちら以上にプンプンしています。
「そんなのダメですよ、結婚の約束をしてたのに、ただ弱いからって捨てられるなんて黙ってちゃいけません!! 直接抗議に行きましょう!!」
「で、でも~。わたくしがそんなことをしても、きっと魔術で攻撃されて話も聞いていただけませんわ~」
「心配しないでください、私がフィアラさんの事を守ってお話しする時間くらいは作ってあげますから!」
ドンと胸に手を当て、彼女は誇らしげにこちらに視線を向けてきます。
よくは見えませんでしたが、さっきは人さらいを排除するために魔術を使っていたのは確か。魔女と自称するだけあって、戦いに関して自身があるのかもしれません。
突然の出会いに驚いてはいますが、これはわたくしに与えられた好機なのかも。炎の魔女様自身も乗り気ですし、やってみてもいいのでしょうか。
「あ……でもわたくし、お2人になんと言ったらいいものか~」
「大丈夫です、そういうのはきっと話してる最中に思いつくものですから! さ、行きましょうフィアラさん!」
そう言って、彼女はわたくしの手を取って走り出してしまうのでした。
……こうして他人から言われてみますと、理由があるとはいえ実の娘をあんなにあっさりと捨ててしまうなんて確かに理不尽。その理不尽はやはり、直接訴える必要があるでしょう。
「――なるほど、そんな話があったのか」
「なるほど、じゃないでしょう! 魔術師になれないからってだけでこんなに可愛い子との結婚を無かった事にするなんて!」
炎の魔女様は語気を強めながらわたくしの事を見ました。
しかし、その話を聞いていた方はまるで、初耳だったかのように碧色の瞳をを丸くしています。
まあ、実際初耳だったようです。玉座に座る皇帝陛下は、まだ何も知らされていなかったようで……
「……って、ここは皇帝陛下のいる場所ですわ~~~~!!!!?」
今更それに気付き、わたくしは声を上げました。
炎の魔女様が向かったのはわたくしの家、アルヴァミラのお屋敷ではなく、なんと陛下がいらっしゃるお城の玉座の間だったのです。
べラスティア帝国の、若くして皇帝となったリゲルフォード皇帝陛下は落ち着き払った態度で話を聞いていました。
「え? あ、ごめんなさい、こっちじゃなかったんですね。なんか目立つ建物があったので、とりあえず来てみたんですけど……私勘違いしてました?」
「……い、いえ、わたくしも道案内を忘れていましたわ~」
自信たっぷりに走り出すものだから目的地がどこか分かっているのだと思い込んでいましたが、そうでもなかったようです。
「申し訳ございません、陛下~! お騒がせしてしまいまして~! すぐに帰りますから~!」
「いいや、待て。帰ることは許さん」
間違えてこちらに来てしまいましたが、即座に退散しようとするわたくしを陛下は引き止めました。
玉座から立ち上がり、彼はわたくしの眼前まで歩いてきます。
……まさかとは思うのですが、突然すぎる来訪に御立腹だったり……?
「そこの、魔女だったか。それの言ったことは真実か?」
「はっ、はい~。……お父様とお母様が、わたくしには魔力もなく、陛下の護衛の役目を果たせないから、家を追い出すと~」
「……まったく、あいつも勝手な事を」
肯定すると、陛下は深いため息を吐きました。
「その程度の理由で、俺がフィアラを嫌うとでも本気で思ったのか」
「へ、陛下、それはどういう~……」
「言葉通りの意味だ。力など関係なく、俺はフィアラ、お前には傍にいてほしいと思っている」
「……!」
それを聞いて、わたくしは心底驚愕しました。まさか、陛下からそんなセリフを聞くことになるとは。
「そ、それはまるで、愛の告白のようですわね~……」
「……そう聞こえなかったか。やはり直截に「愛している」と言うべきだったかな」
