表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の組織にいたらしい女の子が好みだったので、同居することにしました。  作者: 四季


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/80

57話 そんな感じでいいのか?

 何しに来てん、というやつで。


 結局女性は自ら去っていった。


 まさか、ローザの気持ちを伝えに来たのか? 彼が隠しているもの、胸に秘めたものを、どうしても伝えたかったのか? どこまでも謎だ。攻撃しに来たかあるいは何か仕掛けに来たか、そんなところかと思っていたけれど、そうではなかったのか? いや、もちろん、途中で気が変わったという可能性もないことはないが。


 ただ、何にせよ、敵は去った。

 これでもう命の危険はないはずだ。


「……怪我はない?」


 辺りが静まり返ると、リリィが駆け寄ってきた。


「う、うん! 大丈夫! リリィは?」

「問題なし」

「良かったぁー」


 リリィこそ、である。

 なんせ彼女は私と違って敵に対峙していたのだ、あの感じだと怪我してもおかしくはなかっただろう。一歩間違えば大怪我ということも考えられた。


「……で、ローザ」


 リリィはくるりと身体の向きを変え、まだ地面に膝をついているローザへ視線を向ける。


 その視線は凄まじく冷ややかなものだ。

 まるで目から氷の剣を生やしているかのよう。


「日和に絡んで何を企んでるワケ!」

「何も企んでな——」

「信じられない! そんな言葉!」


 リリィはローザの主張を聞こうとはしない。


「前から色々おかしいし怪しいと思ってたケド、今回が一番怪しい! それに意味不明!」


 厳しい言葉をかけられたローザはすっかり落ち込んでしまったようだ。地面に腰を落としたまま両手の手のひらをアスファルトにつけ、肩を落として小さくなっている。


「ホントいい加減にして!」

「……悪かったって」

「日和に一目惚れとか! そんなの! 今さら言ったって遅いから!」


 リリィは妙に好戦的な言い方をする。

 まるで競っているかのように。


「そう怒らないでよー」


 今のローザは、宿題を忘れ教師に叱られていじける男子小学生に似ている。

 縮みつつも唇を尖らせたりして。


「怒る!」

「えええ……さ、さすがに……理不尽……過ぎる……」

「言っとくケド、日和が一番大事にしてくれてるのはあたしだから!」

「え、何て?」


 理解不能とでも言いたげな顔をするローザ。


「ね!? そうでしょ!?」


 リリィは急にこちらへ振ってきた。


「う、うん」

「好きって言ってたもんね」

「うん! 好き!」


 迷いなく答えると、リリィは勝ち誇ったような顔をしてローザを見る。


「ほらね」


 いやいや、何なんだこの会は。


 もはや何がどうなっているのか理解できない。


 どちらが好かれているとか、そういう話だったのか? だとしたら、私は最初から正しく理解できていなかったということになる。だが、リリィは女でローザは男だが、比べるべきなのか? どっちの勝ち、みたいな、そんな感じでいいのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