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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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62話 学園祭に向けて

 その後は本屋で問題集を見たり少し雑貨屋に寄ったりして、夕方には帰宅した。


 とても素敵な休日になった。

 リフレッシュできたという意味では良い休日だったと思う。


 そうして私はまた学校へ向かう。

 学園祭に向けて色々しなくてはならないことがある。夏休みの思い出の展示の作成を行わなくてはならないから、勉強とはまた別の意味で忙しくなりそうだ。


 ちなみに、話し合いの結果、班を作って数名ずつで展示を作る制度になっている。


「皆班に別れられましたね。では始めてください」


 展示を作るための時間。

 担任が開始を告げる。

 ちなみに、私の班は、私と小雪と夢見さんの三人だ。

 まさかこの三人で班になる日が来るなんて。いろんな意味で夢をみているみたいな気分だ。正直こんな未来はまったく予想していなかった。小雪と一緒にというのは考えられることだけれど。夢見さんも一緒というのは、少し前までであれば、完全に想定外であった。


「えーと、まずどこからどうする?」


 取り敢えず言ってみたのは私である。

 このまま黙っていても話が進みそうになかったので、取り敢えず尋ねてみた。


「あたしは何でもいいよ」

「夏休みの思い出を考えるんだよね」


 小雪と夢見さんがそれぞれ返してくれた。


「ってかさ、これって、それぞれ作品を作るわけでしょ? 班割りとか必要あるのかーって話よ」


 小雪は面倒臭そうにそんなことを言っていた。

 乗り気ではなさそうだ。


「大きなテーマを作って……それに近い思い出を書くとか……?」


 遠慮がちに提案したのは夢見さん。


「はなちゃんそれいいね!」


 親指を立てた手をグッと突き出す。


「へー結構積極的じゃん」

「ご、ごめん」

「いやいや何で謝るの。べつに責めてるわけじゃないんだけど」

「あ……うん、そうだよね。ありがとう」


 夢見さんは小雪に対してはまだ気を遣う部分があるようだ。


「わたしね、実はね、小学校の頃周りにあまり好かれてなくって。特に小雪ちゃんみたいなおしゃれな子からは嫌なこと言われたりしたこともあって。おしゃれな素敵な子が苦手だったりするんだ。今でもちょっと身構えてしまったり」


 急に喋り出す夢見さん。


「あ! あのね! 小雪ちゃんの悪口じゃないよ」

「知ってる知ってる」


 夢見さんは言葉を流れるように紡ぐことはできなくなっていた。

 けれども分かる。

 彼女が彼女なりにきちんと話そうとしているということは、見ていて理解できる。


「だからちょっと対応とかがおかしいことがあるかもしれないんだ。でも気にしないで。それはただの癖みたいなもので、深い意味とかはないから」

「分かった。ていうか、そんな風に思ってないからさ。安心して?」

「う、うん! ありがとう!」


 その時になって夢見さんはようやく柔らかな表情になった。


「で、テーマどうする? 日和、案ないの?」

「えー」

「いやいや、えー、なんて言っても駄目でしょ。考えてよ」

「じゃあ小雪のアイデアは?」

「うっ……」


 渋柿でも食べたかのような顔をする。

 やはり小雪も特に何も考えていなかったようだ。


 ちなみに私は、先ほどまでは考えていなかったけれど、今は考えている。マニアック過ぎないテーマになりそうなものを探し続けている。リリィとのことを書きたいので、それから離れ過ぎていないテーマを何か見つけなくてはならないのだ。でも、そう簡単には見つけられない。


「あたしの案なんてどうでもいいでしょ!」

「一人一個考えようよ」

「いやだから日和が先に考えてってば」


 私は時間稼ぎがしたい。

 相応しいものはまだ見つかっていないから。


「そっちが先だよっ!」

「何でよ! 日和が先言いなよ!」

「小雪こそっ」


 そしてテーマは『大切なもの』に決定した。

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