こちらの思い違いかと考え、冗談交じりに言ってみたのですが、まさか完全に肯定されてしまうとは考えておらず、一瞬わたくしの思考は止まりました。
「そ……そんな言葉、わたくしに向けていただけるほどの事をした記憶は、ないのですが~……」
「何を言う。お前の美しい顔と、艶やかでよく手入れされた髪と、透き通るような声と……それだけではまだ惚れるには足りないとでも?」
少し屈み、わたくしと同じ目線からじっと碧色の瞳が問いかけてきました。
距離が近くて、それだけで何も考えずに頷いてしまいたくなります……。
「……陛下は、わたくしの外見を気に入ってくださっていたのですか~?」
「先に印象に残ったのは別の部分だがな。フィアラの父親から、お前の話は度々聞いていた。魔術の才が無いとわかってなお、訓練は続けていたのだろう?」
「え、は、はい~」
直に会う機会はほとんどありませんでしたが、お父様はわたくしの話を陛下によく聞かせていたようです。
何年かけても魔力を扱えるようにこそなりませんでしたが、どうにかできないものかと試行錯誤し続けたりはしていました。結局、芽が出る事はありませんでしたが。
「ひたむきに、才能の開花を信じて努力を続ける姿には胸を打たれたものだ。繰り返し魔法の詠唱を試していたフィアラの事は、よく覚えている」
「見に来られていたのですか~!?」
「邪魔にならないよう時々、だがな。魔術が駄目なら、と剣術を修めようとしていたのも知っている」
まったく気が付きませんでしたが、どうやら陛下はアルヴァミラの家に訪れていた時があったようです。
しかもわたくしの事をそこまで見ていてくださったとは、今まで知りませんでした。
「とはいえ……全部無駄ではありましたが~」
「まだ分からないだろう? これからは俺も手伝おう。フィアラの才能が開花する時まで、俺と一緒にいればいい」
「そ、それでは陛下のお邪魔になってしまいます~! わたくし、今は何の力もありませんのよ~!?」
「なら、俺がお前の事を守ってやればいいだけの話じゃないか」
「役割が、逆ではありませんか~……?」
「別に構うまい。俺も多少は剣の腕に覚えがあるから、フィアラの事は守ってやれるぞ」
そう言うと、陛下はわたくしへ手を差し伸べてきました。
「さあ、俺の元に来てほしい。下らん理由で婚約を解消しようとした事、両親に反省させてやろう」
「え、ええと~」
想像もしていなかった方向にばかり話が動いて、わたくしは戸惑ってしまいます。陛下の手を取っていいかもわからず、1歩踏み出す勇気も出ません。……これ、要約すれば「愛している、結婚しよう」ということですものね。
どうしたものかと視線がさまよい、そこで隣にいらっしゃった炎の魔女様が視界に入ります。彼女は、なんだか困ったような顔をしていました。
「……なんか、思ってたよりベタ惚れされてるんですね。この感じなら私の出番はなさそうかな?」
「ああ、炎の魔女、だったか? フィアラを連れてきてくれたことには感謝する。下がっていいぞ」
彼女の存在を思い出したように陛下は言い、魔女様はさらに困った顔をします。
「そうしたいんですけど、その前に貰わないといけないものがありまして」
「謝礼が欲しいと? まあ、別に構わないが」
「いえいえ、皇帝さんじゃなくてフィアラさんからいただかないといけないものですので。お礼とかは大丈夫です」
「え? わたくし~……?」
なんの事かわからずにいたわたくしに、彼女は頷きました。
「ほら、私を召喚した分の魔力、まだ貰ってないじゃないですか?」
「えっ~……!?」
笑顔でそう言われ、わたくしは戦慄しました。
そういえば、彼女は指輪の力で召喚できてしまった存在。おそらく魔力を使用した仕掛けが施されていたのでしょうか?
