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悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


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5話 知ってしまった、クラスメイトの好み

 悪の組織。


 改めて真剣に考えようとすると、何だかよく分からない。


 反社会的な組織ということなのか、あるいは、それとはまた別なのか。悪の組織というのが出てくる漫画やらアニメやらがあるという話は聞いたことはあるけれど、もしかして、それに近いのだろうか。


 でも、もしそうだとしたら、リリィはどこから来たのだろう。


 ここではないどこかの世界……だろうか。


 学校にいる間、私は密かにそんなことばかり考えていた。彼女がいた組織はどういう組織だったのだろう、とか、彼女はどんなことをしてきたのだろう、とか。脳内が完全に彼女のことで満たされている。


 おかげで、小テストも散々だった。


 一週間に一回は行われる英単語の小テスト。いつもは前日に一気に勉強するからそれなりにできるのだが、今回は完全に失敗した。そもそも小テストの日であるということ自体を忘れていた。


「日和。ねぇ、悪口じゃないけど、今日ちょっとおかしくない?」


 友達からもこの言われよう。


「え、そ、そそそそうかな?」


 普段通りを装おうとして余計に不自然なことになってしまっている、それは確かだ。


「ほら、そういうところ。いつもはそんな感じじゃないじゃん」

「ま、まぁ、そうかなぁ?」

「感じたこと正直に言うけどさ、おかしいって」


 確かにいつもならもっと流れるように言葉が出る。他人と接することは苦手ではないから。だから本来、こんな違和感なんてないはずなのだ。私はどうかしてしまっているのか。


「何か悩んでるんだったら聞くよ?」

「ううん! 何でもない!」

「えー本当にー?」

「うん、ありがとうー」


 ひとまずごまかしておいた。

 でもきっと、完全にはごまかせていないのだろう。

 友達はやはり友達。明らかに変化があれば気づくものだ。だから多分、友達は皆、私に変化があったことを気づいている。しかも相談しようとしないのだから、余計に怪しさを感じていることだろう。


 その日の午後の休み時間。


 私はふと思い立って、漫画やアニメに詳しいクラスメイトのところへ行ってみることにした。


「あの、ちょっといい?」

「浅間さん……」


 自分の席に座っている夢見(ゆめみ)さんに声をかけると、恐れているような顔をされてしまった。


 私の何がそんなに怖いのか。

 いや、単に唐突で驚いただけかもしれない。


「実は教えてほしいことがあるの」

「教えてほしいこと?」

「そう。『悪の組織』についてなんだけど」


 夢見さんは顔面を硬直させる。


 私の口から悪の組織などという言葉が出てくるのがそんなに驚きだったのだろうか。……いや、それはそうか。親しいわけでもないのにいきなり妙なことを尋ねられて驚かずにいられる方が不自然か。


「悪の組織……? えっと、それは、創作の? でも、どうしてわたしに?」


 夢見さんは席に着いたまま怪訝な顔をしている。

 何だか申し訳ない。


「夢見さんならそういうことに詳しいかなと思って」

「確かに、漫画とかは好きなんだけど……。でも、わたし、おじさんほのぼの系がメインだから……悪の組織とかにはあまり詳しくなくて……」


 おじさんほのぼの系というくくりも、微妙に気になる。


「おじさんが出てくる漫画ならたくさん持ってるんだけど……力になれなくて、ごめんね」

「いいえ、気にしないで。ありがとう」

「おじさんの漫画が読みたい時は言ってね。わたしでよければ貸すからね」

「あ、ありがとう……」


 結局悪の組織については何も分からなかった。

 ただ、夢見さんが意外とおじさん好きということは、何となく掴めた気がした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 悪の組織について教えて欲しいんだけどってなかなかですよね笑
[一言] こんな感じに夢見 風花嬢をイメージしました(笑) 夢見 風花嬢1 <i573199|34709> 夢見 風花嬢2 <i573200|34709> 夢見 風花嬢3 <i573201|34…
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