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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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73話 祭りは終わり……

 学園祭は無事終了した。

 すべての日程が完了し、今日は特別に設けられた休日だ。


「はーっ、最高ーっ! や! す! みーっ!」


 こういう日は家でごろころするに限る。


「……だらけ過ぎ」


 ベッドで怠惰に過ごしていたらリリィに呆れた顔をされてしまった。


 でもいいのだ。

 たまには怠けることも必要である。


 人間生きていれば力を抜きたくなる時だってあるものだ。日頃どんなに真面目かつきっちりしている人であっても、生まれて死ぬまでそのまま生きることはできないだろう。誰だってどこかで息抜きをしなくてはならないし、それを怠れば何かしらに異常をきたすというもの。


 もっとも何を言ってもだらけていることを正当化しているだけに過ぎないのだが……。


 とはいえ、だらけることも必要なことではあって、完全な悪ではないはずだ。

 きちんとしていなければならない時にまでだらけているならそれは問題かもしれないけれど。


「リリィもだらけなよー。最高だよー?」


 ベッドの上で仰向けに寝て、天井を眺めつつ四肢を開く。

 そうすれば自然と開放的な気分になる。

 緊張感は一切なく、ただひたすらに寛げる時間を楽しむ。それが細やかな幸福を生む。ただぼんやりしているだけでも、胸の内に充実感がじんわり広がる。


「はぁ!? 誘われてだらけるとか嫌だし!!」


 急に大きな声を発したのはリリィ。


 そこまで嫌だったのか? 大きな声を出してしまうくらい? ……正直私には掴めない。いや、もちろん、だらけたいと思わない人もいるというのは知っているのだが。しかし、ただの『だらけたくない』という主張なら、そこまで大袈裟に言う必要があるのだろうか? 普通に「今はそういう気分ではない」と言えば済む簡単な話だろうと思うのだが。


「誘われてでなければだらけるの?」


 学園祭前は色々忙しくてなかなかゆっくりできなかった。

 だからこそ今日は寛ぎたい。


「べつにそういう意味じゃないケド……」

「そうなの? じゃあだらけようよー」

「だ! か! ら! そういうのは嫌なんだってば!」

「そんなに怒らないでよー」


 リリィは部屋の角に座り背中を壁に当て軽くもたれている。その手には、前に本屋で買った数学の問題集。表紙にひよこのキャラクターが描かれているポップな雰囲気の本だ。ちなみに、表紙や裏表紙はカラー刷りだがその他は紺と白二色での印刷である。


「ねぇリリィ、学園祭楽しかった?」

「……いきなり何」


 エメラルドグリーンの瞳から放たれる鋭めの視線がこちらに向く。


「純粋に気になって。言葉のまま、ただの質問だよ」

「そ」

「で、どうだった! 楽しかった?」

「んー、ま、そうかも」

「楽しんでくれたんだ! やったぁ!」

「……うるさいってば」


 リリィは少し恥ずかしそうにつぶやいた。


「展示も良かったでしょ?」

「まーね。あの子の大切なものが日和なのにはびっくりした」


 リリィが言う『あの子』とは夢見さんのことだろう。私も最初は驚いた。彼女にとっての大切なものが、まさか私だなんて——いや、厳密には親友というくくりなのだが。いやいや、それでも驚きだ。親友とまで思ってもらえているなんて、夢にも思っていなかった。


「いつの間にそこまで仲良くなったんだか……」

「えへへー」

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