ですが先ほどから申している通り、わたくしには魔力がほとんどありません。彼女がどれほどの力を有しているかは不明ですが、魔女を名乗るほどの存在を喚ぶのに足る魔力など、あるはずもありません。
「あっそんなに不安そうにしなくて平気ですよ! 魔力が無いなら代わりのものを貰いますから!」
「い、命ですか~……?」
「このタイミングでそんなことしませんよ。私あんまり活躍してませんし、ちょっとした契約をしてもらえたらそれで充分ですから!」
契約? とわたくしが首を傾げると、魔女様は言葉を続けます。
「皇帝さんと、お幸せになってください!」
「……え? それが、契約ですの~……?」
「はい! これだけフィアラさんの事を想ってくださってる人がいるんですし、遠慮なく愛される事。……それが私との契約です!」
「陛下と~……」
呟きと共に、陛下の事をじっと見ます。
彼は恥じる事などないかのようにわたくしの視線に見つめ返し、こちらの返答を待ち続けてくださっていました。
迷いのない瞳に、わたくしは思わず目をそらしてしまいます。
「……あれ? もしかしてこの人の事嫌いでした? それならもっと別のでもいいんですけど」
「き、嫌いではありませんわ~! むしろ好きで~……あ」
彼女の質問を否定した勢いで、そんな言葉が出てきてしまいました。
言うつもりではなかったので誤魔化そうとしましたが、それより先に2人共わたくしの発言をしっかりと耳にしてしまうのでした。
「なーんだ、両想いだったんじゃないですか」
「……フィアラ、今のは俺への返答、と考えても?」
「あぅ、い、今のは~……その~……」
顔がかあっと熱くなるのを感じます。もう、これはどう言い繕おうが無意味でしょう。
……まあ、別に嘘でもありません。ふいに出てしまったにせよ本心からの言葉でしたし、撤回する必要もないです。
考えた末にわたくしは前に、陛下の方へと歩を進めました。
「……よ……よろしく、お願いいたします~……」
たどたどしい言葉と共に、陛下のその手を取りました。
陛下の瞳が、歓喜に揺れるのを見た気がします。
「フィアラ、こちらを向いて言ってくれても良かったんだが」
「む、無理です~……」
「……これはそろそろ本格的にお邪魔になりそうですね」
勢いのままに踏み出してしまいましたが、この行動はプロポーズをお受けしたのも同義。陛下のように真っすぐと、そのお顔を見る事だなんてわたくしにはとてもできません。
そんな中、炎の魔女様はそう言いながら1歩下がりました。
「あ、魔女様~……」
「この感じならもう契約達成ということでよさそうですし、私は退散させていただくことにしましょう」
わたくしと陛下に一礼し、それに合わせて彼女の体がすっ、と溶けるように透けていきました。
「それではお2人とも、どうかお幸せにー」
小さく手を振りながら、彼女の姿は瞬く間に消えてなくなってしまうのでした。
「……なんだか、ずっとあの子に振り回されっぱなしでしたわ~」
「そうみたいだな。まるで御伽話に出てくる魔女のようだ、本人もそう名乗っていたし」
「結果的にとはいえ、陛下の元へ連れてきていただけましたからね~……」
彼女の勘違いによって実家ではなく、皇帝陛下のいらしたお城へ向かったのはある意味正解だったかもしれません。
陛下がわたくしをどう思っているかを知ることができましたし、わたくしもそれに返事をすることができましたから。
そしてその背中を押してくださったのは炎の魔女様です。……ちょっぴり強引でしたけれどね。
「感謝します、炎の魔女様~」
もう聞こえてはいないかもしれませんが、先ほどまで彼女の居た場所へわたくしは呟くのでした。
「……ところで、フィアラはいつまで俺を「陛下」と呼ぶんだ?」
「はい~?」
突然そんなことを聞かれ、わたくしは変な声で返事をしていまいました。
「ど、どういう意味でしょうか~?」
「どうって、俺の告白を受けてくれたんだろう? ……なら、いつまでもそんな他人行儀な呼び方をやめて、名前で呼んでくれてもいいんじゃないか?」
「えっ、陛下を、名前で~……!?」
驚くわたくしにそうだ、と陛下は肯定しました。
「結婚すればフィアラはもう俺と対等な立場だ。陛下などと呼ばず、「リゲルフォード」と呼んでほしい」
「えっ、ええぇ~……!!」
「……嫌だったか」
「ああっそ、そういう意味では~~~~!!!」
戸惑いの声を上げたわたくしに、彼はしょんぼりしていました。嫌、というわけではないのですが。
ですがやはりこの帝国の皇帝として、ずっと「陛下」とお呼びしていたので、いきなりそんな馴れ馴れしい呼称をしていいものかと思ってしまったのです。
……とはいえ、ほかならぬその皇帝陛下自身がそうしてほしいと仰るならば、お望みどおりにいたしましょうとも。
「……り、リゲルフォード……。様……」
「……ハハハ、この分では、フィアラから呼び捨てにしてもらえる日はもう少し先か」
できる限りの努力はしてみたのですが、どうしても呼び捨てにはできませんでした。リゲルフォード様の言う通り、もう少し時間がいるかと思います。
まあ告白を受け入れましたから、その時間もこれからはたくさんあるでしょう。きっと、今以上に彼と仲を深める機会を向こうから用意してくださるはずです。
今はまだもう1歩を踏み込む勇気が出せませんけれど、そう遠くないうちにためらいなく「リゲルフォード」と呼べるようになる。そんな予感を、感じるのでした――